瓔珞の音

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zoom RSS つぎはぎの街

<<   作成日時 : 2014/02/27 21:37   >>

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今日は予定されていた会議が中止になり、思いがけず早く帰宅することができました。
読みたい本も見たい録画も聞きたい音楽も書きたいメールもいろいろあるのですが、
(そして叫びたい本も叫びたい映画も叫びたい音楽もある/笑)
2月が終わってしまう前に、観劇記録を一つ。


「もっと泣いてよフラッパー」

2014.2.22 ソワレ シアターコクーン 1階BL列一桁台

作・演出・美術:串田和美
出演:松たか子、松尾スズキ、秋山菜津子、りょう、大東駿介、鈴木蘭々、太田緑ロランス、大森博史、真那胡敬二、
    小西康久、酒向芳、内田紳一郎、片岡正二郎、串田和美、片岡亀蔵、石丸幹二 他


物語の舞台は1920年代のシカゴ・・・のような街。
現実と夢想の境界が曖昧なその街を舞台に描かれる、
暗黒街に生きる男の不器用な恋。
過去に囚われ続ける男の挑戦と敗北。
恋のために全てを捨てた男の絶望と、それでも消えることのない想い。
そして、そんな男たちの想いを受け止め受け流し、捕らえ囚われ、傷つけ傷つき、
それでも凛と背筋を伸ばして踊り歌う美しい踊り子たちの鮮やかな笑みと涙。

串田さん演出の舞台は「桜姫」「十二夜」くらいで、
演出がどうこうと語れるだけの知識も経験も感性もないですし、
正直きちんと理解できているとはとても思えないのですが(役者さんも全然見分けられなかったし・・・)、
でも、なんとも不思議な楽しさのある舞台だったなあ、と思います。
なんて言えばいいのかな・・・そうだなあ・・・
「ニュー・シネマ・パラダイス」で、ラブシーンをカットされたぶつ切りの映画を観るシーンがあるじゃないですか。
そんな風に、ぶつ切りにされ繋ぎなおされた古い映画を見ているような気分、かな?
一個一個のシーンには、トーンの違う色合いがあって、
急に違う物語に入り込んだかと思ったら、
それがちょっと後のシーンにすんなり繋がって行ったり、
逆に突然物語が断ち切られて、空白の時間は空白のままに物語時間は動いていったり・・・
書割と映像を組み合わせたセットもあいまって、最初はちょっと混乱したけれど、
でも、連なっていくシーンの中で、登場人物たちの生き生きとした息吹が感じられたり、
描かれないシーンの存在感が鮮やかに感じられたりして、
なんだかわくわくしながら見てしまいましたv

そんな中で、ひときわ印象に残ったのは、やっぱり踊り子のみなさんそれぞれの立ち姿でしょうか。

松さん演じるトランク・ジルは、登場が男装だったこともあり、最初は少年のような印象。
軽やかで、甘さもあるのにどこか硬質。そしてしなやか。
そんな相反するイメージを違和感なく内包していて、この舞台そのもののようだなあ、と思ったり。
過去のトラウマから八百長試合しかできないボクサーのチャーリー(大東駿介)と出会い、
反発しながらも惹かれあう、その理不尽さすら必然のように感じられました。
二人で過ごした夜のあと、互いを探るような会話の後に、
シーツをドレスのように纏って踊るように歩きながら、
その姿を見せようとチャーリーを呼ぶ声の幼さが煽る不安にちょっとはっとしたりも。
ジルと未来を約束して、最後の八百長試合でそれを覆そうとしたチャーリーは、
結局相手の強さの前にノックダウンされてしまいます。
そして、その後のチャーリーは、物語の現実では描かれません。
試合に負けたことで、彼はかつての対戦相手と同じように命を失ったのか、
それとも、負けたことに打ちのめされてジルを置いてどこかへ行ってしまったのか・・・それも分かりません。
けれど、チャーリーの残したライターで煙草に火をつけながら、
一人歌うジルの歌声は本当に本当に綺麗で優しくて、そしてシンとした寂しさに溢れていて―――
その歌(たぶん♪スウィング・メモリー)の中に現れる人々は、
望み望まれながら現実にはなれなかった夢のような存在で、
なんだか泣きながら微笑んでしまいました。

秋山さん演じるお天気サラは、なんともしたたかで強い大人な女性。
男が自分に求める"価値"を冷静に演じながら、決して男を信じてはいない―――そんな女性。
そんなサラが唯一見つけた"本当の愛"。
皇太子という地位を捨てて、ただ一人の男としてサラに愛を捧げ続けたコミ帝国皇太子(片岡亀蔵)。
最初は兄(真那胡敬二)に唆されて、金蔓としてしか見ていなかったその男が、
地位も、名誉も、財産も、国民からの賞賛も、言葉を喋る自由すら奪われて道化に身をやつし、
それでもひたすらに自分に愛を向け続けるその姿は、
きっとサラにとっては喜びよりも先に戸惑いや恐怖の方があったんじゃないかなあ、と思う。
また亀蔵さんの皇太子が、横顔で語ると言うか背中で語ると言うか・・・道化になってからの方がめちゃくちゃ雄弁で!
奪うのでも求めるのでもなく、ただ与えられる暖かな愛情―――
一度はきつい言葉で拒絶して、立ち去った男が残した道化の仮面に向かって、
愛を囁くサラの姿はなんだか折れそうなほどに細くて儚くて・・・でも、とても幸せそうだった。
皇太子の自殺と言う形で、結局サラの愛は彼には届かないのだけれど、
そのことを知ったときに、美しい顔をくしゃくしゃにして泣くサラの姿は、
それまでのどの瞬間よりも鮮やかな命を感じさせてくれたように思います。

りょうさん演じる青い煙のキリーは、恋多き女性―――でも、騙されてばかり・・・(涙)
でも、騙されても騙されても、その瞬間の自分の愛情を信じて進んでいく姿は、
なんだかとっても清々しい印象があったり。
物語終盤、街を牛耳るギャングの一人に惚れられて、口説かれて、キリーは彼と一緒に街を出て行きます。
仲間たちに祝福されて、幸せ一杯の笑顔で旅立つキリー。
けれど、思いがけないことで男は逮捕されてしまい・・・キリーは一人古巣に戻って来ます。
そのときの、諦念に溢れた、けれど生きることも幸せになることも決して諦めていないキリー強い眼差しが、
サラの泣き顔、ジルの笑顔と共に、なんだかとても印象に残っています。

太田緑ロレンスさんが演じた月影ギナンはなんともミステリアスな存在。
4人の中では一番元気で真っ直ぐで素直な印象なのだけれど、
途中、舞台のつなぎのために客席に向かって一人で話すシーンでの彼女の過去に愕然としたり。
なんというか、ギナンが一番全てを諦めていて、
でも、諦めているからこそ真っ直ぐに背筋を伸ばして一人で歩いていく覚悟があるのかもしれないなあ、と思いました。
もうちょっと、彼女のいろいろに注目してみたかったな。

踊り子ではないけれど(でも、最後は踊り子になったのかな?)、鈴木蘭々ちゃんが演じたのは、
ごく普通のちょっと天然なお嬢さんフラボー。
石丸さん演じる新聞記者ベンジャミンの婚約者。
ベンジャミンは自分の信じる"正義"のために、
フラボーに恋したギャングのボス・アスピリン(松尾スズキ)を陥れるため、
フラボーの名を騙ってアスピリンに恋文を書きます。
その手紙にすっかり騙されて、機密事項をベンジャミンに奪われてしまうアスピリン。
けれどフラボーは、ベンジャミンが騙ったその恋心こそが自分の真実になるのだと、
ベンジャミンに背を向けて、アスピリンの手をとります。
この辺の彼女の感情の流れ、言葉では説明できないのですが、なんだか凄く自然だったなー、と。
同情でもあてつけでもなく、本当に流れる水のように自然に彼女の心はアスピリンに寄り添った。
その後フラボーが歌った二人のための歌は、なんだかとても不思議な調と歌詞で、
でもそれが二人の不思議な関係にとてもしっくりきていて、
歌うフラボーも、それを聴くアスピリンもとても素敵でした。
だから余計に、初めて互いを抱きしめようとした瞬間にアスピリンが銃弾に倒れた後のフラボーの表情が、
なんとも綺麗で残酷で・・・辛かったです。

また、松尾さんのアスピリンがなんとも憎めない可愛らしさなんですよねー。
恋に堕ちた瞬間も、恋文に一喜一憂する様も、
皇太子とは真逆の在り方で、でも彼も道化だったんだなあ、と思ってみたり。
だからこそ、ベンジャミンの目指す"正義"が内包する歪みが、余計に際立ったように思います。
そういえば、石丸さんが"正義"について歌うのを聴くのは「モンテ・クリスト伯」でもあったけど、
何故かどちらの"正義"も私的にはちょっと受け入れがたいものがあったなあ・・・

他の役者さんも皆さん素敵でしたが(そして衣裳がめちゃくちゃ可愛かった!)、
真那胡さんが演じた床屋のチャンさんが個人的には結構お気に入りだったりv
エピソードとしては、本筋とはたぶんちょっと離れたところにある存在なのだけど、
ゴールデンレトリバーっぽい愛犬との戯れと理不尽な別れ、
そしてそれを淡々と受け入れる彼の静かな表情に隠された激情に、ちょっとやられた感じです。

こんな鮮やかに生きる人たちの物語の間に差し込まれる、いろんなシーンも面白かった!
1幕前半のねずみの世界のシーンには、最初ちょっとついていけなくて疑問符が浮かびまくりだったけど、
あ、あのねずみはあの人だ!というのに気付いたり(気付かなかったり/笑)、
ジルが語るももんがの物語にじんわりと聞き入ってしまったりしました。
でもってそこからのいきなり現実世界へ移行する境界の曖昧さにも驚いたり・・・(笑)
阿呆たちのシーンは、これまたなんとも言いようのない不思議さと怖さのあるシーンでした。
あの永遠の夜明け前の砂浜のような場所は、彼岸と此岸の境の幽明なのかなあ・・・?
踊り子さんたちのショーのシーンや楽屋のシーンのシーン(笑)も華やかでしたv
みなさんいろんな動きをされていて、もっと細かく見れればさらに面白かったのかも、とちょっと残念だったり。
あ、ストリングスとブラスの生演奏もかっこよかったです!!
役者さんの男性陣がみなさん楽器を演奏されていて、
楽器のできる人を集めたのかなあ、なんて思っていたのですが、
大東くんは初心者だったみたいですね(笑)。
でもソロもあったし、演技に楽器の練習に、大変だったろうなあ・・・!
石丸さんが最初はサックスで音大に行っていた、というのも初めて知りました!
なるほど、演奏スタイルが様になっているはずです。
役柄のなさけないかっこ悪さ(褒めてます!)を、演奏シーンで補った感じ?(笑)
もちろん、プロの演奏者の方たちもいて(音楽監督などもされてたみたいですね)、
ギターの方の演奏に目も耳も奪われたり、滑らかで軽やかなピアノに聞き惚れたり、
ウッドベースやドラムの低音にワクワクしたりしておりましたv

このお芝居の初演は1977年だそうです。
私はそういう歴史や、このお芝居が今演じられる意味も良くわかっていないけれど、
でも、まっさらな状態で、とても楽しめたお芝居でしたv
いつかまた、こういうタイプのお芝居に触れる機会があるといいな。
でもって、松さんの歌声を聴いたら、さらに「アナと雪の女王」が見たくなりました。
どこかで時間作って、吹き替え版だけでも観にいこう!

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
踊り子たちもその周りの人たちも、何とも彩りにあふれて
魅力的でしたね。
不思議ワールドでしたが、恭穂さんのタイトルの
「つぎはぎの街」がいかにもぴったりで、なるほど〜と
思いました。

女性陣の強さやしなやかさが印象的な中、ワタシも床屋の
チャンさんがかなり気になったのですが、
あのどうしようもない(笑)お兄さんと同一人物とは
最後まで気づきませんでした(汗)。
スキップ
2014/03/22 10:34
スキップさん、こんばんは!

本当に彩り豊かなお芝居でしたね。
女性陣のしなやかな綺麗さがとても印象的で。
ちょっとアウェイなお芝居でしたが、
機会があればまたこういうテイストの舞台も見てみたいな、と思いました。
チャンさんとお兄さんが同じ役者さんというのは、
私も終演後にプログラムを確認するまで気付きませんでした(笑)。
というか、チャンさんだけでなく、
男性陣は殆ど見分けがついておらず・・・すみません!
恭穂
2014/03/24 23:16

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