瓔珞の音

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zoom RSS 純化する意識

<<   作成日時 : 2012/10/26 23:22   >>

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このブログの名前は、宮沢賢治の詩の一節からいただきました。
小さい頃から、宮沢賢治の物語には触れていたけれど、
詩を読んだのは、大学1年の文学の授業が初めて。
その、今生きる場所をほんの少しだけずれた位相から見つめているような詩の世界と、
その世界に微かに響く、澄んだ瓔珞の音のイメージがとても鮮やかで、
何度もその詩を読み直しました。

そんな風に、私の中でちょっと特別な位置にいる宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に、
アッキーの出演が決まったと知ったとき、
これはもう絶対に観にいかなくちゃ!!と思いっきり気合が入ってしまい・・・
ちょっと無謀な観劇日程となってしまいました(笑)。


「星めぐりのうた」

2012.10.19 ソワレ 銀河劇場 1階F列30番台
2012.10.20 ソワレ 銀河劇場 1階A列20番台
2012.10.21 ソワレ 銀河劇場 1階L列10番台

演出・振り付け:上島雪夫
脚本・歌詞:桑原裕子
音楽:坂部剛
楽曲提供:佐橋俊彦、中川晃教、アルケミスト
出演:中川晃教、山崎育三郎、植木豪、フランク莉奈、岡田亮輔、杉崎真宏、大野幸人、田極翼、三枝宏次、
    浜手綾子、皆川まゆむ、橋本由希子、土居裕子


「銀河鉄道の夜」を、現代の東京に舞台を移して翻案したこの舞台。
主人公のコウイチ(中川晃教)は、上京はしたもののビル清掃やティッシュ配りのバイトで生計を立てる日々。
バイトを終えた深夜のビルの屋上で、見上げる空の星は余りにも遠くて、
光ることのできない自分は石ころにしか思えませんでした。
ある日コウイチは、偶然再会した小学校の同級生・丸田(岡田亮輔)から、その夜に同窓会があることを知らされます。
親友・慧(山崎育三郎)も参加するのか、と聞くコウイチ。
小さい頃、先生に問われた「好きな星座」を答えられずからかわれた自分を、
「僕が好きなのも、名前のない星です」と言って助けてくれた、慧。
大切な親友である慧に、けれどコウイチはどうしても連絡を取れずにいたのです。
しかし、それを聞いていた、同窓会を企画した同級生で、今はコウイチの雇い主でもある重実(植木豪)は、
参加するつもりなのか?とコウイチに詰め寄ります。
お前のことを思って、誘わなかったのに、と。
みんな、お前の父親のこと―――蒸発したあるいは服役中の父親のことを知っているのに、と。
その言葉に、コウイチは悄然と次のバイトへ向かいます。
そして、いつものように疲れきって屋上のベンチに座ったコウイチは、
いつも間にか、宇宙を走る列車の中にいました。
そして、隣には、慧。
二人は、まるで子どもの頃に戻ったかのような笑顔で、銀河鉄道の旅に踏み出します。

過去の記憶に続く、大きな穴。
その穴を掘り続ける、一人の男。
取り付かれたかのように計算を続ける男。
青い光の中をたゆたう、彷徨える魂の白い影。
豪華客船から乗り換えてきた、兄妹とシンガーとの出会い。
彼らが語る、その旅の顛末。
妹が見た夢の中、桔梗色の空に真っ白な渡り鳥が飛び立つ、天国のように美しい光景。
守るものを持たず、殺戮に明け暮れたサソリを焼き尽くした炎。
南十字星での、別れ。

不思議な旅の中で、本当に"生きる"ことの意味を考え始めた二人。
"誰かのほんとうの幸せのために"生きてみようと思うコウイチ。
"ほんとうの幸せ"すらまだわからないけれど、慧と二人なら強くなれる。

けれど、コウイチが目覚めたのは、空の遠いあの屋上。
そして、丸田から届いたメール―――慧が、重実を庇って車に轢かれ、命を落としたという、事実で・・・


という物語。
時代が現代なので、どんな風になるのかな?とちょっと不安でしたが、
思っていたよりもしっかり「銀河鉄道の夜」で、嬉しくなってしまいましたv
本を読んだのはもうずいぶん昔だけれど、記憶に残る台詞やフレーズが、ちゃんと使われていましたし。

舞台セットはとてもシンプルで、舞台中央のベンチのほかは映像を多用した演出でした。
それはもうほんとに思い切りよく映像と照明だけで場面を変えていました(笑)。
映像そのものは、うーん・・・と思う部分もないわけではなかったけれど、
とてもわかりやすかったんじゃないかな、と思う。
ダンサーさんたちが加わることで、映像だけの味気なさはなくなっていましたし。
音楽も、とっても耳障りのいい、わかりやすい曲が多かったように思います。
歌詞もほんとにストレートで、素直に心に入り込んでくるような感じでした。
というか、アッキーの曲が4曲もあって、ほんとに嬉しかったv


そんなアッキーのコウイチ。
いやもうびっくりするくらい、ネガティブ!(え)
猫背で、いつも俯いていて、言葉も一言言うと後は飲み込んじゃう感じ。
多分コウイチって、凄く真面目で、一歩一歩考えながら進んでいくタイプなんだよね。
でも、そのテンポは、きっと回りとはちょっとだけ違っていて・・・
それゆえに、自分の中にある強い思いや矜持を、押し込めて、諦めた振りをして、
それでも燠火のように疼く熱を持て余しているようでした。
大好きな親友の慧に、今すぐに会いたい気持ちと、こんな風な自分を見せたくない気持ち。
故郷で一人暮らす母親を、労り思いやる気持ちと、甘えと裏腹な強がる気持ち。
自分たちを置いて行方をくらました父を、信じ慕う気持ちと、憎み嫌悪する気持ち。
いろんな気持ちでいっぱいいっぱいになって、まるで迷子みたいな表情をしてるな、と思いました。
慧とともに旅をするなかで、コウイチが本来持つ素直さとか、優しさとか、我慢強さとか、前向きさとか、
そういうものが、どんどん見えてくるのは、なんだか見ていてとても嬉しい気持ちになりました。
そして、子どもの頃のように素直であけっぴろげな笑顔で笑ったり、拗ねたり、甘えたりしながら、
出会いと別れの中で、自分の生き方を見つめなおしていく様は、
ちょっと気恥ずかしくなるくらいの真っ直ぐさがありました。
でも、なんだかとっても可愛かったv

そして、山崎くんの慧がまた、めちゃくちゃコウイチに甘いんですよね(笑)。
二人が小学生並にじゃれあう様子は、見ていてほんとに微笑ましかったですv
まあ、千秋楽はちょっと遊びが過ぎるかなあ、という気もしましたが(笑)。
というか、山崎くん、アドリブの言葉とか仕草にちょっとおばちゃん入ってませんか?(え)
歌声も、それぞれの声がきちんと聞こえるのに、全然ぶつからないというか・・・
聞いていて、なんとも気持ちのいいハーモニーだったように思います。
二人が旅に出るときに歌う♪疾走BGMを初めて聞いたときは、
二人の声の重なり合いがほんとに素敵で、嬉しくて、ワクワクしちゃいましたv

そんな山崎くんの慧は・・・なんというか、無邪気な傲慢さのある男だな、と最初に思いました。
弁護士になって、バリバリ働いて、忙しさに負けて連絡は取れないけどコウイチのことは気にしてて。
困ってる友達を見捨てられない。
誰かを助けるために、僕は太陽になる。
そんな風に、なんのてらいもなく歌い上げる慧。
その思いは、本当に純粋なんだろうとは思う。
彼には、決して悪気なんかはないんだろうと思う。
彼の中には、きっと"こうあるべき自分"の姿が、クリアに見えていて、そのための努力も惜しまないんだと思う。
でも、慧の"正しさ"って、もの凄く重いなあ、とも思ってしまったの。
なんかね、彼を目の前にしたら、彼に思いやられればやられるほど、自分が萎縮しちゃうような気がするのです。
コウイチが慧に連絡を取れなかったのも、そのせいなのかなあ、なんて。

もちろん、慧にもきっといろんな葛藤があって(彼の母親は言葉にすらでてこなかったし)、
挫折を知らないわけではないのだとは思うけれど・・・
でも、たぶん♪僕は太陽になる の時点で、慧は自分の前にある未来が突然消えうせるとは、思ってもいなかった。
銀河鉄道の中、コウイチと旅をする中で、
"未来"という言葉に触れたとき、彷徨える魂に出逢ったとき、沈み行く船の顛末を聞いたとき、
すっと慧の表情は抜け落ちた。
そして、未来を語るコウイチに向けられる視線には、慈愛以外の暗い色合いもあったように思うのです。
コウイチを心配し、応援する気持ちと同じくらい、
きっと旅の前半の慧には、自分からは奪われた未来を持つコウイチに対する複雑な想いがあったと思う。
けれど、この旅での出会いと別れの中で、その想いはどんどん純化されていった。
兄妹たちと別れたあと、未来を語るコウイチの言葉に相槌を打つ慧は、
その笑顔も、存在自体も、どんどん透明になっていくような気がした。
その慧の存在と、力強さを増していくコウイチとの対比がとても鮮やかで―――ちょっと涙しそうになりました。
でも、そんな風にどんどん慧の存在が透明になっていったからこそ、
ラストシーン、現実世界で懸命に生きるコウイチを見守り歌う慧の存在は、
1幕の太陽になろうとした慧とは全く違う説得力があったように思います。


アッキーと山崎くん以外のキャストは、みなさんいろんな役をされてました。

植木豪くんは、重実役と銀河鉄道の車掌役と暗殺者サソリの役。
これまで幾つかの舞台で拝見してますが、ダンスをこんなにも観るのは初めてかな。
このタイプのダンスって、あんまり馴染みがないのですが、それでも純粋に凄いなあ、って思いました。
サソリと同業者のシーン、最前列で観た時は、余りの迫力にちょっと体が後ろに引けました(笑)。
重実とサソリって、ちょっとリンクした役柄ですよね?
2幕では重実は出てこないのだけれど、慧の死を受け止めた重実が、
このあとどんな風に生きていくのか、ちょっと気になりました。
車掌さんは、旅の始めに切符を確認するシーンだけなのですが、ここってきっと毎回アドリブですよねー。
千秋楽では、アッキーも便乗して(?)慧にM!の曲を歌わせようとしましたが、
この時の山崎くんの対応が、なんというかとっても冷静で笑えました(え)。

アドリブといえば、過去に続く穴に向かって叫ぶのもいろいろでしたねー。
好きな子の名前、と慧が言って、コウイチが「しずちゃーん!」と叫び(誰?)、
慧は「コンスタンツェー!」と叫び、それに向かってコウイチが「ガイジン?」とつっこんだり、
慧が「プロフェッサー!」叫んだら、アッキーも同じこと叫んだり・・・
ジュリエットも呼ばれてたみたいですね(笑)。
このへんの遊びは、好みが分かれる部分だと思いますが、私的にはギリギリセーフな感じかな?


岡田亮輔くんは、コウイチの同級生の丸田、コウイチの父・保、IT戦士・カオルの兄を演じてました。
インパクトとしてはIT戦士がダントツ!
髪型と衣裳も凄かったですが、あの歌を無表情で歌いきるのって凄いと思う。
テンポもトーンもどんどん上がっていって、でもたぶん地声で歌いきってたよね。
あの曲は、暫く耳に残りました。
保役も、個人的にはとても好みでした。
表情とかは良く見えなかったし、歌自体はとても短かったのですが、
三人の関係を凄くクリアに見せてくれたように思いました。
カオルの兄のノーブルさも良かったなあ・・・
カオルを見る目が凄く優しくて、癒されました。

カオル役のフランク莉奈ちゃんが、まさに天使のような可愛らしさだったの!
「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」の時とは全然雰囲気が違って、
どちらかというとジュリエットに近い感じ?
でももっとずっと幼さが感じられて・・・あの無邪気さにはちょっとくらくらしました(笑)。
これはお兄さんも慧も無意識に微笑んじゃうって!
歌は、高音ばかりでほんとに難しそうでしたが、凄く頑張っていたと思います。
というか、岡田くんのお兄さんと、土居さんのシンガーと歌う♪霧の向こうに は、
ほんとうにほんとうに美しくて・・・
この曲の中に、踏み出すごとに重荷が解かれる、というような歌詞があったのですが、
彼らが向かう先が安らぎの国であることを、すんなりと信じてしまえるような雰囲気がありました。

実は、この舞台を観る数日前に、長くお付き合いしてきた命を見送ったところで。
その方を見送るとき、その方のお父様が、
「この子の兄に、この子はやっと自由に歩いたり走ったりできるようになるんだから、泣いてちゃだめだ、といわれた」
とおっしゃって、ご両親で本当に笑顔で看取られたのです。
このシーンを見た瞬間、その言葉が思い浮んで・・・
彼女も、こんな風に綺麗で優しい場所で、自由に、軽やかに歩いているのかな、と思ったら、
なんだかもう涙を止めることができなくなってしまいました。

土居さんは、このシンガーと、コウイチの母・晶子役。
コウイチと晶子が電話で話す♪ミルク という曲は、優しさとやるせなさに溢れていて、
しかもアッキーと土居さんの歌声の重なりが、
山崎くんとはまた全然違う滑らかさがあって、ほんとに素敵でしたv
そして、晶子の若いときも、ほんとに20代に見えました!
「タン・ビエットの唄」といい、土居さん凄い!!
シンガーは、歌声の美しさも素晴らしかったですが、
アッキーとの台詞以外の部分でのやり取りがとても繊細で、愛情に満ちていて・・・
慧にとってカオルとの出会いが"今の自分"を受け入れる転機であったと同じように、
コウイチにとってもシンガーと交わした感情は、
サソリとの出会いと同じくらい強いきっかけになったんだろうな、と思います。

杉崎さんは、コウイチたちの小学校の先生、穴を掘る男、慧の父・日比野、客船のギャルソンなど、
沢山の役を演じてらっしゃいました。
そして、そのどれもが全くの別人に見えるの!
衣裳などにもよるんだとは思いますが、声が全然違うんですよね。
それぞれの役に、きちんと背景を感じさせてくれて、おおお!と思いました。
ラスト近く、病院でコウイチと向き合う日比野が、
私の中にあるカンパネルラの父のイメージとすっとかさなって、それがとっても嬉しかったなv


ダンサーさんたちは、ほんとにみなさん大活躍でした!
コウイチたちの同級生から、彷徨える魂から、渡り鳥から、客船の乗客から・・・着替えるの大変だったろうなあ。
1幕の最初の方で、コウイチや慧が歌うときに大野さんと田極さんが踊ったり、
過去の穴の中でコウイチの両親と慧の父の関係が描かれるときに、
やっぱりダンサーさんが同じような動きをしたり、というのがありましたが、
そのあたりの描き方が、ちょっと中途半端な感じで残念だったかな。
とはいえ、どのシーンのダンスもとても綺麗で見ごたえがありました。
カーテンコールでも着た白い衣裳、それぞれちゃんと形が違っていて、とっても綺麗だったな。


うーん、なんだか散漫な感想になりましたが、
個人的には、予想以上に楽しめたし、好みな舞台でした。
上演期間が短かったのがとっても残念。
千秋楽のカーテンコールで、演出家さんも「もっと練り直したい部分もあるし、いつか再演を」、
というようなことをおっしゃっていましたが、是非!
コウイチや慧も、もっと深めたり、クリアにしたりできる部分があるんじゃないかな、と思います。
ちょこっと期待して、待っていようと思いますv
というか、曲がほんとに綺麗だったので、CD化だけでもしてくれると嬉しいなあ・・・!
特に、カーテンコールの♪星めぐりのうた !!
この曲、何故かもの凄く私の涙ポイントにヒットしたみたいで、
3回とも泣けて泣けて仕方がありませんでした。
どうしてこんなに泣けたのか、自分でも良くわからないんだけど・・・
最前列で観た時は、思いっきり泣き顔だったせいか、
目の前に立ったアッキーに"大丈夫?"という目で見られた気がする・・・いや、多分気のせいだけど(笑)。
でも、この曲があったからこそ、この舞台の後味がとても良くなったんじゃないかな、って思います。
いつかまた、この曲を聞けることを、本当に本当に楽しみにしておりますv

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