原動力

先ほど年越しそばを食べていたら、外から花火の音が聞こえてきました。
急いでベランダに出てみると、遠くに次々と上がる花火!
周囲を一瞬昼間のように照らすその火と、
空気をかすかに揺るがすような大きな音。
花火が、厄除けであり鎮魂であるということを思い出させる光景でした。

2020年。

オリンピックイヤーとして華やかに幕を開けたこの1年が、こんな風になるなんて、
1年前の私は思ってもみませんでした。
SARS-Cov-2―――COVID-19の流行は、私から公私ともにいろいろなものを失わせました。
何年も続けてきて、やっと次のレベルに行けそうだった仕事も。
家族や友人たちとの時間も。
そして、舞台やライブという、私にとって必要不可欠な場所も。

緊急事態宣言を経て、夏が過ぎるころには、また劇場に行けるだろう。
少しずつ上演が開始される舞台の情報を見て、
懸命に感染対策をする役者さんやスタッフの方たちを応援しながら、
そんな風に思っていた日もありました。
でも、それは叶わなかった。
正直なことを言えば、秋ごろには劇場に行くことも不可能ではなかったと思う。
きちんとした感染対策をしていれば、感染のリスクを減らせることは仕事柄十分理解していた。
でも、それが100%ではないことも理解していて。
そして、仕事の上での責任を考えたら、そのリスクを冒すことは私にはできなかった。
大好きな役者さんやアーティストに恥じない存在であること。
それは、私にとって一つの大切な矜持で。
そのことが私を押しとどめて―――同時に私を傷つけていたようにも思います。

上演できて良かった。
観に行けた人たちが楽しめて良かった。
その気持ちは本当で。
でも、劇場にいけないことが、ライブに行けないことが、
辛くて辛くて仕方がないこともあった。
手元に残っていた最後のチケットを、誰かに譲ることもできずに、
上演日にただ見つめていたこともあった。
今だって、観に行くことのできない舞台の情報や感想は、
なるべく目にしたくないという気持ちもある。
もしかしたら、もう二度と劇場に、ライブハウスに行けないんじゃないかと思うこともある。
諦めること、自分の気持ちに言い訳をすることがどんどん上手になって、
でも、決してクリアにはならない気持ちがある。

それはきっと、私の心にとって、舞台は、ライブは、不要なものではないから。
大切で、愛しくて、必要不可欠なもの―――生きるための原動力だから。

上演された舞台の千秋楽の挨拶で、「これが演劇の力です!」と言った若い役者さんがいました。
舞台が仕事で、生きることに直結する彼らは、
きっと私とは別の次元で打ちのめされ、不安にさいなまれていたと思います。
でも、その中でこの言葉を彼は言った。
その言葉は、本当になにものにも奪うことのできない力に満ちていて。
だから、私はその力を信じていようと思います。
信じて、またいつか、劇場という特別な、私にとって非日常な日常であるあの場所に行く。
そう願いながら、新しい年を迎えようと思います。

なーんてちょっと大げさな書き方をしちゃいましたが、いやもう正直本当に辛い!
今年最後だから愚痴っちゃうけど、この先の見えない状況は、
精神衛生上本当によくないなあ、と思います。
でも、そんな状況の中、いろいろ模索しながら、
配信とか、TV番組とか、いろいろな形で舞台を届けてくださったことには、
本当に感謝しかないなあ、とも思います。
その感謝の気持ちも込めて、配信の類はなるべく購入するようにしていました。
その結果、新しい扉も開いたような気がします(笑)。

劇場やライブハウスという空間で、
目で、耳で、肌で感じることのできる舞台やライブがもちろん一番ではあるのですが、
配信だからこそ観ることのできた舞台・ライブもあったし、
体調的に無理をせずに向き合えるとか、何度も繰り返し観ることができるとか、
配信だからこその良さもありました。
来年、演劇界や音楽界がどんなふうになっていくのかわからないけれど、
自分のできる新しい方法で、自分のできる範囲で楽しんでいけたらいいなあ、と思います。
いやでも劇場に行くチャンスは虎視眈々と狙いますけどね?(笑)


というわけで、今年の総括。
まずは今年観た舞台!
*例年通り、ミュージカル・舞台関係のコンサート、トークショーはこちらに
*青文字が配信です。

・刀剣乱舞「歌合乱舞狂乱 2019」 さいたまスーパーアリーナ
・舞台「鬼滅の刃」 天王洲銀河劇場
・「フランケンシュタイン」 ×5 日生劇場
・「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」 シアタークリエ
・「最遊記歌劇伝 ―Oasis―」 ×2 紀伊国屋サザンシアター
・「天保十二年のシェイクスピア」 ×3 日生劇場
・「リトル・ショップ・オブ・ホラー」 シアタークリエ
・「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド -汚れなき瞳―」 日生劇場
・ネット演劇「マトリョーシカの微笑~刑事は二度死ぬ」
・朗読音楽劇「エデンの東のそのまた東」
・VOCARION Ⅶ「女王がいた客室」room 301
・リーディングシアター「緋色の研究」 ×2
・「浦井健治のDressing Room Live at streaming+』
・「Precious Moment」 ×2
・中川晃教コンサート2020 feat.ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』
・JERSEY BOYS in Concert ×3
・鯛造フェスティバル伍祭目 第3部
・SHOW-ISMS  Version マトリョーシカ
・SHOW-ISMS ―DRAMATICA/ROMANTICA復活祭 ISMS Version―
・科白劇 舞台 『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶
・The MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE Program B
・「中川晃教 Live Music Studio」
・「岡宮来夢 世界文化遺産 比叡山延暦寺ライブ2020」
・「ダディ・ロング・レッグズ」井上芳雄×坂本真綾スペシャルトーク&ソング
・「My Story −素敵な仲間たち−」 ×2
・「僕らこそミュージック」
・舞台「文豪とアルケミスト 綴リ人ノ輪唱」
・ミュージカル「刀剣乱舞」髭切 膝丸 双騎出陣 2020 ~SOGA~
・「BIRTH」 ×2
・「UTA-KATA vol.1 ~夜明けの吟遊詩人~」
・ひとりしばいvol 9 椎名鯛造「ネバーランド、アゲイン」
・ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~ ×2
・5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]
・「ホテル アヴニール」 ×2
・少年社中リーディング公演「ネバーランド」オリジナルキャスト
・GORCH BROTHERS Reading THEATER vol.2「朝彦と夜彦 1987」 ×3
・少年社中リーディング公演「三人どころじゃない吉三」
・2020年♪中川晃教ファンクラブイベント「冬の楽しみ それはきっと僕」
・ミュージカル「EDGES」


39演目、56公演でした。
昨年よりも増えていますが、トークショー的なものも含んでいるので、
本当の意味での舞台は減っているのではないかな、と思います。
数えると悲しくなっちゃうので数えないけど(^^;)
というか!
今年はリアルで帝劇に行っていない!!
いやー、衝撃の事実です(笑)。
次に帝劇に行けるのはいつ、誰の舞台になるのかなー。
うん、それをちょっと楽しみにできるくらいには元気はあるみたいです(笑)。

では続いて、今年の恭穂的ベスト3!

「天保十二年のシェイクスピア」
:なんというか、演劇の醍醐味を極限まで詰め込んだ舞台だったと思います。
 COVID-19の流行によるそこはかとない不安が、
  現実味を帯びてくる時期に観たということもあってか、
  もの凄い緊張感と、それを飛び越えた力を感じる舞台でもありました。
  今手元にはこの公園のDVDがあるのですが、
  確か最後の数公演が休演になって、
  無観客で上演したものを映像化したと聞いています。
  明日、来年最初に観るDVDはこちらの舞台にするつもりです。
  
「UTA-KATA vol.1 ~夜明けの吟遊詩人~」
 :声優の石川由依さんの一人芝居。
  ミュージカルなのか音楽劇なのか、
  はたまた違う形式なのかなんとも言えませんが、
  彼女の歌が大好きな私としては、
  本当に待ってました!という感じの舞台でした。
  配信という方法の利点を見事に使いこなした構成も素晴らしく。
  彼女は、歌声にその人の感情を、人生を、
  物語を込められる役者さんだと思うので、
  声優さんとしての活躍と並行して、
  また舞台での姿も見せてくれると嬉しいな、と思います。

ひとりしばいvol 9 椎名鯛造「ネバーランド、アゲイン」
 :3つ目は本当に悩んだのですが、こちらに。
  以前から応援している椎名くんのひとりしばい。
  役者・椎名鯛造の魅力を存分に見せつつ、
  その先の彼を感じさせてくれる舞台でした。
  こちらも無観客の配信だったのですが、
  だからこそのいい意味での閉塞感のある舞台だったかと。
  観客がいるところで上演されると、
  また違った雰囲気になるのかもしれないなあ、と思いました。
  ぜひ彼のライフワークとして繰り返し上演していただきたいです!

ちなみに、悩みに悩んだ時点は「BIRTH」でした。
こちらは、若手の役者さんの、今だからこその全力を見せていただいたような舞台でした。
2チームで違う世界を見せてくれたのも興味深く。
Wキャストとかではなく、まったく違うチームで上演された舞台もいくつもありましたが、
そういう形式に耐えうる脚本と演出も求められるんだろうなあ、と思います。


そして、ライブとコンサート。
こちらは全て配信でした。

・UNISON SQUARE GARDEN「USG 2020“LIVE (in the) HOUSE”」
・LIVE HOLIC extra vol.4 -another edition
・UNISON SQUARE GARDEN「USG 2020“LIVE (in the) HOUSE 2”」
・UNISON SQUARE GARDEN「fun time HOLIDAY ONLINE」
・Halo at 四畳半 無観客ワンマンライブ「かたちのないばけもの」
・松ジェ「冬の大三角形~硝子の夜の弦と鍵~」
・中川晃教×加藤和樹×海蔵亮太 ~時代を超えたJAPANスタンダード~ 
「僕たちの冒険!LOVE SONGSを探して!」
・UNISON SQUARE GARDEN 2020「LIVE(in the)HOUSE -Count Down Style-」(予定)

例のごとくユニゾンばかりですね(^^;)
ユニゾンもですが、Haloさんのライブも、配信ならではの凝った作りでとても楽しめました。
生のライブとは異なる物語感というか、
ちょっと距離のあるところから世界をのぞき込んでいるような感覚が面白かったです。
ユニゾンの2回目と、Haloさんのライブは映像化してほしいなあ。
アッキーの音楽番組?も、こういう状況だからこそできたものなのかな、と思う。
残念ながらアッキーのツアーや一人芝居の配信はなかったのですが、
これはいつか劇場に観にきなさい!というメッセージだと思うことにします(笑)。
とりあえず、この後ユニゾンの配信ライブで今年を終える予定です。
こんなことができるのも、配信だからこそなんだろうなあ。


そんなこんなで今年もあと数時間となりました。
来年がどうなるのか、本当に全く予測がつきませんが、
来年も記録という意味でも、モチベーションを保つためにも、このブログは細々続けていく所存です。
SNS上だけでなく、また劇場で、ライブハウスで、みなさんとお話すことができますように。
どうぞ、よいお年をお迎えください!

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この記事へのコメント

2021年01月02日 12:19
恭穂さま
あけましておめでとうございます。
ご無沙汰いたしております。
・・・と言いつつ、いつも記事は読み逃げ失礼しています。

昨年は本当に思ってもみないような年となって
辛いこと悲しいことがたくさんありました。
そんな時に私たちを励ましてくれたのは、舞台であり
音楽でしたね。たとえそれが配信だとしても。

恭穂さんの矜持、それゆえの大変さ辛さもとても
よく理解できますし、尊敬の気持ちでいっぱいです。
年があけても決して状況が好転したとは言い難い
ですが、2021年が少しでも明るく前向きな年と
なりますよう心から願っています。

そして恭穂さんといろいろ語り合える日が
また来ることを信じて。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
恭穂
2021年01月03日 18:21
スキップさん

あけましておめでとうございます。
お返事が遅くなり、申し訳ありません。

本当に去年はいろいろな意味で大変な一年でしたね。
スキップさんも、いろいろと大変だったのではないかと思います。
私自身、観劇を趣味としてから、手元に次のチケットがない状態というのは初めてで・・・
いろいろ重なってメンタルが弱くなってた時期もあって、自分で思っているよりも私って弱虫なんだなあ、と改めて思いました。
でも、それを自覚できたからこそ頑張れることもありますよね。

年末年始も状況は落ち着きませんが、でも明けない夜はありませんよね。
また大阪まで観劇遠征や旅行に行ったり、スキップさんとお会いしてお話しできる機会がきっと来ると信じていようと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。