還りゆく音

劇場やホールは、観客が入ることでその音響が完成する、と何かで読んだ記憶があります。

人の体が吸収する音。
人の体が跳ね返す音。
人の熱気で揺らぐ音。

ステージから放たれる音は、オーディエンスの体を通してステージの上へと還っていく。
だとしたら。
あの空っぽの空間に放たれた彼らの“音”。
それは、どんな風に彼らに還っていったのだろうか―――


UNISON SQUARE GARDEN
「USG 2020“LIVE (in the) HOUSE”」

2020.7.15 (NHKホール)


≪セットリスト≫
♪ mix juiceのいうとおり
♪ オトノバ中間試験
♪ 桜のあと(all quartets lead to the?)
♪ きみのもとへ
♪ 君の瞳に恋してない
♪ オリオンをなぞる
♪ I wanna believe、夜を良く
♪ スカースデイル
♪ 静謐甘美秋暮抒情
♪ mouth to mouse(sent you)
♪ Phantom Joke
♪ to the CIDER ROAD
♪ 場違いハミングバード
♪ シュガーソングとビターステップ
♪ 箱庭ロック・ショー
♪ フルカラープログラム
おまけ
♪ 弥生町ロンリープラネット
♪ 春が来てぼくら


というわけで、8か月ぶりのユニゾンライブでした!
この状況で彼らが企画していたライブツアーが中止になってしまって。
今この状況でできることを、と彼らが企画してくれたライブ。
実はツアーはどうにも日程が合わなくて行く予定ではなかったので、
私的には予定がいに彼らのライブを観ることができて、感謝感謝だったりします。

とはいえ配信、しかも無観客の本格的なライブを小さなPCの画面で見るのはどんな感じなのかな、
ライブDVDと同じ感覚なのかな、とか不安に思う部分もあったのですが、
例の如くそんな不安は全くの杞憂でございました。

いやもうほんと楽しかった!!
まさに今、リアルタイムでの彼らのガチで全力な演奏に、思いっきり引き込まれました。

もちろん、PCの画面越しだから距離感はあったし、
廻船の問題か映像が不鮮明だったり、途切れたりで気持ちがちょっと躓いたりもしたし、
自分の部屋という環境では、ライブハウスみたいに自分の丸ごと全部で彼らに向き合うことはできなかったけど、
同じ映像を見ているお友達とSNSでやり取りをしたり、
映像だからこその工夫もたくさんあって、普段とは違う楽しみ方ができましたv

映像はねえ。
ライブ配信の時はほんとに映像が粗くて、
基本上半身はじっとしている斎藤さんや鈴木さんはちょっと輪郭が曖昧なくらいだったけど、
田淵さんとかめっちゃぶれてて、残像が凄くて・・・まあ、それはそれで楽しかったかな(笑)。
アーカイブの映像は凄くクリアで、照明の光の一筋一筋が見えるみたいでした。
映像も凄く凝ってたし遊びがあったな。
始まる前、袖からステージに出ていく3人の後ろ姿を見せてくれて、
鈴木さんの大きくて真っ直ぐな背中、軽く準備運動をして出ていく田淵さんの猫背な背中、
そして、斎藤さんがスタッフさんに渡したペットボトルの水の、床に映る影が印象的だったり、
真上からの映像のドラムセットが花びらみたいに見えたり、
フロント二人が演奏する手元をアップで見せてくれたり、
ドラムソロで鈴木さんが頭に小型カメラをつけて、自分の視界を共有させてくれたり、
画面三分割で3人の姿を見せてくれたり、
エフェクターボードを操る様子をしっかり見せてくれたり、
あと、終わった後にメイキング的な映像が流れたり。
エンドロールに流れた名前を見て、普段のライブではあまり意識しないけれど、
こんなにもたくさんの人がこの1時間40分を作ってくれたんだなあ、と、
なんだかしみじみ思ってしまいました。
ほんとに、映像だからこそできることを、見せてくれた感じ。
この最初と最後の映像、DVDに入るよね? 

セットリストももちろん例の如く素晴らしかったです!
今回はライブで聴きたい曲のリクエスト、30位までからの選曲、だったのかな?
馴染のある曲からライブでが初めて聴く曲まで盛りだくさんでした。
で、MCなし!
最初のインターバルで斎藤さん、「MCなし!」って言ってた(笑)。

1曲目のmix juiceは、サビの部分から始まるアレンジ。
ドラムを照らすスポットライトの後、淡い桜色の照明の中、
3人全員の音と歌をポーンと手渡されたような気持ちになりましたv
そこからはもう最初っからハイペース!
オトノバはやっぱりめっちゃ楽しかったし、♪桜のあと はついつい一緒に歌っちゃった(笑)。
♪君の瞳に恋してない の間奏での斎藤さんと田淵さんのやり取りもなんだか可愛らしくv
ギターソロの前に、向かい合って、よーいどん!という感じで二人で前に駆けだすの。
そこから二人そろって急いでマイクの前に戻るのも微笑ましかったです(*^^*)
その後のセッションは、次に何が来るのかなあ、とめっちゃワクワクして、
オリオンだとわかった瞬間、おおお!と思いました。
碧い照明と相まって、凄いかっこよかったv

♪スカースデイル は、斎藤さんの弾き語り風の始まり。
真っ暗な舞台の上、小さなスポットライトの中で歌う斎藤さんの姿は、
何というか凄く孤独で、でも柔らかな優しさも、凛とした強さも感じられて、
ちょっと目が離せない感じでした。
全員の演奏になって、それぞれを上からスポットライトが照らしていて、
3人の間にある暗闇が個人的にはなんとも意味深で、
でもって3人それぞれが凄く優しい顔をしていて、
ちょっとこの曲に対するイメージが変わったような気がしました。
♪静謐甘美秋暮抒情 の夜の森につきの光が降るような照明も綺麗あったなあ。
♪mouth to mouse は、9月のライブの初演奏を聴いているのだけれど、
CDで歌詞をちゃんと確認してから聞くとまた違う感じ。
でもやっぱりキラキラしてたv
というか、この状況で聴くと、サビの歌詞がめっちゃ響く。

そんなちょっと切ない雰囲気からのドラムソロ!
ほんとに毎回楽しくて!
頭のカメラからの映像も凄かった!・・・ちょっと酔いそうになったけど(笑)。
ソロの時だけでなく、鈴木さんの見せて魅せるドラムはほんとに凄いなあ、と思います。
そのあとのセッションでのそれぞれのソロ演奏もかっこよかったなあ。
体銃で音を奏でる感じの田淵さんと、クールな斎藤さんがまた!
で、底から♪Phantom Joke への繋ぎも凄かった!!
これは、正直画面越しではなくその場であの勢いを感じたかったなあ。
というかこの曲、想像以上に斎藤さんが大変そうで(>_<)
頑張れー、頑張れー、と心の中で唱え名が合見つめちゃいました(笑)。
この大変な曲を終盤に持ってくるのも鬼すぎるよね・・・
いや、観てる方は凄い盛り上がるんですが(^^;)

そういえば、この曲から後方に映像が映されました。
大きな円がほどけていく感じとか、ちょっとアニメを意識してるのかな、なんて思ってしまいました。
MVとは全然違う雰囲気で面白かった。
この曲も、聴くたびにいろんな表情が見えていきそうだなあ。
♪to the CIDER ROAD の映像は炭酸の泡みたいな感じ?
一転して爽やかな感じでした。
かなり凝った映像っぽかったし、今回の照明も凄く綺麗だったので、全景映像も観たいなあ。

場違い以降は、相変わらず田淵さんの移動距離が凄い!
客席を煽るような表情や動きもめっちゃ楽しそうで、思わず手を振り上げちゃいました。
シュガビタと箱庭は、3人ともほんとに楽しそうで、私まで笑顔になってしまったり。
というか、カメラ目線な鈴木さん、凄い!(笑)。
最後の♪フルカラープログラム は、ステージを満たす真っ白な照明から始まって、
徐々に色とりどりになっていくのが凄く綺麗で見惚れていたら、
一人だけ照明の当たった斎藤さんがマイクを避けて、
10周年の武道館の時みたいにアカペラで歌ってくれました。
俯いて、きつく結ばれた口元から、一気に放たれる声はとても鮮烈で。
そして、その後映った映像・・・多分、鈴木さんの後ろに来たカメラマンさんが映した、
空っぽな客席の映像に、思わず泣けてしまいました。

楽しそうに全開の笑顔で。
煽るように前に出て。
客席に向かって手を伸ばして。
満足そうに頷いて。

でも、その彼らの視線の先には、誰もいない客席。
歓声も、拍手も、熱気も、高揚も、笑顔も、涙もない、広い、広い客席。

それは最初からわかっていたことだったのに、なんだかたまらない気持ちになった。
多分、このライブを見ていた人は凄く凄くたくさんいて。
でも、その姿が彼らには見えない。
気持ちはあの客席に、と思っていても、物理的にそれは彼らには伝わらない。
空っぽな空間に拡散する音は、きっと彼らにとっても経験したことのない状況のはずで。
それでも。
彼らのライブは、まるであの場所にいるような気持ちにさせてくれた。
彼らの“今”を、確かに届けてくれた。
そのことが本当に本当に嬉しくて―――もう感謝しかなかった。
どうか、観ている私たちの想いが、願いが、祈りが、彼らに還る音に届いていますように。
そんな風に、思いました。

いつものライブとは違って、捌けずにMCにはいった斎藤さんから、
新譜の発売の告知がありました。
16年やっていて、こんなに高い声が出ないことは初めてだからリベンジを!と、
8月のオンラインライブの計画のことも教えてくれましたv
1曲目から出ないのってなかなかない・・・という斎藤さんに、
大事なのは声の高さじゃない、自分で言ったら手数の多さではなく、魂の籠った音、
そういう声は出てたし、まっ黒に汗を書いた背中が物語ってる、と鈴木さん。
でも、ライブとしては良いライブだったし、凄く楽しかった、と言っていたのが嬉しかったですv

で、ここからはおまけ、ということで、新譜から1曲。
斜めにさすオレンジの光の向こう、
活版印刷みたいな懐かしさのある字体の「弥生町ロンリープラネット」という文字。
照明や機材のシルエットが、暮れなずむ空に沈んでいく街の景色のように見えて、
曲自体のノスタルジックと相まって雰囲気がとても素敵でした。
「そして、僕らの春が来る」という最後の歌詞から間髪置かずの♪春が来てぼくら に、
ちょっと鳥肌がたつ暗い感動してしまいました。
ほんと、こういうところだよ、田淵さん!(笑)
桜色の映像を背景に、俯いた斎藤さんの口元が笑みを浮かべていたのも印象的でした。

最後のサビでの、画面三分割で映った3人のそれぞれの表情が、
ほんとに楽しそうで、嬉しそうで・・・それが本当に嬉しかった。


そんなこんなで、配信ライブ、めっちゃ楽しませていただきましたv
最後のメイキング的な映像で、さらっと今回のライブの円盤化とか、
DVD特典の曲とかの情報を入れ込んでくるのも、彼ららしいというか何というか(^^;)
ほんと、このメイキング映像もぜひDVDに入れてくださいね!
配信だとアーカイブで繰り返し見られるのもなんだか得した気分です(笑)。
昨日はさらっと気になったところを見なおしただけだったので、
今日はこれからもう一回姿勢を正して見せていただこうと思います。

さて、来月の配信ライブは、リクエストの31-70位からの選曲らしく・・・
私がリクエストした曲、今度は演奏してくれるかなー。
実は30位までに入ってなかったので(笑)。
うん、それも楽しみにしておこう!


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