瓔珞の音

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zoom RSS 愛のカタチ その2

<<   作成日時 : 2011/10/14 22:50   >>

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というわけで、ちょっと間が空きましたが、
先週私が観た「愛のカタチ」の記録その2です(笑)。


彩の国シェイクスピア・シリーズ第24弾
「アントニーとクレオパトラ」

2011.10.8 ソワレ 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール 1階F列20番台

出演:吉田鋼太郎、安蘭けい、池内博之、橋本じゅん、中川安奈、熊谷真実、坂口芳貞、横田栄司、青山達三、
    手塚秀彰、塾一久、廣田高志、池谷のぶえ、妹尾正文、大川ヒロキ、岡田正、石母田史朗、二反田雅澄、
    清家栄一、新川將人、井面猛志、篠原正志、田村真、下塚恭平、長谷川祐之、高嶋寛、小久保寿人、
    堀源起、露敏


ほぼ1年ぶりのさいたま芸術劇場、そして蜷川シェイクスピア!
この劇場は本当に大好きな劇場なので、久々でわくわくしてしまいましたv
シェイクスピア・シリーズだと、開場前にミニライブがあるのも嬉しくて!
この日は、"点to点"というバンド(?)。
金管とアコーディオンとパーカッション、そして時々歌、という不思議なグループでした。
懐かしいのになんだか元気が出る感じ。

そんなこんなでテンションを上げて望んだ久々の蜷川シェイクスピア。
でも、実はちょっと心配だったんですね。
ローマ時代の歴史ってあんまり良くわからないのと、
仕事の疲れがあったのと、マチネで笑いすぎて体力消耗したのと(え)、
腹ごしらえをしすぎた(ええ?)のとで、もしかしたら眠くなっちゃうかなあ・・・って。
でも、そんな心配は全くの杞憂でした!
もう最初から最後まで、全然飽きることもなく、眠くなることもなく、
根本的に変わらない人間の営みを描いたこの物語を堪能することができました。


物語の舞台は紀元前40年のエジプト・アレクサンドリア、そしてローマ。
ジュリアス・シーザーの暗殺後、その腹心だったアントニー(吉田鋼太郎)は、
その後対面した、シーザーの愛人であったエジプト女王クレオパトラ(安蘭けい)と恋に落ち、
ローマでの責務を放り出して、蜜月を楽しんでいました。
そこに届けられたのが、アントニーの妻の死と、ポンペイ(横田栄司)の叛乱の知らせ。
引き止めるクレオパトラを振り切って久々にローマに戻ったアントニーは、
同じく三執政官の一人であるオクタヴィアス・シーザー(池内博之)と激しく対立します。
ポンペイという共通の敵を前に、二人の関係を修復し強固なものとするため、
シーザーの姉オクテーヴィア(中川安奈)とアントニーの結婚がお膳立てされます。
なんとかポンペイと和平公約を結んだアントニーは、
クレオパトラに想いを馳せながら、新妻との生活を始めます。
しかしそこへ届いたのが、和平が成立したはずのポンペイをシーザーが攻撃したという報告。
オクテーヴィアの懇願の甲斐なく、二人の仲は決裂し、
アントニーは自軍とクレオパトラ率いるエジプト軍を従えて、シーザーとの海戦に臨みます。
しかし、戦いの激烈さに恐れをなしたクレオパトラが逃走し、
アントニーも自軍を置き去りに彼女を追ってしまったのです。
クレオパトラとの愛情は深まったものの、ありえない敗走に愛想をつかしてシーザーへ寝返る部下が続出。
追い詰められたアントニーは、それでも背水の陣でシーザーと互角に戦います。
けれど、両軍の力の差は歴然。
敗色が濃くなった時、アントニーはクレオパトラがシーザーに寝返り、情報を渡したと勘違いします。
怒りに溢れる彼が自分への愛情を自覚するよう、クレオパトラは自分が自害したとの偽の情報をアントニーに伝えます。
しかし、その知らせを受けたアントニーは絶望の余り自殺を図り、クレオパトラの腕の中で息絶えます。
アントニーの死を知ったシーザーは、クレオパトラをローマへの凱旋に伴おうと彼女に働きかけます。
けれど、その屈辱を良しとしないクレオパトラは自らの胸を蛇に咬ませ、息絶えたのでした。

という物語でした。
うーん、私がまとめると、なんだかめちゃくちゃ安っぽくなるのは何故だろう・・・?
でも、実際、これまでのシェイクスピアシリーズ(オールメール除く/笑)に比べると、
なんというか凄く身近で生々しい・・・TVの二時間ドラマを見ているような感じだったんですね。
いや、それは言いすぎかなあ(笑)。
でも、舞台は凄く壮大でなのですが、その元となるやり取りは、
国家というよりも個人のレベルの感情、という印象だったんですね。
だからこそ、楽しめた、ということもあるのかもなあ。

吉田さんのアントニーは、ちょっとはらはらするような目の離せなさが、
クレオパトラのような女性には魅力的だったのかなあ、と思わされました。
個人的にはちょっと苦手だなあ。
だって、人の話を全然聞いてない感じなんだもの(え)。
武将としての有能さとかも、2幕後半でやっと見えてくるという感じ。
まあ、そのくらい見事にクレオパトラに惚れてたんだろうなあ。
通路脇の席だったので、怒りに満ちたアントニーが直ぐ横を走り抜けたり、
アントニーを乗せた板を支える部下たちが立ち止まったりしました。
ちょっと怖くて本気で身体が引けちゃったし、
板の上のアントニーを見上げるのも憚られて、
部下の人の衣装の綺麗な刺繍を見つめてしまいました(笑)。
いや、すごく綺麗な刺繍だったの。
ローマ人は白が基本、エジプトは黒、クレオパトラは鮮やかな原色、
そして海の男ポンペイは青い衣装で、シンプルなのに凄く重厚な雰囲気で、
蜷川さんの舞台の衣装はやっぱり素敵だなあ、と思いました。
R&Jもこんな風な衣装がよかったなあ・・・まあ、踊るには重いかもしれませんが(汗)。

安蘭さんのクレオパトラは、本当にお綺麗でした!
そして、狡猾なほどの思慮深さと、少女のような真っ直ぐさが交じり合った、とてもミステリアスな雰囲気。
彼女にはまる理由を、橋本じゅんさん演じるアントニーの部下イノバーバスが滔々と語るシーンがあるのですが、
まさにその通りなんだろうなあ、と思ってしまいました。
アントニーとクレオパトラは、お互いにもの凄く心惹かれていながら、
でも、スタートラインで踏み違ってしまっていたのではないかなあ、と思いました。
純粋に、相手の本質に惚れ込んでいながら、
いろんな要因―――ジュリアス・シーザーの偉大さや、国と国の関係、文化や慣習の違い・・・
そんな本当にいろいろな外的要因のために、純粋に自分自身だけで互いに向き合うことができなかったのかも。
そして、そういう愛のカタチって、きっとこの物語の舞台である紀元前から現代まで、
根本的には変わらないのかなあ、なんて二人を見ていて思ってみたり。

蜷川演出初出演のじゅんさん!
いやー、なんというか異彩を放っておりました。
いえ、浮いてるとかそういうんじゃなくて、
アントニーやクレオパトラ、シーザーとは違う色合いの人間らしさ、というのかな。
取り繕わない生身の感情を、ちょっと斜めの方向から見せてくれた感じ。
アントニーに対しても、ただ盲目的に崇拝するのではなく、
自分が生きていくための礎として、自分の命を預けるに足る者なのかどうかを、
常に冷静に見つめている、という風に感じました。
でも、その冷静さの奥に、人間としてのアントニーに心惹かれる部分があったということも、
あの最後の嘆きの深さに感じられたように思います。
でも、声の出し方とか台詞回しとか、やっぱりちょっと他の方とは違う印象だったかな。
じゅんさんの個性とか魅力をそのまま、このお芝居に欠かせない色彩として取り入れた蜷川さん、
やっぱり凄いなあ、と思ってしまいました・・・って、ちょっと偉そう?(笑)

じゅんさんとは対照的に、蜷川シェイクスピア色そのもの、という安心感があったのが、ポンペイを演じた横田さん。
鮮やかな青い衣装がとてもお似合いでかっこよかったですv
野心はあるのに、人が良すぎる、ちょっと詰めのあまいポンペイを爽やかに演じてらっしゃいました。
それにしても、あの船の上での酔っ払い集団の踊りには、
笑っていいのか、呆れたほうがいいのか・・・?(笑)
苦虫を噛み潰したような顔をしながら仕方なく踊るシーザーがちょっとツボでした(笑)。

そのシーザー役は池内さん。
アントニーの放蕩ぶりをみた後に彼をみて、非常に真面目で常識的な人物かと思いきや、
思いっきりシスコン姉思いな弟でした(笑)。
アントニーを責め滅ぼしたのも、多分に姉への気持ちが原動力になってたんじゃないかなあ・・・なんて。
この姉弟の絆を見ちゃったら、アントニーも妻としてアクテーヴィアを受け入れることは難しかったかも、
とちょっと思ってしまいました。

クレオパトラの侍女、シャーミヤンは熊谷真実さん。
舞台で拝見するのはもしかしたら初めてでしょうか。
クレオパトラとは違う色合いの美しさのある方でした。
クレオパトラにとって、姉のような、母のような存在だったのかなあ、って。
そういえば、クレオパトラが自害する前、シャーミアンと池谷さん演じるアイラスにキスするのですが、
そのときのクレオパトラの仕草がとても自然で滑らかで綺麗で、ちょっとぽーっとなりました(笑)。
これはやはり宝塚出身ならではのナチュラルさなのでしょうか?・・・て違う?(汗)
シャーミアンの最期にはちょっと涙したのですが、
するすると去っていく蛇の姿に目を奪われて、泣くタイミングを逃した気がします。
あの蛇、どうやって動かしてたのかなあ・・・?

泣かされたといえば、今回の舞台はやはり二反田さん演じるエーロスに泣かされました。
最後の最後までアントニーに付き従うのですが、
彼の最後の選択は、そうだろうと予測がついた分、息を呑んで見つめてしまった感じです。
彼の死が、アントニーを更に自暴自棄にさせたのかもしれないなあ・・・

他のキャストのみなさんもとても渋くて(妹尾さん、やっぱり素敵v)、
ほんとに最初から最後まで飽きずに観ることができました。
40場もあるというお芝居を、シンプルな舞台セットで視覚的に場面転換するのは、
まさに演劇的!という感じなのかしら?
そうえば、あのローマの象徴である狼は、「タイタス・アンドロニカス」で使われたものでしょうか?
移動が多かったので、そのたびに下で狼の乳を含むレムス(かな?)がぐらぐら揺れていて、
ちょっとドキドキしました(笑)。
あと、エジプトの象徴の蓮のピンクと緑、そしてアヌビスの黒が、
クレオパトラの衣装と同じくらい印象的でした。
白く清潔なローマと、色彩豊かで猥雑としたエジプト。
アントニーが心惹かれるのも、シーザーが嫌悪するのも(しているように私には見えました)、
なんだか納得な対比だったように思います。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
11/10/15 さいたま千穐楽「アントニーとクレオパトラ」の騒がしい純愛
観劇の感想が滞っているが、これは書いておきたいというものからアップしたい。まずは「アントニーとクレオパトラ」から。 昨年10月は日生劇場で幸四郎主演の「カエサル」を観た。その前に家にあった新潮文庫でシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』を読んだが、戯曲の主... ...続きを見る
ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記
2011/12/26 21:58

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
早くアップしたいと思いつつ、途中まで書きかけのままだった記事を3連休ということでようやくアップ。TBもさせていただきましたm(_ _)m
今回も松岡和子さんの戯曲を滑り込みで読み終えての観劇でした。始まりは喜劇的でどうなるのかという感じなのにどんどん大悲劇になっていくドラマですが、読んだだけではそんなに面白く感じられなかったのです。しかしながら、俳優たちが生き生きと魅力的な人物として動き回ることで断然面白くなりました。場面転換をスピーディに印象的にこなしていたのがよかったですよね。まさに蜷川マジック!
喜劇的な場面から悲劇への落差の大きさがドラマの奥行きを広げ、英雄であっても愚かしい面をもっていることを描き出すことで、人間という存在への愛情を深めてくれていました。蜷川さんがシェイクスピアと格闘する舞台を観る幸せを今回も噛みしめました。
次回の「シンベリン」も千穐楽でGET!楽しみにしているところです。
ぴかちゅう
2011/12/27 00:24
ぴかちゅうさん、こんばんは!
このお芝居の時は、日程が合わずお会いできず残念でした。
ぴかちゅうさんのレポ、楽しみにしていたので、
とっても嬉しいですv
これからブログにお邪魔しますね!

あの場面転換の鮮やかさは、ほんとにさすが蜷川さん!ですねv
私は戯曲は読まずに臨んだのですが、あのセットや場面転換のおかげで、
混乱せずに観ることができました。
"英雄"というよりも、確かに"人間"を描いていたように思います。
最近、松岡さんの「深読みシェイクスピア」を購入し、
興味深く読んでいます。
「シンベリン」もとっても楽しみ!
残念ながら千秋楽ではないのですが、
また何かの舞台でご一緒できると嬉しいですv
恭穂
2011/12/28 23:17

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