虚構の誠

その時。
きっと彼の隣には猫がいた。
青いたれ目の真っ白な猫。
赤いつり目の真っ黒な猫。
かつてとは違う姿で。
でも、かつてと同じ、心強さで。
そして、かつてなかった、ぬくもりで。
きっと最期のその時まで、彼のそばに寄り添った。


ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~

2020.11.14 ソワレ TOKYO DOME CITY HALL 配信
2020.11.23 ソワレ TOKYO DOME CITY HALL 配信

出演:佐藤流司、鳥越裕貴、有澤樟脳太郎、阪本奨悟、高橋健介、伊万里有、
   小柳心、高木トモユキ、定本楓馬、
   岩崎大輔、大野涼太、高橋祥太、鴻巣正季、山口敬太、杉山諒二、佐藤一輝、
   佐藤誠一、市川裕介、伊達康浩、塚田知紀、佐伯啓、古屋貴士、山口真弥、
   菊地雄人、竹村晋太朗、岡村圭輔、小林嵩平、千葉恵佑、森田晋平、白金翔太、田中崇士


刀ミュ2作目の「幕末天狼傳」。
初演で号泣したのも今となっては良い思い出です(笑)。
この状況で、地方公演が中止になった後の凱旋公演を、始まって二日目と千秋楽の二回、配信で観ました。
最初は千秋楽だけの予定だったのですが、無事に千秋楽が迎えられるかどうかの不安、
そして、無事に迎えられるようにという願いも込めて、凱旋公演の最初も購入。
というか、最近の舞台、特に2.5Dは全公演配信してくれるのが嬉しいです。
・・・それで採算がとれるって、すごいなあ(笑)。

物語の大きな流れは、初演と変わりありませんでした。
新選組の歴史に介入しようとする時間遡行軍から彼らの歴史を守り、近藤局長の最期に立ち会う。
―――新選組の、かつての主の敗北に、終焉に寄り添う。
かつての主に向かう思いと葛藤。
自分の在り方に―――何かに選ばれたことに、選ばれなかったことに向き合うこと。
やっぱり号泣したし、大好きな物語でした。
が、ブラッシュアップというか、初演との違いにめちゃくちゃびっくりして、
初回に観た時は、泣くよりも呆然としてしまったり(笑)。

まず、セットが凄い豪華になっていました!
格子や引き戸など木造の家のようなセットは、最初のシーンと相まって、
(ゲームの)池田屋のイメージだ!とちょっとテンション上がりました(笑)。
そのセットが、いろいろ組み合わされるだけでなく、まわり舞台という構造も駆使して、
とても複雑で奥行きのある空間を作っていたように思います。
あと、影の部分が増えて絡み合っていろいろな形を作るのも、この物語に合ってるなあ、と思いました。
ソーシャルディスタンスで距離を取らなくてはならなかったであろう殺陣も、
あの空間の中では凄く濃密に見えました。

そして、楽曲もかなり変わった・・・というか、増えた?
初演のすべてを覚えているわけではないのですが、明らかに数曲は増えていたし、
もともとの楽曲も、初演とは違う演出になっていました。
前の演出の方が好きな部分ももちろんあったけれど、
でも、この再演の在り方としては納得できるなあ、と思ったり。
改めて初演を見直したくなりました。
追加された曲としては、やっぱり加州くん(佐藤流司)と安定(鳥越裕貴)の猫の歌ですかね。
この歌が始まったときは、何事?!と思いました。
で、メロディーと歌詞とじゃれ合う二人の可愛さに驚きつつめっちゃ和んだのですが、
物語の終盤、二人が病み衰えていく沖田くん(定本楓馬)を遠くから見つめ寄り添う姿に、
あの曲に込められた二人の願いの切実さが感じられて、
千秋楽を観た時、思わずこの曲で微笑みながら泣けてしまいました。

それはやっぱり、再演での沖田くんの描かれ方の変化が大きいのかなあ、と思う。
今回の再演で、一番変わったのは、多分沖田くんでした。
初演では、近藤さんの処刑を告げられて時間遡行軍に刀を憑りつかれた(のかな?)沖田くんを、
刀剣男子たちがその刀を納刀することで元に戻し、近藤さんから加州くんと安定にその最後が託される、
という流れだったと思うのですが、
今回は、彼は最後まで自分自身の意思で動いていました。
きっかけとなったのは、多分、猫に擬態した某機能(笑)の言葉なのだけど、
今回の沖田くんは、自分の意志で、残された力を、命を絞り出すようにして、
近藤さんのもとに馳せ参じ、そして終わりを受け入れ、土方さんを言祝いだ。
めっちゃひねくれた言い方だったけど、あの言葉は確かに言祝ぎだった。
その流れは、定本くんの、どこか狂おしさの感じられる在り方に強い説得力を与えたように思います。
初演の栩原くんの沖田くんとは違った、どこか思いつめたような昏さを感じさせる定本沖田くん。
笑っていても、どこか寂しさと孤独を感じさせる定本沖田くん。
三人で共に歩むというよりも、二人を守り支えることを自分に課し、
そして、二人が生きる理由になっているような定本沖田くん。
あの言祝ぎの瞬間、彼はもしかしたら解放されたのかもしれないな、と思った。
いや、自分自身に二人と並ぶことを、本当の意味で二人の傍に寄り添うことを、許したのかもしれないな、と思った。
そんな沖田くんの傍に、最後まで寄り添う二人とか・・・ちょっと泣くしかないよね。

今回の任務で新撰組の歴史を守るために、そこに介入しようとする時間遡行軍を阻むために、
彼らは近藤さんと土方さん(高木トモユキ)と沖田くんを、
この物語で描かれない時間も含めた、長い長い時間をかけて、ずっと見守っていたのだと思う。
触れられるほど傍に。
言葉を交わせるほど傍に。
手を差し伸べられるほど傍に。
今、自分たちはいて、けれどそうすることは絶対にない。
その状況で、二人はずっと沖田くんの傍にいたんだなあ。
その時間は断片でしか描かれないけれど―――
弱っていく沖田くんを見つめながらただ自分の胸を加州くんに、安定が告げた言葉。
「僕は、おまえが折れる時、そばにいたい。たとえ何もできなくても、何も変わらなくても」
それは、新撰組に潜入して、限られた時間であっても沖田くんの傍に、
そして、倒れる沖田くんと、折られる加州くんを見つめ続けた安定だから言える言葉なのかもしれない。
傍にいて。
見守って。
その生き様を、選択を受け入れる。
ただひたすらに、その存在を愛おしむ。
歴史を守るのが刀の本能であるならば、
主に、人に、歴史に寄り添うのが、刀の情なのかもしれないなあ。

終盤、板橋に辿り着いた沖田くんと、沖田組の二人が共闘するシーンは、
もしかしたら歴史の小さな流れを変えているのかもしれない。
でも、その殺陣は、そこに見えるつながりは、本当に強く綺麗で、
やっぱり泣けてしまったのでした。

それにしても、あの猫・・・(^^;)
あれ、どう考えても三日月さんですよね?
BGMもつはものの三日月さんの曲だったし、
笑い方もあのセリフも・・・声も、黒羽くんの声にエフェクトかけてた感じ?
これまでの作品で、“三日月宗近という機能”の存在が明らかになったわけですが、
この状況で勧誘ですか?!とちょっと突っ込みたくなりました。
まあ、沖田くんに対しては、物部への勧誘ということではなかったのだろうけど。
でも、近藤さんには勧誘というか、つはものの泰衡に対するような話をしたのかも。
今回、近藤さんが未来のことを尋ねるのが凄く唐突に感じたのだけど、
事前に三日月さんが接触していたなら納得だなあ、と思いました。
沖田くんも、近藤さんも、生き延びたという伝説(?)は私はしらないけれど、
土方さんにはそういうのがあるのかな?
だとすると、むすはじの再演があったら、ちょっと怖いことになるのかも、とか思っちゃいました(笑)。


アーカイブ配信を見ながら書いていたら、冗長になってきちゃった。
いろいろあるけど、この物語についてはお友達と語り合いたかった!
次の物語はお友達と劇場で観れるといいなあ。
とりあえず、役者さんのことを少しずつ。


加州清光役、佐藤くん。
最近なぜか私の中で加州くんの株が上がりつつあるのですが、
今回の舞台で更に上限突破した気がします(笑)。
この物語の加州くんは、本当に愛おしい。
猫の歌はもちろんのこと、本編序盤の花の歌も素敵だったし、
沖田くんと、そして安定に向けられる不器用なのにまっすぐで、そこか寂しさのある在り方も胸に迫ったし。
佐藤くんはほかの役を拝見したことがないのですが、いつか見たいようなちょっと怖いような(笑)。
とりあえず、また佐藤くんの加州清光に会えるのをたのしみにしています。
あと、二部の最初の曲が、めちゃくちゃにあってて、おもわず見惚れました。いや、本気で。

大和守安定役、鳥越裕貴くん。
大演練のタンクトップ姿がめっちゃ印象に残っていたので、今回どうかなーと思ったのですが(笑)、
文句なし100点満点な安定だったように思います。さすが。
鳥越くんの安定の説得力は本当にとんでもない!
今回も、沖田くんとの稽古のシーンで彼の表情が伝えてくる感情の繊細さに思わず見入ったし、
その後の加州くんに向かう思いというか、二人の関係性も良かった。
二部の日替わりの連続前転も凄かった! 
衣裳のひらみが素晴らしくて、二部衣装のデザインの方、天才!と思ったよ(笑)。

沖田組の二人は、歌声も安心して聴けるし、いい意味で軽やかなのも好き。
配信の最後に特典映像で好きなセリフを全員が話したのだけど、
この二人のチョイスがらしすぎて微笑ましかったですv
二重飛び対決も!(笑)

和泉守兼定役、有澤樟太郎くん。
いやもう文句なしのかっこよさだなあ、と。
上から目線で大変申し訳ないですが、歌も本当にうまくなったなあ、と思う。
この物語では、兼さんは先頭に立つというよりも、支える立ち位置だったと思うのですが
蜂須賀に向き合う時の男前さと、
長曽祢さんにちょっと甘えるような感じのところと、
堀川くんの前でのリラックスした感じと、
どれもが兼さんだなあ、とちょっとうれしくなりましたv
ここで一句!が途中になっちゃったのが残念でしたが(笑)。
あ、でもカーテンコールで有終の美のここで一句をしてましたね。あれ、むちゃぶりだったのかな?(笑)
あ、二部もめっちゃかっこよかったです!
というか元の衣裳が袴なので、二部の衣裳になるとスタイルの良さがさらに際立つよね。
本当に衣裳デザインの(以下略)。

堀川国広役、阪本奨悟くん。
阪本くんの堀川くんは、どこか飄々としているのに愛らしいですよね。
今回の僕にお任せな歌は、堀川くんのテーマソングでよいと思う!
邪道な殺陣の邪道さはちょっと軽減してたかな(笑)。
歌うまな阪本くんなので、ここぞ!というときに素晴らしい歌声を聞かせてくださいました。
というか、堀川くんが兼さんの隣でにこにこしてるの、ほんと和む・・・

蜂須賀虎徹役、高橋健介くんと、長曽祢虎徹役、伊万里有さん。
このお二人の歌は、やっぱりちょっと私敵意はハラハラしちゃうんですが、
それを凌駕する役としての在り方に、今回も見入りました。
本編の終盤、蜂須賀さんに殴られたあとの長曽祢さんの表情と慟哭と、
それに背に近藤さんに向き合う蜂須賀さんのりりしさといったら・・・!
なので、余計に歌がレベルアップすれば・・・!と思っちゃうんですが(^^;)
あ、でも、今回の蜂須賀さんの力任せな歌い方は、演出だったのかもしれないなあ。
長曽祢さんも、二部は不安なく聞くことができたので、やっぱり演出だったのかも。
そういえば、今回のここで一句は蜂須賀さんの日替わりでしたね。
私が見た2回はわりと微妙な感じでしたが(笑)、それも蜂須賀さんらしくてまた良し!


近藤勇役、小柳心さん。
多分初見。
なんというか、本当に太陽のような近藤さんでした。
たくましくて、強くて、懐が深くて、情も深い。
決して大きく前には出てこないけれど、自分の役割を、なすべきことを決して間違えない。
そんな安心感のある近藤さんでした。
土方さんとの別れのシーンの強い笑み。
沖田くんとの最後の邂逅の時の泣きそうな笑み。
新撰組の未来を聞く時の誇らしそうな笑み。
たくさんの笑みを見せてくださいました。
本編もですが、二部の曲も良かった!

土方歳三役、高木トモユキさん。
こちらもなんというかある意味、完成形な土方さんだなあ、と。
沖田くんとのやり取りが微笑ましくてね・・・
近藤さんとの別れのシーンは、カメラから外れていて表情が見えないところもあったのですが、
最後の「またな」に込められた様々な感情に心揺らされました。
ここからむすはじの土方さんいつながるんだなあ・・・

沖田総司役、定本楓馬くん。
映画の骨喰くんも良かったですが、沖田くんも凄い似合ってました!
さっき、狂おしさのある沖田くん、と書きましたが、
彼が笑うと、なんというかちょっと不安になった・・・
この人を見守り続けた沖田組の心労を思うと、ちょっと辛いです。
でも、同じくらい幸せだったんだろうなあ。


アンサンブルのみなさんは、今回も大活躍!
今回、なぜか時間遡行軍がとんでもなくかっこよく感じる瞬間がたくさんありました。
特に薙刀!
新撰組の隊員のときは、黒い布で鼻から下を隠している形で、
多分マスクの代わりなのだと思うのですが、違和感ありませんでした。
というか、メインキャストのフェイスシールウドが、ほとんど見えないのにびっくりしました。
この短期間に、いろいろ進化してるんだなー。


二部ももちろん楽しませていただきました。
冒頭のダンスと照明がとんでもなくかっこよかったし、
その後の1曲目の雰囲気も素敵でした。
衣裳もですし、スタンドマイクで歌うの、みんなかっこよすぎるんですけど?!
冒頭の新撰組三人のコントもとい前説お楽しかったし、
刀剣男子の日替わりもかわいかったですv あれ、連結のせりふだよね。
そういえば、今回刀剣男子も太鼓をたたきましたね。
堀川くんが鉦だったのに、なぜか納得してしまったり(笑)。
太鼓のばちとか、赤い縄とか、紅白の旗とか(蜂須賀さん限定)も使っていて、
みんなで歌い踊る曲はめっちゃ楽しかったですv
蜂須賀さんのビリージャンプも相変わらずかわいかったし!
新撰組の歌があったのも嬉しかったです。


そんな感じで、本編も二部も楽しませていただきました。
今回の公演は、地方公演が中止になったためか、
凱旋公演では多分毎回カーテンコールで6人からの挨拶があったのかな、と思います。
最初に配信で観た時、様々な困難を超えてまた出陣(開演)できたことへの感謝や喜びを語っていて、
千秋楽では、この日を迎えられた喜びと感謝を言っていたと思います。
その中で、佐藤くんの加州くんの言葉に、ちょっと泣いてしまいました。
多分円盤に入るけど、本当に素敵な言葉だったので書いておきたい。


この時代が大変な時代だってことは、俺たちは知ってた。
で、この先の未来、この先の歴史も、もちろん俺たちは知ってる。
主と、もっとたっくさん笑い合える日が来るってことを、俺たちは知ってる。


未来から遡行してきた、刀剣男子としての言葉。
それはもちろん虚構―――フィクションであることはわかっている。
彼が“知る”未来が本当に来るかどうかは、もちろんわからない。
でも。
加州くんのその言葉を、信じる自分がいた。
信じて、今に向き合い前に進もうと思う自分がいた。
その言葉に、確かに“誠”があると、あってほしいと、そう願った。

それだけでも、この舞台を、配信とはいえ観ることができて良かったなあ、と心底覆いました。
次の公演の情報は今回は出ませんでした。
パライソを来年秋に、という話があったけど、
その時には劇場で刀剣男子たちに会えるといいなあ。
彼らと笑い合える未来。
うん。
今はただ、それを信じていようと思う。

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