瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2007/04/16 23:41   >>

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というふうに思う瞬間って、たぶん誰にでもあると思います。
その時に1歩を踏み出すか。
それとも、踏みとどまるか。
生きていくということは、選択の連続で。
たぶん、逃してしまった「その時」も沢山あると思う。
これからも、沢山あるであろう「その時」。
どれだけ逃さずに捕まえることが出来るのか。
そして、選択する勇気を持ち続けることが出来るのか。
いつだって不安だけれど、でも、だからこそ人は歩いていけるのかなあ・・・

ということで、引越準備ちゃくちゃくと進んでいます(笑)。
昨日は頑張って本の整理を始めたのですが・・・
こんなに本を集めたのは誰?!と叫びたくなりました。
ええ、当然自分なわけですが(笑)。
それでもダンボール8箱分は古本屋に送ったんですけどねー。
おかげさまで腕と腰と足(何故?)が筋肉痛です。
腰を痛めないように気をつけなくちゃなあ・・・
今回はあきらめて本棚をもう1つ買うことになりそうです。

さて、そんなこんなな日常ですが、今月最初の(え)観劇に行ってまいりました。
今回ご一緒してくださったのは、お久しぶりなるーくさんv
いろいろ沢山おしゃべりも出来て、至福の時間でありました。
次は「レ・ミゼ」ですねー。ふふふ、今からとても楽しみですv
では、観劇記録です!


「ジキル&ハイド」

2007.4.14 ソワレ 日生劇場 1階J列34番

出演:鹿賀丈史、マルシア、鈴木蘭々、戸井勝海、浜畑賢吉、丸山博一、宮川浩、大須賀ひでき、
    荒井洸子、有希九美 他


「鹿賀丈史、ファイナル!」
その言葉についつい買ってしまったチケット。
初演こそ見損ねましたが、再演、再々演と1回ずつ観劇して、今回は3回目となります。
大好きなナンバーの多いこの舞台。
前2回も十分楽しみましたが、今回は更に凄かった!
久々に自発的なスタンディングオベーションしちゃいました。


物語の舞台は1888年ロンドン。
精神を病んだ父を救うため、人の心の善と悪を分離する薬を開発した医師ヘンリー・ジキル(鹿賀丈史)。
その薬が、父だけでなく憎しみや暴力、貧困、戦争などに苦しむ人々を救うことができると信じて、
病院の最高理事会へ人体実験の許可を求めます。
しかし、上流階級の人々で構成された理事会はこれを却下。
失意のヘンリーは、それでもこの実験をあきらめてはいませんでした。
その夜、エマ(鈴木蘭々)とヘンリーの婚約パーティーが開かれます。
招かれた理事会の面々(エマの父もその一員なので)との皮肉の応酬の中で、
それでもエマはヘンリーを愛し、支えて行くという気持ちを固めていきます。
パーティーのあと、ヘンリーは親友であり弁護士でもあるアターソン(戸井勝海)に誘われるまま、
娼館も兼ねるパブ”どん底”へ足を踏み入れます。
そこで華やかなショーを繰り広げる、ルーシー(マルシア)。
他の男たちとは違った雰囲気を持つヘンリーにルーシーは迫ります。
「私を自分で試してみたら?」と。
その言葉に天啓を受けたヘンリーは、深夜、自宅の研究室で一人実験を開始します。
「今が、その時」と。
それは、人の心の善と悪を分離する薬を、自ら試すという実験。
そして、生まれ出た「ハイド」。
彼は、懸命に彼を押さえ込もうとするヘンリーの思惑を嘲笑うかのように、残虐な行為を重ねていきます。
ルーシーへの暴力。
理事会のメンバーの惨殺。
制御できない自分の中の「悪」と戦うヘンリー。
これで最後、という調合の薬を飲んだあと、ハイドは姿を消します。
消えるその前に、ルーシーを、殺して。
そして迎えたエマとの結婚式。
穏やかに笑う彼の目の前に、殺し損ねた最後の理事会メンバーが現れます。
「エマにだけはこの姿を見せたくない!」
そう願うヘンリーを押しつぶし、再び現れたハイド。
理事会メンバーを殺し、そしてエマにも手をかけようとするハイドを止めたのは、
親友であるアターソンの銃弾でした。

というような内容のお話です。
あまりに有名なお話なので、今更かな? 


この舞台、引っ張っているのは当然タイトルロールな鹿賀さん。
まさに当たり役!
この人でなければ出来ない役だと思います。
繊細で、頑固で、真摯で、そして余りにもストイックで天然(え)なヘンリー。
残虐で、酷薄で、野獣で、そして常に何かに飢えているようなジキル。
その”二人”を、声と仕草で瞬時に演じ分けているのです。
本当に、まるで別人のように。
照明の効果もあるでしょう。
音楽の影響もあるでしょう。
けれど、頭をぶん!と一振りしたそれだけで、まったく違う存在感を出せるというのは、本当に凄い!
もう、ただただ見つめるしかできませんでした。

解き放たれたヘンリーは、「自由だ!」と叫び夜のロンドンへ出て行きます。
そして繰り返す殺人。
でも、その根本の憎しみは、ヘンリー自身のものに他ならない。
ヘンリーを慕うルーシーへの執着。
それも、やはりヘンリー自身の愛情ではなかったか。

同じ1つの感情を、まったく逆のアプローチで、まったく逆の形で示す”二人”。
けれど、”二人”はやはり”一人”なのです。
あくまでジキルを拒否し、消し去ろうとするヘンリー。
なのに、最後、アターソンへ自分を殺せという男の、その声は明らかにハイドでした。
息絶える瞬間、エマへ呼びかける最初の声も、ハイドでした。
自分の中の「悪」をヘンリーが受け入れること。
自分の中の「愛情=善」をハイドが受け入れること。
それはアイデンティティーの死に他ならず、そしてそれは肉体と魂の死とイコールだった。
そんな風に、私は感じました。

そんな複雑な役を、本当にシンプルに、奥深く演じた鹿賀さん。
鳥肌がたつほどに朗々と響きわったった、「This is the moment」。
底なしの魅力に溢れた、「Alive」。
一瞬たりとも目を離すことの出来なかった、「Confrontation」。
この歌を、鹿賀さんの”二人”を、
もう二度と観ることが出来ないと思うと、本当に残念です。
でも、これだけの演技の出来る、今この時に、
自ら幕を引くことを選んだ鹿賀さんだからこそ、
これだけのものを表現できたのだと、そう思います。
そんな鹿賀さんに、心からのお疲れ様を。


ルーシー役、マルシアさん。
歌も、ダンスも、最高でした!
めちゃくちゃ色っぽい役なのに、とんでもなく可愛らしくもあるのです。
ヘンリーの優しさに触れて、別の生き方へと向かっていくそのときの、
舞台を軽やかに駆け回り、ぴょんぴょんと飛び上がるその姿は、本当に少女のようでした。
同時にハイドとの恐怖と背徳に満ち溢れた関係に引き寄せられるその姿は、
いけないとわかっているのに、惹かれてしまう一人の女の、恐怖と、諦念と、恍惚に溢れていました。
彼女の中にも、相容れない二面性があったのだと思います。
ハイドがあんなにも彼女に執着したのも、彼女がヘンリーに引かれているからだけでなく、
そういった同族のような感覚もあったのでしょうか・・・?

そして、広い日生劇場を満たすかのように伸びる、その声。
まっすぐで、透明で、本当に綺麗だった。
エマ役の蘭々ちゃんの声が、和紙のような印象のまろやかさだったので、
二人で歌う「In His Eyes」は、素晴らしかったです
あああ、これがもう聴けないなんて本当に悲しいな・・・


その鈴木蘭々ちゃん。
前回見たときも、期待以上の好演と歌だったのですが、今回も良かったです。
ファルセットの声がいまいち好みではないのですが、それでも十分美しかったし、
なにより、その佇まいというか、立ち位置が、とても説得力がありました。
エマは、本当にその感情がぶれない。
もちろん、研究に没頭してしまうヘンリーへの心配や不安、
彼に近づくことの出来ない悲しみはあるんですよ。
でも、ヘンリーを愛するというその一念は、まったく揺るがないのです。
その愛情は、恋人というよりも、母のような印象がありました。
なんというか、全てをゆだねたくなる、慈愛、というか懐の深さ?
ヘンリーとハイドにとって、共通の拠り所。
それが彼女だったような気がします。
彼女の腕の中で息絶える彼が、繰り返し呼ぶ彼女の名前は、まるで母への呼びかけのようでした。
そして、彼女が最後に彼にかける言葉も、まるで母のようだったと、そう私は思いました。
まあ、これは私だけの感じ方なのかもしれませんが。
知念里奈ちゃんの時はそんな風には感じなかったので、
蘭々ちゃんの持ち味なのかもしれませんね。


アターソン役の戸井勝海さん。
いい人でした・・・!(涙)
語りの役もあったのですけど、言葉の一つ一つが優しい響きで。
歌はそんなに多くはなかったのですが、彼が出てくると、ほっとできる、そんな役柄でした。
この役、初演では段田安則さんがされていたんですねー。
観れなかったのがめちゃくちゃ残念です!
でも、純粋に「いい人」」な段田さん・・・あんまり想像できない?(笑)


エマの父、ダンヴァース・カルー卿役、浜畑賢吉さん。
この方も、いいお父さんでした!
年齢的にもかなり上な設定なのでしょうけど、
しっかり分別のある「大人」な役でした。


役名のついている他の役者さんもみんな素晴らしかったのですが、
このカンパニーはアンサンブルの迫力が凄いです。
もとの楽曲がいい、ということもあるのでしょうけど、
2幕冒頭の「Murder,Murder」なんて、ほんとに迫力でした。
アンサンブルで、合唱なんですけど、
それぞれの役柄がきちんと表現されているなあ、と思いました。

舞台セットも、縦長の引き出しを引くみたいに、
左右のセットからエマの家と”どん底”が出てきたり、
舞台の奥にヘンリーの実験室があったり、
わかりやすいのに凝っていて、とても好きなセットです。
オケが舞台の奥にいるのも、いい感じだなあ、と。
小道具?演出?も凝ってます。
ステッキで司教の体を持ち上げたり、その死体に火が着いたり、
開ききった扉を閉めたら、その後ろにいきなりハイドがいたり・・・まるでマジックのようです(笑)。
でも、あの薬の色は、何度見ても笑ってしまいます。
すごい、光ってるんですよー(笑)。蛍光ピンクと蛍光ブルー!
あれ、どういう風になってるんでしょうね?
暗転しても、どこに薬があるのかわかるぐらいの光って凄いと思います。
が、あれだけ漫画みたいで、現実味がないのがちょっと悲しいところ。
わかりやすくはあるけれど、もうちょっとどうにかならないもんなんでしょうか・・・?


繰り返しになりますが、この舞台がこれで最後なのは、本当に悲しい。
いつかまた、他のキャストで再演されることもあるのかも知れないけれど、
鹿賀さんと並ぶような演技をすることの出来る役者さんは稀だと思うし、
もし、新しいキャストで素晴らしい舞台が出来たとしても、
それはもう、このキャストの、この舞台とは当然ながらまったくの別物。
「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」のように、
沢山のキャストを入れ替えながら、それを魅力にすることの出来る舞台もあるけれど、
この舞台はきっとそうではないのだろうな、と思います。
だから、もし、この舞台を観ようか迷っている方が、
万が一この辺境ブログにいらして、この記事を読んでくださったなら、
どうぞ、この最後の舞台を観にいってください。
きっと、後悔はしないと思います。
ね、るーくさん!(笑)


・・・なんだかとても散漫な観劇記録になっちゃいました。
うーん、もっといい文章が書けるようになりたいなー。
とりあえず、今週後半から連休にかけて、ちょっと忙しくなるので、しばらく潜伏するかもです。
あ、でも「TOMMY」のチケットは結局とっちゃったので(笑)、
今月もう1回は観劇記録はある・・・はず?
大阪初演、平日なせいか、まだかなりチケットがあるようでした。
「ジキル&ハイド」も平日はまだチケットあるんですよねー。
どちらもいい舞台なので、本当に沢山の人に観ていただきたいな、と思うのですが。
まあ、こればっかりは仕方がないですかね。
ちょっと、切ないですが・・・

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タイトル (本文) ブログ名/日時
05/12/28 『ジキル&ハイド』千穐楽、鹿賀丈史一門でもう一度!
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2007/05/13 04:33

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内 容 ニックネーム/日時
2005年12月公演の千穐楽の記事をTBさせていただいたのですが、うまくいかないのでURLを書かせていただきます。
http://blog.goo.ne.jp/pika1214/e/e9fb29bacf59d5afd04e280ea4be7ec4
鹿賀さんもギリギリのところで二役の演じわけをされているんだなぁというのがひしひしと伝わってきました。だからこそちゃんとやれるうちにファイナル公演ということにされたんだと思います。
>あまりに有名なお話なので、今更かな?
原作を文庫本で読んだらあまりに違うお話でした。「M・A」もそうだけど、ずいぶん翻案しないと楽しめる要素もしっかりあるミュージカルにはならないのでしょう。
今年は前楽と楽に観ます。また感想アップしますね(^O^)/
ぴかちゅう
2007/04/23 22:15
ぴかちゅうさん、こんばんは!
TB、しっかりいただきました。ありがとうございますv
2005年の舞台は私も観ているのですが、
ぴかちゅうさんの記事を読ませていただいて、
いろいろ思い出してしまいました。
今回の舞台も凄かったけれど、ここでファイナルを決められた鹿賀さんを尊敬します。
ぴかちゅうさんはこれから観劇なのですね!
いいなあ。そのころ私は引越準備の真っ最中です。
感想アップされましたら、是非TBさせてくださいねv
恭穂@管理人
2007/04/23 23:06
TB、コメント有難うございます。東京千穐楽の感想もTB返しさせていただきましたm(_ _)m
プログラムの「ファイナル公演がファイナルであるゆえんは」という対談での鹿賀さまの言葉に鹿賀様に惚れ直してしまって大変です。
今日も通勤時間にMDプレイヤーでダビングしたライブ盤を聴いてました。このところご飯をつくりながらかけて一緒に歌っています。ジキルとエマと両方声を変えて歌ってます。宝塚の男役の歌でだいぶ鍛えたのでけっこう低い声出るんですよ。
千穐楽の「時が来た」の場面はまた格別だったことも思い出して追記してしまってます。この高揚から抜け出すのにもう少しかかりそうです(^^ゞ
ぴかちゅう
2007/05/01 22:03
ぴかちゅうさん!
TBとコメントありがとうございました。
「時が来た」は、本当に今思い出しても鳥肌が立つぐらい素晴らしかったです。私も無意識に鼻歌で歌ってしまいます(笑)。「TOMMY」と半々くらいの割合かな? この2つの舞台の余韻は、私もしばらく続きそうです。
恭穂@管理人
2007/05/03 18:37
恭穂さま
“鹿賀丈史ファイナル”にひかれて、初めて観劇しました。
素晴らしすぎ、凄すぎです、鹿賀丈史さん。
それとともに、ここでファイナルとされた心情も何となく理解できるような気がしました。こんな素晴らしい舞台を見せていただいて、心からありがとうと感謝の気持ちでいっぱいです。
スキップ
2007/05/13 04:31
スキップさん!
TBとコメントありがとうございました。
マルシアさんのいない舞台がどうなのかとても気になっていたので、感想読ませていただけて嬉しかったです。
鹿賀さんは、本当に素晴らしいですよね。
私も息をのんで見入ってしまったシーンが沢山ありました。
本当の千秋楽を迎えて、きっと伝説の舞台になるのでしょうね。
恭穂@管理人
2007/05/13 14:21

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