ふたつのほし

劇場で観劇をしてから今日でちょうど1年となりました。
感慨深いというにはちょっとほろ苦い気持ちですが、まあ、なんとか1年生き延びました(笑)。
まだまだ東京の劇場に行くめどは立ちませんが、
この状況のおかげか、群馬公演なるものもあったりして・・・素直に嬉しいというよりも、
ちょっと複雑な気持ちです(笑)。
来年の今日は、どんな観劇記録を書いているのかなあ。
とりあえず、書きそびれていた配信の感想をちょっとだけ。


音楽劇「プラネタリウムのふたご」

2021.3.6 配信視聴

原作:いしいしんじ
演出・脚本:ウォーリー木下
音楽:トクマルシューゴ
作詞:森雪之丞
出演:永田崇人、阿久津仁愛、佐藤アツヒロ、前島亜美、菊地修司、サイクロンZ、
   冨森ジャスティン、齋藤桐人、山崎秀樹、安田カナ、黒木夏海、谷啓吾、
   田鍋謙一郎、壮一帆、春風ひとみ、大澄賢也、松尾貴史


うっすらかかった靄のせいで、星空の見えないとある町のプラネタリウム。
そこに捨てられていた銀髪の双子の男の子。
その夜に数十年ぶりに地球に訪れていた彗星の名前を取って、
テンペル(永田崇人)とタットル(阿久津仁愛)と名付けられた二人は、
プラネタリウムの解説員である泣き男(佐藤アツヒロ)に引き取られ、
その町の人々に見守られながら大きくなりました。
楽しいことも、悔しいことも、ワクワクすることも、ドキドキすることも、
ちょっとしたいたずらも、郵便配達のアルバイトも、プラネタリウムの手伝いも・・・
いつも二人一緒だった、そっくりな双子。
けれど、魔術師テオ(大澄賢也)の一座が町にやってきたことをきっかけに、
二人の道は分かれていき・・・

という感じの物語。
ツイッターの情報を見て気になっていたのですが、もちろん観に行くことはできず。
千秋楽の後、配信があることを知って購入してみました。
とはいえ、実は日程的に非常に厳しく、へとへとの中での視聴になってしまい、
実は途中ちょっとうとうとしてしまったのですが(^^;)、
でも、なんというか不思議に心を引き寄せられる舞台でした。
観終わったあと、物語のストーリーは理解できたけど、そこに描かれたことがよくわからなくて。
泣きたいほどに悲しいのに、その涙にはどこか幸せも隠れていて。
その孤独に心が痛むのに、けれど彼は一人ではないと信じる自分がいて。
なんだか気持ちがざわざわして、どうにも落ち着くことができないのに、
どこか凪いだような自分もいて。
そんな不思議な感覚に、観劇記録に手を付けることができないでいました。
パンフを読めば何かわかるかな、と通販してみたけど、
当然のことながらそこに明確な答えがあるわけではなくて。
(あ、読み応えはばっちりでした!)
いまだに私の中でこの舞台の形は曖昧なままなのだけれど、
でも、それでいいのかもしれないなあ、と思い始めていたりもします。

そんなわけで、ちゃんと言葉にはできないけれど、とても印象的な舞台でした。
できれば劇場の空間で観たかった。
そうすればもっと、あの物語を肌で感じることができたのではないかな、と思う。
いつか再演されることがあれば、ぜひチケット確保、頑張りたいと思います!


テンペルとタットル役の永田くんと阿久津くん。
最初、全然見分けがつかなかったのは、私がイケメンの見分けがつかないからではないと思う(笑)。
とても綺麗で表情豊かで生命力の感じられる双子。
一つの言葉を二人で分けるような最初の二人の歌は、見ていてにこにこしちゃうような微笑ましさでしたv
星空の見えないある意味閉じた町の中で育ち、
普通の形ではないけれど、静かで深い父の愛情を受け、
生まれつきの喪失―――母という存在を、けれど彼らは意識しないままに抱えていた。
二人それぞれが感じる、まっくろくておおきなもの。
その存在がクリアになっていくにつれて、そっくりだった二人の違いが、どんどん鮮やかになっていきました。

永田くんのテンペルは、とにかく笑顔が印象的!
タットルよりもちょっと気が強くて、ちょっと無鉄砲で、そしてちょっとだけもろい。
もろくて、だからこそ人の目を、心をひきつけるマジシャンになった。
あの町に居続けても、彼はきっと幸せだったと思う。
けれど、あの町に居続けたら、彼はあんなにもたくさんの人を幸せにすることはできなかったかもしれない。
この舞台で彼はたくさん色合いの笑顔を見せてくれて、そのどれもが鮮やかでした。
そういえば、「宝塚BOYS」でもいい笑顔を見せてくれてたなあ。

阿久津くんのタットルは、まっすぐに相手を見つめる目が印象的でした。
テンペルよりもちょっとのんびりで、ちょっと慎重で、そしてちょっとだけたくましい。
だから、自分のペースで自分を、人を、現状を見据えて進むことができる。
テンペルに置いて行かれたのではなく、初めて観た本当の星空に怯えたのではなく、
自分の意志で彼はあの町で、あのプラネタリウムで生きることを選んだ。
そんな風に感じる強い目のタットルでした。
いやでも彼の笑顔もめっちゃ可憐でしたけどね(笑)。

結局二人は会うことのないまま永遠の別れを迎えてしまったのだけれど、
でも、二人の絆は離れていたからこそ強くなったようにも感じました。
二幕で二人が歌う♪逆さまのふたご は、物理的な距離を演劇的な意味ではなく、
確かに超えてつながる二人を見せてくれたように思います。
多分、見分けがつかなかった最初の歌の時よりもずっと、彼らは二人で一つだった。
そして同時に、決して一つにはなれない二人でもあったと思う。
並んで見える双子星が、本当は遠く遠く離れている、というセリフがあったけれど、
その二つの“距離”は、まさに二人にとっての象徴なのかなあと思ったり。

終盤、タットルが扮した体のテンペルが栓抜き(菊地修司)にかけた言葉は、
うみがめ氏(田鍋謙一郎)のシナリオだったのか、タットルの言葉だったのかはわからない。
わからないけど、あれは確かにテンペルの言葉だったし、同時にタットルの言葉だった。
宇宙の中に確かにある“無”を語るタットルだからこそ、
自然を、肉体を、命を循環する“水”を語ることができたのだと、そう思いました。
そして号泣したよね・・・

それにしても、二人の歌もですが、この舞台の曲はどれもとんでもなく難しそうなのに、
素晴らしく心地よい曲ばかりでした。
これはやっぱりDVDを買うしかないかなー。


泣き男役、佐藤さん。
私の中ではいまだ光GENJIな印象なのですが(いや、ばっちりその世代なので)、
なんとも深遠な存在感の泣き男で、ちょっとびっくりしてしまいました。
彼のプラネタリウムの解説、じっくりと聞いてみたくなっちゃった。
いつも泣いているような顔、というよりは、泣き笑いというか、戸惑っているように見えたかな。
ふたごの父であることに、ふたごを育てていくことに、
彼はたぶんずっと戸惑っていて、でも、戸惑うくらいに深く彼らを愛していた。
あの慟哭には、本当に胸が痛みました。
舞台版では女教師との関係性を深めていけるのかな・・・幸せになってほしいです。


大澄さんのテオ座長は、その過去をちゃんと感じさせてくれて、
だからこそテンペルに、兄貴に告げる言葉に確かな重みがあったように思います。
あのうさん臭い遺書が似合うところもさすが(笑)。
原作にはな一角獣としてタットルにも関わるのだけれど、あの存在は最後まで謎だったなー(^^;)

妹役の前島さん。
前に観た舞台でも妹役だったな、そういえば(笑)。
相変わらずとてもとても可愛らしい声v
ある意味双子にとってのファムファタル的な存在なのかな、とも思いつつ、
双子に出会ったことによる彼女の自身の変化も見えたように思います。
彼女はああやって、何を失ってもテオの傍にいるんだろうなあ。

兄貴役のサイクロンZさん。
本職とのことですが、手品が本当に素晴らしかったです!!
というか、プランクトンを失くした後のあの手品のシーンの表情に泣いた。
大切なものを失って、だからこそ生み出せるものがある。
それはきっと、テオ座長も通った道だったんだろうなあ。

田鍋さんのうみがめ氏は、めっちゃいい人でしたv
知り合いにいたら、すごく頼れるようなきがする(笑)。
飄々としながらも、すごく情に厚い感じ?
あの態勢は結構大変だったんじゃないかなあ、と思います。

菊池くんの栓抜きは、とても難しい役だなあ、と思いました。
彼のもつ傷がはっきりと見えないと、終盤の双子の行動に説得力が出ないかな、と。
そういう意味では、あのどこか違うところを見ているような目の凄まじさと、
無邪気な笑顔の心もとなさは。栓抜きとしてばっちりだったように思います。
背の高い方なので、テンペルよりも年下に見えなかったのがちょっと残念(^^;)

壮さん演じる双子の母親は、実在しない存在なので、こちらもまた不思議な存在。
要所要所で双子に関わる彼女は、双子の想像の産物なのか、
実際に彼らを見守っている存在なのかわかりませんが、個人的には後者だといいなあ、と。
女教師の地にしっかり足がついた存在感との対比も見応えがありました。

見応えがあったといえば、春風さんの老婆!!
出てきた瞬間に、この人はただものではない!と思ったけど、ほんとにただものではなかった(笑)。
旦那様からの手紙を双子が読むシーンは、その歌の楽しさに引っ張られちゃったけど、
ある意味双子の考え方とか知識とか、そういうものを育てたのは彼女だったのかな、と。
彼女がどういう存在だったのかは最後まで分からなかったけれど、
その謎もまたこの物語の素敵な余韻なのかな。

松尾さんの工場長は、そんな老婆とは対極的に、現実の世界を見せてくれる存在だったと思います。
町の人たちになじみ切れない彼は、もしかしたらある意味双子と同じだったのかなー。
なんだかんだで町の人たちにも愛されている存在なのが微笑ましかったですv


ウォーリー木下さんの演出を見るのはたぶんこれが初めてなのですが、
とても心惹かれるものがありました。
また機会があったら、演出作を見てみたいです。
というか、ハイステの配信が買えるみたいだから、まずはそれを見てみようかな。
永田くんが研磨役だしね(笑)。
とりあえず、再演、心待ちにしております!

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