瓔珞の音

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zoom RSS 盤上で向きあうもの

<<   作成日時 : 2013/12/21 20:33   >>

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この三連休は午前中お仕事で、午後は自宅待機という勤務体制。
昨日夜遅くまで会議をしていてちょっとへろへろしてたので、午後にちょっとお昼寝をしました。
そうしたら、見事に大阪の劇場にいる夢を見た(笑)。
舞台が始まる前に目が覚めちゃったけど、本気で気持ちだけ大阪に飛んでたかもしれません・・・(え)
今頃はまさに白と黒の世界で人と人、国と国、人と国が、静かな戦いをしているころでしょうか。


「CHESS in Concert」

2013.12.14 マチネ 東京国際フォーラム ホールC 1階1列20番台
2013.12.14 ソワレ 東京国際フォーラム ホールC 1階22列30番台

作曲:ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース
原案・作詞:ティム・ライス
演出・訳詞:荻田浩一
音楽監督:島健
出演:安蘭けい、石井一孝、中川晃教、マテ・カマラス、AKANE LIV、戸井勝海、
    池谷京子、角川裕明、田村雄一、ひのあらた、横関咲栄、大野幸人


初演で思いっきり堕ちて、幕間に大阪のチケットを購入という暴挙(笑)に走ったこの舞台。
(そのときの記録はこちらこちら
待ちに待った再演は、キャストも曲編成も演出もセットもマイナーとは言い切れない変更を加えた、
second versionでした。
個人的には、初演とは印象が全然違っていました。
うん、いい意味でも悪い意味でもまさに別物、という感じ。
あ、悪い意味、というのは私の個人的な理由です。
前回気持ちを根こそぎ持っていかれるくらい嵌ったので、
その後英語のCDを聴きながら初演キャストでの記憶を何度も脳内再生しちゃったんですよねー。
なので、最初は初演と違うところばかりが目に付いてしまって、
あの世界に気持ちを委ねることができなかった感じです。

というか、いきなり最前列というお席もちょっとどうしようかと思いました。
いえ、役者さんの細かな表情や生の声も聞こえる感じもあって凄く贅沢だったのですが、
みなさん非常に迫力のある方ばかりなので、
目の前で歌われると無意識に体が逃げを取るというか(笑)。
いえ、実は逃げてるだけじゃなくて、結構戦闘モードになっちゃったみたいで(え)、
楽しんで受け止める、というよりも「負けるもんか!」という気持ちが沸き起こってしまい・・・
まあ、それはそれで、ある意味深くあの世界に入り込んでたことになるのかな?
舞台を観ていてこんな好戦的な気持ちになったのは初めてで、今思うと楽しかったかも?
まあ、役者さんにしてみれば、最前列の客が睨むように見つめてたら嫌でしょうけどねー。
ほんと、すみませんでした。

それにしても、間近で見る安蘭さんはじめ女性陣のみなさん、ほんとにお美しかったですv
でもって、アッキーも綺麗だった!
それにも凄くびっくりしたなー。
これまでアッキーをかっこいいとか可愛いとか思ったことはあっても、
"綺麗"という形容詞で考えたことはなかったので、自分でも結構びっくりしました。
そもそもプログラムの写真が"綺麗"系だったのですが、まさか舞台でもそういう色合いだとは!

アッキーのフレディは、初演よりも更に行動と歌声は自由に(プレスに向かって飛び跳ねるとこ可愛かったv)
、役としての感情は閉鎖的になったような印象でした。
なので、初演の時のように、劇場を満たす光のような歌声に全てを持ち去られる、というよりは、
フレディという孤独な天才の押し隠された本音や気持ちの変遷に、とても興味を引かれました。
感情は閉鎖的、と書きましたが、フローレンスに対するフレディの気持ちについては、
曲や台詞が増えたのかな、なんだかとてもわかりやすくなっていました。
ただ、その分かりやすさは観客にとってであって、フローレンスには全然伝わってないんですよね・・・
今回観ていて、この二人はどんな風に出会ったのかな、と思いました。
どんな風に出会って、どんな風に互いを知って、どんな風に惹かれあっていったのか・・・?
フローレンスの過去をフレディは知っていたけれど、
フローレンスはフレディの過去を知っていたのかな・・・?って。
なんだかね、フレディは自分の子ども時代をフローレンスには語っていなかったんじゃないかな、って思う。
フローレンスの眼に映る "今の自分"が"真実の自分"だと、
そう自分に信じさせるためにも、彼は語れなかったんじゃないかな。
でも、理解して欲しいという気持ち―――甘えは確かにあって。
一方で、理解されるわけはない、という現状も彼には分かっていて・・・
フローレンスを酷い言葉で罵倒した後のフレディの表情が、見ていてとにかく辛かったです。

それにしても、アッキーの♪Pity The Child は本当に絶品!
ソワレはちょっとショーストップになっちゃうくらい拍手が続いたけど、当然だよね、と思いました。
この1曲で、歌詞による説明を超えてフレディが過ごしていた時間をきちんと感じさせてくれる・・・
だからこそ、この後のチェスの試合を綴るシーンは、息を呑んで見つめてしまいました。

今回も大野さん演じるチェスの精?チェッシー?が縦横無尽に舞台を彩っていたわけですが、
白と黒の四角い枠を使ってのチェスの対戦のシーンは、
フレディの時もアナトリーの時も、なんとも象徴的なつくりだなあ、と思いました。
なんというかね、フレディが戦っているのは自分自身なんだと、
小さな盤の上の広大な世界の中で、いろんなものに手足を縛められながら、ただ彼らは孤独に戦っているのだと・・・
そのことを台詞でも歌でもなく、ただ彼らの動きと表情で突きつけられた感じです。
初演の赤い布を取り合うのも好きだったけれど、
今回の演出ではチェスに対するフレディとアナトリーの向き合い方の違いが凄くクリアに感じられて、
とても面白いなあ、と思いました。


石井さんのアナトリーはねー、前回と究極の自己完結型、という印象は大きく変わらないのですが、
今回はスヴェトラーナに気持ちが寄り添っちゃったので、
アナトリー許すまじ!というか、この男はどうしようもないんだよね、という苦笑いというか(笑)。
2幕で自分が他の人にどう見えるか、と歌っているけれど、
うん、それはそう見えると思うよ、としか思えず(笑)。
で、それが分かってても、彼は自分の思うように進んでいくんだなあ、とも思いました。
たぶん、アナトリーの中では、優先順位が明確に決まっていて、
それを越えて突き動かされるような熱情とは別の形の情熱があるんだろうな。
チェスも、彼にとっては一つの手段であって・・・
だからチェッシーくん(笑)との試合も、戦うというよりも、確かめて手に入れる、という感じでした。
そんな風に感じちゃったので、アナトリーの歌はどれも偽善的に聞こえちゃったなー。
ま、そういう男だよね、アナトリーって(え)。


安蘭さんのフローレンスは、今回は強さや聡明さよりも、弱さや愚かさの方が強調されてたかな。
でも、自分の中のそういうマイナスの部分をちゃんと知っていて、
その上で自分の望むものを選び取っていく姿勢が、とにかく美しかった。
ある意味、フローレンスは言葉の足りない二人の男に翻弄されたんだよね、とも思う。
自分の根っこの部分は語らずに、でも理解してくれ!と無言で叫ぶフレディと、
自分ひとりで全てを解決して、決して分かち合おうとはしないアナトリー。
うーん、どっちもどっちだなー(笑)。

そういえば、初演の時は2幕でのフローレンスのお父さんのくだりは、
最後の最後まで彼女には伝えられていなかったように思うのだけれど、
今回は2幕の前半でウォルターが伝えちゃってましたね。
アナトリーに提示された条件は半分しか伝えてなかったけれど、
この時点でフローレンスがソビエト側の思惑を少しでも知っているか知らないかで、
結構フローレンスの感情の動きって変わっていくよなあ、としみじみ思ってしまいました。
だって、これだけの情報だったら、とうぜんフローレンスはアナトリーが自分よりチェスを取った、って思うよね。
彼はそうする、って思っていても、もう一つの条件を知らずにいたら、
ただ、自分は捨てられた、と思うしかないかと。
そういう意味では、♪I Know Him so well と♪Florence and Anatoly の在り方って、
初演とはかなり違ってきているなあ、と思いました。
だからこそ、そこから終盤に向けてのフローレンスの感情の流れがとても鮮やかだったのですが。


今回初登場の、戸井さん演じるウォルターは、まさにキーパーソン、という感じ。
初演の時にアービターが担っていた部分の一部がウォルターに移行した感じかな?
歌詞はもちろん表情や仕草、舞台上で立っている位置すらも意味深で、
ウォルターだけを見ていると、また違った「CHESS」の世界が見えてくるんじゃないかな、と思いました。
もちろん、実際にはそういうわけには行かなくて、ちょっと悔しい思いをいたしましたが(笑)。
個人的には、この舞台の中で"全て"を俯瞰して見えてたのは彼なのかな、とも思います。
・・・偏った場所からであっても。
最後の最後のウォルターの台詞からフローレンスの言葉、そしてラストの♪Anthem の流れは、
初演で腑に落ちなかった部分がちょっとクリアになったようにも感じました。
そして同時に、この物語が人と人の想いのぶつかり合いだけでなく、
国と国、そして人と国の関係性を描く物語であることを突きつけられたように思います。
東西冷戦については、私は教科書的なレベルの知識しかないのですが、
"人"が動かしているはずの"国"が、"人"の人生を大きく左右し、
"人"が動かしているはずの"国"であるのに、"人"の力ではどうにもならないということの容赦のなさ―――
私自身、まだまだま全然深く理解できているわけではないのだけれど、
♪Anthem の中でアッキーが歌う「裏切り」という言葉の意味を、終演後も考えてしまいました。


マテさんのアービターは・・・うーん、まずは遠目から見たかったかなー(え)。
いえ、結構真正面で歌われることが多かったのですが、
歌声よりもそのビジュアルとか表情とか動きとかに目が言っちゃって(笑)。
あの左右で違うメイク、似合ってたけど結構怖かったです(え)。
でもって、実は昨年末のクリエでしか拝見したことがなかったこともあり、
最後まで歌声に馴染むことができなくて・・・それがちょっと残念だったかなー。
あ、でも♪Arbiter はめちゃくちゃかっこよかったです!
ギターとベースも凄くて、ちょっと椅子の上で体が動いちゃいました(笑)。
今回はオケも人数が増えてたみたいですね。
「CHESS」の楽曲はいろんなジャンルの曲があるのですが、
個人的にはロック調の曲のギターとベース、
♪Pity The Child のチェンバロの音色、
そして、フルートをはじめとした木管の音色に心が震えました。

アービターに話を戻しまして。
今回のアービターは、とにかくチェスのことしか考えてない"人間"という印象。
前回の浦井アービターが、"人"を越えた場所にいるような印象だったのとは大きく異なっていました。
1幕では、チェスの場を乱すものに対する怒りの鮮やかさに目を見張りましたが、
2幕の在り方がどうにもわかりにくかったなあ・・・
どうしてフレディのインタビューを褒めるのか、どうにも理解できなくて。
ああ、アービターを理解するためだけでも、もう1回見たかったな。


AKANEさんのスヴェトラーナは、フローレンスとは全く異なる美しさ。
なんというか、スヴェトラーナは信じるために、守るために戦っているんだなあ、と思ってみたり。
2幕冒頭の♪You and I がとにかく素晴らしく綺麗で、
でもだからこそ、どうしてアナトリーは彼女を置いて国を出たのかということを、
改めて疑問に思ってしまったり・・・
スヴェトラーナは、アナトリーが帰国することを本当に望んでいたのかな?

AKANEさんは1幕はアンサンブル、というかアービターの手下(笑)の一員だったわけですが、
そのときとはがらっと雰囲気が変わっていたのもさすがだなあ、と思いました。
というか、初演に引き続き、この6人の歌声はとにかく素晴らしい!
♪prologue のハーモニーを聞いた瞬間、ちょっと鳥肌が立って涙目になりましたもの、私。
持っている英語版CDとクオリティ的には全然負けてないし!
ほんとにCD化ないしDVD化して欲しいなあ。
でもって、世界中の「CHESS」ファンの方に聞いていただきたいなあ・・・!
そうそう、♪Merano では、目の前で横関さんが歌ってくださったんですが、とにかくキュート!
この曲は私もにこにこしながら聴いてしまいました。
・・・結構歌詞は皮肉っぽいんですけどね(笑)。
というか、アービターが横関さん演じる手下(え)にいつもちょっかいかけてた気がするんですが・・・?(笑)


ああ、そろそろ大阪の今日のソワレも終盤でしょうか。
今回は、舞台セットも、隅から隅までチェスの意匠だったようですね。
とても綺麗だったと評判だったので、2階席や3階席でも見たかったなあ・・・!
そういえば、大きなチェスの駒が幾つか置いてあるのですが、
フレディがキングの駒を撫でたりしてましたね。
東京千秋楽では餌をあげてた、というのもききましたが、フレディの好きな駒はキングなのかな?
初演を観てから、チェスを取り込んだ小説や、
(関係ないかもですが)将棋の世界を描いた「3月のライオン」を読んだりしたのですが、
チェスにしろ将棋にしろ、プレーヤーはそれぞれ好きな駒や好みの戦法があるのですね。
私自身はチェスは全然分からないのですが(初演後にちょっと勉強したけど挫折しました・・・)、
フレディやアナトリーがどんな駒が好きで、どんな戦い方をするのかも、ちょっと気になりました。
ミュージカルになれば、そういうのも描かれるのかなー。


そんなこんなで、初演に比べると、精神的なダメージ(笑)は少なかったですが、
前にも増して、この物語そのものに興味がわきました。
コンサート形式ももちろん大好きなのですが、
いつか是非ミュージカルとして上演して欲しいなあ、と思います。
まずは明日の大楽も、素晴らしい舞台となりますように!

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私は東京公演の二日目かな?金曜日に三階から見たんですけど
体力的精神的に、ちゃんと受け止められるか見る前は心配だったのですが
これは見に行ってほんとに良かった!と思いました。
初演の時全力でお勧めしてくださった恭穂さんに、改めて感謝です!(^^♪

三階から見ると、ひとりひとりの役者さんはほんとに小さくてチェスの駒のようで
人の思いを越えたところで動かされてしまう怒りや悲しみのようなものは
伝わってきたように思います。
ただ、マテさんのアービターとチェスの精の存在が良くわからなかった…というか
遠くから見てると人外の存在が二人いる、と思えちゃって(^^;)
恭穂さんの感想を読んで、あ、なるほど!と思えた部分が沢山ありました。
細かい表情も見てみたかったなぁ…
再再演、もしくはミュージカルの舞台としての上演が望まれますね!
みずたましまうま
2013/12/31 23:16
みずたましまうまさん

この演目、みずたましまうまさんに是非観ていただきたかったので、
とっても嬉しいです!
三階席からだとそんな風に見えるのですね。
次は是非全体を俯瞰できる席から観てみたいです。

アービターとチェスの精の解釈はなかなか難しいですよねー。
私も主観で見ているので、きっと観る人毎に違う印象なのかと。
でも、私も「人外」だと思いました(笑)。
恭穂
2014/01/03 15:48

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