瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2008/05/18 21:34   >>

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最近、またしても恩田陸さんにはまっております。
ちょっとした時間つぶしに短編集「象と耳鳴り」を読んで、
その流れにのって「三月は深き紅の淵を」に突入しちゃったんですね。
実はこれ、私が最初に読んだ恩田作品。
読み返すのはたぶん数年ぶりなのですが、
この本の得体の知れないパワーはやっぱり素晴らしいです!

ただ、恩田陸さんの本は、私の中でとっても振り幅が大きいのです。
上記の2冊や「光の帝国」「ライオンハート」「チョコレート・コスモス」のように、
私のツボど真ん中!という物語もあれば、
うーん、ちょっと・・・と思ってしまうものもしばしば。
これはもう好みの問題だと思うし、
それだけ恩田さんの中の物語の引き出しが大きいのだと思います。

で、私の中で触れ幅の大きい演出家さん、というと、
なんといっても宮本亜門さん!
そんなに本数は見ていないのですが、
めちゃくちゃ好みな舞台もあれば、
えええ!(汗)と思ってしまう舞台もあって・・・

さて、今回はどうかなあ、と思いつつ、「ルドルフ」を観てきました。(つながってよかった・・・/笑)


「ルドルフ  ザ・ラスト・キス」

2008.5.11 ソワレ 帝国劇場 2階A列30番台

演出:宮本亜門
出演:井上芳雄、笹本玲奈、知念里奈、香寿たつき、壤晴彦、浦井健治、畠中洋、岸祐二、
    新納慎也、岡幸二郎 他


皇太子ルドルフ。
厳格で実直な皇帝フランツ・ヨーゼフを父に、
美しく個性的な后妃エリザベートを母に持つ、
生まれながらの皇太子。
明晰な頭脳と、交際情勢を見渡す目を持ち、国への愛に溢れた皇太子。
彼が死ななければ、第一次世界大戦は起こらなかっただろう、とすら言われた皇太子。
けれど。
最後まで父とわかりあうことのなかったルドルフ。
幼いときから母の手を奪い取られたルドルフ。
多くの女性に愛を求めたルドルフ。
そして、自ら命を絶った、ルドルフ。

光と闇。
栄光と絶望。
理想と現実。
愛情と嫌悪。
信頼と裏切り。

相反する二つのことに、常に引き裂かれ続けた、彼。
常に、何かを失い続けていた、彼。

このミュージカルは、そんな皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッツェラの恋と、
マイヤーリンクでの心中事件を扱った物語でした。

演出が宮本亜門さんということもあり(笑)、
あんまり期待はせずに行った舞台でしたが、
思っていたより全然面白かったです!!
音楽がいい!
衣装がいい!
そしてなにより、主役の二人がいい!!

井上くんと玲奈ちゃん、二人の歌は、どちらの声もきちんと聞こえて、ハーモニーも綺麗で、
且つ、心情がしっかり伝わってきました。
個人的には、この二人の恋の選択にはちょっと共感できないし(え)、
それぞれの人物像も、私の中ですでに形作られていた人物像を壊すほどのインパクトはなかったのだけど、
一幕、恋に落ちた二人が、別の場所で互いを想いながら歌う曲には、
不覚にもちょっと涙してしまいました。

いろんな意味で自分の意思とは異なった選択を迫られ続けた二人が、惹かれあい、恋に落ちる。
一度は自身の立場と相手の立場と、そして周囲を慮って、別の道を選ぼうとした二人。
けれど、結局二人は共に死ぬことを選びます。

「毎日少しずつ死んでいくなら、いっそ一思いに死んだ方がまし」

最初、馬車の前に飛び出した貧しい女性が言う言葉を、
最後、マリーが口にします。
追い詰められた、言葉。
これしかもう道がない、と思いつめた言葉。
美しくて、身勝手で、切羽詰った恋の結末として、この選択は相応しいのかもしれません。
そこに至るまでの二人の心情はとても滑らかで納得のいくものでした。

まあ、私個人はどうしても受け入れがたかったんですけどね(笑)。
なんというか、否定され抑圧され続けた二人が、
互いに逃げ込み、疵を舐めあっているような恋に見えてしまったの。
そういう意味では、知念さん演じるステファニーや岡さん演じるターフェの方が共感しやすかったり。
・・・ちょっと危険ですかね?(笑)

そんな私ですら涙してしまったのですから、
やっぱりこの二人は凄いんだと思います。


ルドルフ役、井上芳雄くん。
やっぱりこの人の声はどうしても私の好みの中心からはちょっと外れるのですが、
役者としての彼の演技と合わさった時の、あの声が届けるものはとても大きいと思います。
清潔で、誠実で、一本気で、お坊ちゃまな皇太子ルドルフでした。
彼の政治的な有能さとか、強さとかよりも、
愛情に飢えた小さな子供のままの、彼の弱い部分の方が強調されていた気がします。
でもって、それはそれでとても魅力的でした。


マリー役、笹本玲奈ちゃん。
初々しくて、でも現実的なマリーでした。
この若さでこの存在感は、天性のものなのでしょうね。
ターフェとやりあうときの、恐怖を払いのける強気な様子が、痛々しいけどかっこよかったです。
こういう”芯の強い女性”がとても似合うなあ、と思いました。
最初の明るい笑顔が、追い詰められて、思いつめて、
どんどん厳しいものになっていくのが、なんだかとても生々しかった。
そして、歌はやっぱりぴかいちvでした。


ルドルフの妻、ステファニー役の知念里奈さん。
エポニーヌも良かったけど、ステファニーもとっても良かったです!!
マリーとは違う激しさと抑圧を、いやみなく演じてらっしゃいました。
基本的には、権力をたてにして夫を責め続ける嫉妬深い嫌な女なはずなのに、
知念さんのステファニーは、その背後にある葛藤や切望や愛情がきちんと透けて見えていました。
なので、余計にこっちに感情移入しちゃったんですよねー(笑)。
青や紫を基調とした衣装もとってもお似合いでしたv


ヨハン・ファイファー役、浦井健治くん。
最初出てきたとき、何事?!と思いました(笑)。
生で観るのはヴァンパイア以来なのですが、
しばらく見ない間に、歌声が私好みになってる!!
もっと歌って〜と思ってしまいました(笑)。
ファイファーは、狂言回しなのかな?
要所要所で必ずいる、不思議な役回りでした。
個人的には、リア王にとっての道化のように、
ルドルフの心を別の面から表現する分身のように感じました。


ラリッシュ役、香寿たつきさん。
相変わらずお美しく、そして麗しい歌声でした。
ルドルフの昔の愛人で、マリーの友人、そしてターフェともちょっと繋がっている、という難しい役。
表情や演技の一つ一つに意味がありそうで・・・
次に見るときは、もっと注目しよう!


ツェップス役、畠中洋さん。
「タンビエットの唄」の時も思いましたが、
とても自然に激しい情感を歌にのせることの出来る方ですね。


英国皇太子エドワード役、新納慎也さん。
出番はちょこっとでしたが、はじけてました(笑)。
「ウェディング・シンガー」のトークショーでの二人の記憶があるので、
井上くんと並んでいると、つい笑いと毒舌を期待しちゃいました(え)が、
それなりにきちんと真面目な皇太子だったように思います。
でも、出番これだけ・・・? アンサンブルにも出てるのかな。今度探そう!


プロイセン皇帝ウィルヘルム/カーロイ役、岸祐二さん。
ウィルヘルムの台詞、これだけですか?!
カーロイ役のときのほうが、よっぽど台詞あったし歌ってたよ?!
すっごい衝撃・・・
役名の並び写真に明らかに別の意図を感じたのは私だけ・・・?
でも、相変わらずいいお声でした。
「ミス・サイゴン」のジョン役、期待してますv


ブラット・フィッシュ役、三谷六九さん。
いい人でした・・・(涙)
この舞台の癒しですね。素敵に笑いをとってらっしゃいました。


オーストラリア首相ターフェ役、岡幸二郎さん。
真正面からの悪役!!
怖いけどかっこよかったですv
この迫力に負けない玲奈ちゃんは凄い!
ルドルフは負けてたよねー・・・って、そういう役柄か(笑)。
岡さんには、やっぱり黒い衣装が似合うと思う今日この頃(え)。


そして!
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ役、壌晴彦さん!
もう惚れ惚れするような美声でしたよv
歌う時と台詞の時と、あまり大きく声が変わらないのです。
だから、とても自然に歌詞が届く感じ。
井上くんとの歌も、とても迫力があって、且つ切なかったです。


でもって問題の(?)宮本演出。
今回は個人的には一勝一敗な感じかなあ・・・
きちんと意図があるとブログには書いてあったし、その意図もわかったのですが、
あの絵の一部を背景セットに使っているのには、どうしても馴染めませんでした。
開くべきでないときに扉が開いちゃってて、薄っぺらい印象になっちゃったのも悪かったかも。
でも、広い舞台に光の道を描いて、そこをワルツを踊りながら辿っていくシーンは、
美しく、且つオルゴールの上の人形のような現実感のなさで良かったです。
うん、今回は、この「光の道」がいろんなシーンで使われていて素敵でした。
それに、最初と最後が額縁の絵の中、というのも綺麗でした。
現実には確か彼らが死んだのは、冬のさなか、そして別荘の一室だったはず。
けれど、緑と光に満ちた小さな枠の中で、
白以衣装に身を包み死んでいく彼らは、
暗い光の中でワルツを踊る人々のように現実感がなく、だからこそ綺麗だった。
そして、美しいからこそ嫌悪感もあった。
・・・結構、好きなのかも(笑)。


ここから先は余談ですが。
私の中に形作られているルドルフ像。
これは、「エリザベート」のルドルフではもちろんなくて、
加藤知子さんの「天上の愛地上の恋」のルドルフだったりします。
このルドルフを超えるルドルフには、たぶん私はもう出会えないだろうなあ。
フランツ・フェルディナントとか、ミッツィとか、
漫画の中で非常に魅力的に描かれていた人物が、
ミュージカルでもちょこっと出てきていて嬉しかったですv
いろいろな意味で(笑)気軽にどなたにもお薦めできるタイプの漫画ではありませんが、
名作であることは間違いないと思いますので、ご興味のある方は是非手にとってみてくださいね。
・・・もしかして、もう絶版かもしれないけど(汗)。

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