瓔珞の音

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zoom RSS 短い夏のきらめき

<<   作成日時 : 2007/12/08 16:12   >>

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注文していた「The Woman in White」のCDがやっと届きました。
最初に観劇した時、休憩中に買おうと思って売店に行ったら売っていなくて(完売?)、
帰宅後すぐに注文したのですが・・・
これだけ時間がかかったのは、やっぱり舞台効果で注文が増えたんですかね?
でも、それが納得できるくらいの、素敵な舞台でした。


「The Woman in White」

2007.12.2 東京千秋楽 青山劇場 2階B列13番
出演:笹本玲奈、神田沙也加、別所哲也、石川禅、山本カナコ、光枝明彦、上條恒彦 他


青山劇場では初めての2階席は、高さ的に塩田さんの後姿が真正面でした。
開演まで、咳をしている人がかなりいましたし、ざわめきも大きかったのですが、
塩田さんが定位置に着いたところで、一気に客席の集中力が高まるのを感じました。
それから終演まで、客席と舞台の集中力は途切れることはなくて・・・
こんなにも、咳の少ない舞台って、初めてでした。

観劇中の、特に台詞や歌の最中の咳って、どうしても耳障りですよね。
季節柄仕方のないことはわかっていても、
先日の「カリギュラ」の時などは、ちょっと本気でむかついてしまうタイミングでした(笑)。
まあ、私も「オセロー」の時は風邪でほんとに辛かったですが・・・
でも、暗転まで咳はガマンしたよ?

話が反れました(汗)。
でも、そういう客席の雰囲気にのまれて、私も一気に舞台に引き込まれました。
カナコさん演じるアンの第一声から、カーテンコールまで、何度泣かされたことか。
とても疲れたけど、でも、本当に素晴らしい千秋楽でした。

2階席から見ると、舞台の全体を把握することができました。
最初に見たときは、書割みたいなセットが、ちょっとチープかなあ、と思ったのですが、
全体を見ると、あの水彩のような色合いのセットと、
柔らかな色のドレスを着た出演者たちの動きが、
まるで絵画や古い映画を見るような印象で、とても美しいことに気づきました。
特に、「絵のレッスン」から「夏の終わり」にかけては、
斜めに射す照明とあいまって、溜息が出るほど美しかったです。
イギリスの短い夏の光は、こんなふうに柔らかいのかなあ、と感じました。
その美しい光景の中で繰り広げられる感情のやり取りは、
生々しさは無いのに、とても切なくて・・・
レ・ミゼのように圧倒的な生命力と力強さで向かってくるタイプではなく、
映画や、1冊の絵本を読んでいるような気持ちになりました。
常に背後にオケと指揮者の姿が見えているのも、そういう印象を強めたかもしれません。

物語は・・・うん、やっぱりミステリーとして見てしまうと、
いろいろ気になるところがあるのですが、
今回も観ている最中は、全くそんなことは気になりませんでした。
それぞれの役の感情が、最初に観てときよりもずっとずっと深く強くなっていて・・・
楽曲も、耳に慣れたのか、更に心に響いてくるように感じました。


今回観て、一番心惹かれたのは、ローラ役、神田沙也加ちゃんでした。
高音はやっぱり弱いし、声量も足りない。
けれど、この日の彼女は、3時間の物語の中で、
弱々しい守られるだけの少女から、芯の強い大人の女性への成長を、見せてくれました。
2幕、アンの出生の秘密を知った後から、
パーシヴァル卿を追い詰めるシーンの迫力は、本当に凄かった!!
あのシーンのローラの強さは、アンが乗り移ったから、という解釈もできるのかもしれませんが、
私は、あのローラも、間違いなくローラ自身だと感じました。

死してからも絶対的な存在だった父。
保身だけを考える臆病な叔父。
そして、自分の全てを踏みにじった、夫。
常に淡く微笑み、当時の淑女らしい従順さという美徳に縛られた彼女の中に、
それらの存在に対する恐怖や怒りは深く、静かに降り積もっていたと思う。
境遇は違うけれど、自分と同じ苦しみや恐れを抱いていた「アン」という存在を知った時、
そして、その「アン」が、一瞬の心の交差の後に殺されてしまった時、
彼女の中に降り積もった感情は、揺るぎない強さとして発現した。
あのシーンの彼女の強さは、それだけの根拠のある、しっかりとした「強さ」だったと思う。
決して一瞬だけの火事場のバカ力的なものではなくて、
アンの感情を感じていても、アンが乗り移り操ったのではなくて、
ローラ自身の怒りであり、追求であり、断罪であった。
そう思わせるだけのものが、沙也加ちゃんのローラにはあったと思います。

そして、やっぱり私は、ローラは全てをわかっていて、
その上で何も知らない振りをすることを選んだのだ、と思うのです。
常に自分を守り、自分を立て、自分を生きがいだという姉―――マリアン。
恐怖でも、怒りでもない、でも激しく暖かな感情を抱いたはじめての相手―――ウォルター。
自分にとって何物にも代えがたい二人が心を通わせていることに、
ローラが気づかないはずがない。
けれど、なら、ローラが身を引いたときに、二人が幸せになれるのか、と言ったら、
あの二人の性格を考えたら、それは絶対に無理だと、私は思うのです。
二人の間には常にローラがいた。
そして、二人の想いの根元には、常にローラの存在があった。
だから、彼女は何も知らないまま「幸せに」なることを選んだ。
それが、とてもとても切なくて―――本当に、泣けてしまいました。

カーテンコールでの沙也加ちゃんの挨拶に、またまた号泣でした(笑)。
ほんとにね、あのメンバーの中で、ローラという役を演じるのは、凄く凄く大変だったと思う。
現時点の自分の力量を、きちんと知っていればなおさら。
それでも、逃げ出さず、諦めず、妥協せず、「ローラ」という難しい役に立ち向かった彼女は、
本当に、本当に、凄いと思う。
このカンパニーが、それを支えるだけの懐の深さと、絆を持っていたのかもしれないけれど、
それでも、私は神田沙也加さんという女優さんに、心からの拍手を送りたいと思います。
再演で、また沙也加ちゃんのローラに会えるのを、楽しみにしておりますねv


ウォルター役、別所哲也さん。
1週間で、更に驚くほど若返ってらっしゃいました(笑)。
いやー、フォスコ伯爵の家に向かうマリアンを励ますシーンなんて、マリアンより年下に見えちゃったよ。
というか、マリアンが大人だったのかな?(笑)
あと、「絵のレッスン」のシーン。
ピクニックみたいに地面に布をひいて、肩肘で横たわるウォルターがめちゃくちゃかっこよくって、
これは姉妹とも惚れるよなー、と思いました。
や、もちろんそれだけではないのでしょうけど。

姉妹にとってウォルターは、あくまで「外の世界の人」。
自分を「外の世界」に連れて行ってくれる人。
自分を支配するのではなく、共に歩んでくれる人。
物語の中のウォルターははっきりいってへたれで、喧嘩も弱いし、すぐ諦めるし、
男としての「強さ」とは、ちょっと違った感じのキャラクターでした。
でも、そこなしの優しさがあった。
ローラへの、まっすぐな愛情があった。
その優しさと愛情こそが、支配され(精神的に)虐げられてきた三姉妹には大事だったのだと思う。

別所さんの歌は、この日もとてもとても迫力がありました。
そして、とてもとても優しかった。
みなさんのブログで予習していったので、細かな演技もチェックできましたv
「収穫祭」のローラとのラブラブっぷりは、もう微笑ましいばかりだし。
2回からだと、婚約パーティーのシーンの、奥の暗がりで苦悩するウォルターも良く見えました。
2幕冒頭のやさぐれウォルターも、とても切なかった。
ローラを愛しつつも、マリアンに惹かれていくそのきもちが、
すっとマリアンに伸ばされる手や、見つめる視線でも良くわかった。
だから、最後、ローラを抱きしめた後に天を仰ぐその姿が、とても心に残りました。

カーテンコールの別所さん、なんというかとっても微笑ましかったです(笑)。
最後の青年役、続投を心よりお待ちしておりますねー。
でも、その前にアメリカン・ドリームか。通いそうだなあ・・・


パーシヴァル卿役、石川禅さん。
一番印象に残ったのは、結婚式のシーンでの踊る姿でした。
禅さんのマリウスは観ていないし、M.A.ではあまり踊ってなかったし・・・
もしかして、踊る禅さんは初めて?!
めちゃくしゃ軽快なステップで、思わず目を奪われました(笑)。
パーシヴァル卿は、今日は最初から「いい人の仮面」をかぶっている感じでした。
笑い方すら胡散臭い・・・ある意味凄いです!
婚約パーティーの時は、これ見よがしにローラの肩抱いてるし(笑)。
DVシーンは、とっても怖かったけど、余裕の無い感じで、
パーシヴァル卿という男の人格障害の根底を垣間見た気がしました。
愛されたことがないから、人を愛することや、思いやることが出来なかったのかなあ・・・と。


フェアリー叔父さん役、光枝明彦さん。
この方が出てくると、舞台が19世紀イギリスになるような気がします(笑)。
とても細かく、堅実な演技をされる方だなあ、と思っていたら、四季出身でらっしゃいますか。
なんだか納得です。
でも、70歳でこんなに歌えるって、本当に凄いです!!
市村さんもそのくらいまで歌っていて欲しいなあ・・・(え)


フォスコ伯爵役、上條恒彦さん。
朗々と響く美声は相変わらずでv
こんなおじ様だったら、マリアン、もしかしてウォルターよりも幸せになれるかも?
と私も思ったのですが、原作を読んだ方のお話だと、
原作ではもっとずっと「悪い」人なんだとか。
アンの謎ももっと奥深いみたいですね。
原作、読んでみたいなあ、と思いつつ、積読の山を前に断念しています(笑)。
読まれた方に、あとで内容だけ教えてもらおうかな(え)。


アン役、山本カナコさん。
実は、冒頭のカナコさんの出から、既に涙腺決壊していました。
なんだかこの日のアンは、前回にくらべて、更に儚い印象があって・・・
嘆く声も、叫ぶ声も、三姉妹そろった時のあの笑顔も、
もう本当に切なくて、悲しくて・・・
ウォルターに会ったときに、全部話してしまえば、
それは無理でも、マリアンにすぐ全部話しちゃえば、
殺されずにすんだかもしれないのにね・・・
でも、あれだけ叫んでいて、この千秋楽も声にかすれはなく!!
素晴らしいと思いました。
カーテンゴールのご挨拶も可愛かったですv
私はオペラグラス使わなかったですよー(笑)。


そして、マリアン役、笹本玲奈ちゃん。
素晴らしかったです。
もう、本当にこの一言しか言えないくらいの、素晴らしいマリアンでした。
「All For Laura」では、拍手が鳴り止まなかったけど、
それが納得できるぐらいの歌と演技だったと思います。
普段の抑えた演技と、感情の迸る歌のメリハリ。
常に自分を律している姿と、ふと見せる揺れる乙女心。
ローラへの深い想いと、ウォルターに惹かれる抗いがたい想い。
精神病院で、ローラを見つけた瞬間のシーンは、本気で大泣きしてしまいました。
そして、最後、ウォルターが口付けた手に、ゆっくりと口付けるその横顔。
このとき彼女は白いショールを纏っていた。
その姿は、なんとなく、このミュージカルのロゴ(?)の白衣の女に通じるような気がしました。

物語の中、白衣の女はアンだったけれど、
届かぬ強い想いを秘めた女性全てのことなのかもしれないな、と思いました。
アンも、マリアンも、そしてローラも、ある意味では「白衣の女」だった。
淡い黄昏の光の中に佇む、寂しい横顔の女。
全ての人が、一点の曇りも無い「幸せ」を掴むことの出来ないこの物語の象徴。
そんな風に思いました。

カーテンコール、一転して初々しい玲奈ちゃんは、
でも、しっかり座長の貫禄も伴っていました。
別所さんにお姫様抱っこされて喜ぶ姿も微笑ましかったですv
ご自身のブログでは、楽しいことばかりが記されていたけど、
この若さで、座長を務めるというのは、並大抵のことではないと思います。
本当に、お疲れさまでした。
名古屋公演も頑張ってください!
そしてホリプロさん、是非再演を!!
もちろんメインキャストは変えずに!
そしたら、絶対通っちゃうと思いますが・・・(笑)



そんなこんなで、とても素敵な千秋楽でした。
そして、観劇の後は、別所さんファンの方々とご一緒させていただきました。
別所さんへの熱い思いはもちろんのこと、
他の役者さんや舞台のことなど、いろんなお話が聞けて、本当に楽しかったですv
ブログでお名前は存じ上げているとはいえ、
初対面の方が殆どだったのに、テンション高くて遠慮がなくてごめんなさい・・・
これに懲りずに、またなにかの機会にご一緒させていただけると嬉しいです。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
>全ての人が、一点の曇りも無い「幸せ」を掴むことの出来ないこの物語の象徴。

そうか〜〜!納得。それがこの物語なんですねえ。
星野富広さんの 「不幸が集まった方が幸せに近いような気がする」って
いうような詩を思い出しました。
私も ローラはみんなわかっていると思います。ある意味一番大きくて強いのはローラなのかも?二人の気持ちを知っていてもハートライトだけは渡したくないような女心、サヤカちゃんだと嫌味なく伝わってくる気がします。
図書館で原作かりてきました。ブログを書き上げてから読もうと思いま〜す。大丈夫皆ハイテンションですから(笑)私は予算の関係で偏った観劇なんですが 皆さんいろいろ観劇されてるので いろんな話題にとんでいけると思います。また機会があったらぜひぜひぜひ♪
kumigon
2007/12/09 02:21
kumigonさん、こんにちは!
やっぱり、ローラは絶対いろいろわかってますよね!
沙也加ちゃんの素晴らしさは、正直嬉しい誤算でした。
もう、しっかりファンですよ(笑)。
原作、私も読みたいんですが・・・
あの厚さはちょっと今の私には無理!(涙)
ので、読破されたら、是非アンの謎を教えてください!!
とりあえず、私はしばらくWIWのCDで英語の勉強です(笑)。
って他力本願ですみません(笑)。
恭穂
2007/12/09 15:19
こんにちは〜。その節はどうもアリガトウございました! すごく楽しかったです。
いつも萌え散らかしてばかりで(笑)ろくなレポができないワタクシといたしましては、恭穂さんの観劇記はいつもすごーく感動しております!
セットに関してはワタシも同じように思ってました〜。それから沙也加ちゃんは本当に本当に嬉しい誤算でありました。開幕前はあまり期待してなかったのですが、すごくよかったですよね〜。他のキャストもみんな適材適所で、全員このままでの再演を切に希望するところでありますが、とにかく早くしてくれないとウォルターが……(汗)。
原作はちょっと長いけど、火曜サスペンス風何でもありな感じですごくオモシロイですよ! ワタシしゃー3日で読んでしまいました。ミュージカルだと??な部分も原作だと納得できます。マリアンとウォルターの間に恋愛感情がないのがちと寂しいですが。
うり子
2007/12/09 17:29
うり子さん、こんばんは!
こちらこそ、ご一緒させていただいて、
本当に嬉しかったし、楽しかったです!!
別所さんのファンの方って、素敵な方ばかりだなあ、と
こっそりかなり感動しておりました。
またの機会があれば、是非お喋りさせてくださいねv
WIW原作・・・火サス風ですか・・・(笑)
というか、マリアンとウォルターの間に恋愛感情ないんですか?!
それはちょっとショックかも・・・
でも、いつか読んでみようと思います。
ええ、再演までには是非v(笑)
恭穂
2007/12/09 22:45
こんばんは。先日はお世話になりました!
私も沙也加ローラ大好きです。そしてローラに対する考察が、ほぽ同意見で嬉しいです。
ウォルターが自分を選ぶか、姉を選ぶか、私は最後の場面のローラはどういう結果になっても全てを受け入れる、神々しさみたいなものを感じました。
そしてウォルターは所詮ローラが愛しいという意見も、初日以来変わっておりません(笑)
原作は今読んでますが、まだ一巻が終わったところです。名古屋までに読み終わるかな…。
花梨
2007/12/10 00:03
花梨さん、こんばんは!
こちらこそ、お会いできてとっても嬉しかったですv
ローラに対する考察が一緒って、更に嬉しいv
最後、白いショールをゆっくりと纏うローラは、
確かに神々しさのようなものがありましたね。
原作・・・うーん、私もやっぱり読んでしまいそう(笑)。
名古屋、お気をつけて行ってきてくださいねv
恭穂
2007/12/10 20:45

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