瓔珞の音

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zoom RSS 大罪の街

<<   作成日時 : 2014/04/06 21:30   >>

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人を罪へと導く大罪は、7つあるといいます。

傲慢、強欲、怠惰、憤怒、色欲、暴食、嫉妬。

全てを失い、海を渡った彼が潜む海の傍のその街には、それらが満ちていた。

彼が甘んじた大罪。
彼を罪へと導く大罪。
そして、彼が生み出す大罪―――



「Love Never Dies」

2014.3.29 マチネ 日生劇場 1階L列20番台
2014.4.5  ソワレ 日生劇場 GC階A列30番台

出演:市村正親、濱田めぐみ(3/29)、平原綾香(4/5)、橘慶太(3/29)、田代万里生(4/5)、彩吹真央(3/29)、
    笹本玲奈(4/5)、鳳蘭(3/29)、香寿たつき(4/5)、山田瑛瑠、あべみずほ、辰巳智秋、ひのあらた 他


「オペラ座の怪人」から10年後、舞台をNYのコニー・アイランドに移して描かれる、彼らのその後の物語。

以前から公言していますが、「オペラ座の怪人」は私が初めて観たミュージカルであり、
CDでしか聴いたことのない市村さんのファントムは、私にとって最高で唯一のファントムで、
そして、私の観劇ライフの原点でもあったりします。
そんな特別な物語のその後―――
小説版の「マンハッタンの恋人」が出版されたときは、発売日に購入し、一気に読破し―――玉砕しました(涙)。
そして直ちに記憶から抹消(笑)。
その後長い時間がたって、A・L=ウェバーがこの物語をミュージカルしたロンドン版のCDが出た時も、
ふらふらと購入しつつも聴く勇気がもてずに、ずっと封を解かないままでした。
そのくらい私にとってはとんでもない物語だったのです・・・

で、今回の日本公演。
ファントムにまさかの、というかある意味当然の市村さん!
正直、チケットをとるかどうかは悩みました。
小説とは違うという話も聴くけれど、でも大筋は違わないだろうし、でも市村さんのファントムは観たいし・・・
悩んだ結果、ファントム以外のWキャストを網羅する形で2回だけチケットをとりました。
鹿賀さんには大変申し訳ないのですが、私にとってもファントムはもう市村さんだけなので。

そして、私の目の前に現れた、ファントム―――

私の中で、ファントムはオペラ座の暗い闇から、空の下の光を内包した蒼い闇へと自由に旅立っていました。
それは市村さんのコンサートで私が見たファントムの未来で。
でも、当然のことながら、このミュージカルのファントムは違っていた。

閉鎖されたくらい闇の中で、身の内から溢れ出す音楽と現実の狭間で、
自らが作り出した歪んだ美しい虚構の世界を見下ろしながら、ただ一つの美しい存在を求めていた。
頑なで自分勝手で、でも、どうにもならないくらいに傷つき孤独なままの彼だった。
その姿はもちろん私の中のファントムとは違っていたのだけれど、
でも、そこに存在しているのは、あの"ファントム"であることも事実で―――

冒頭、ピアノの前で一人クリスティーヌを思う暗闇の中の彼を見たときに、
ああ、ここにファントムがいる、と素直にそう思うことができました。
舞台の上を横切る橋の上で♪エンジェル・オブ・ミュージック を歌うその声を聞いた瞬間、
どうにも抑えきれずに泣いてしまいました。
物語的には、やっぱりどうにも受け入れがたい部分や疑問点も多々あるのですが、
「オペラ座の怪人」のメロディが随所にちりばめられていて、
そういう私の個人的な気持ちを押し流しちゃうようなたくさんの聴き応えのある楽曲があって、
やっぱりA/L=ウェバーは凄いなー、と思いました。
ところどころ「WIW」の音楽を髣髴とさせる調もあって、「WIW」もまた観たくなりました。


そんなこんなで、ちょっと冷静には観れなかった演目ですので、
今回の記録は役者さんの感想を中心にさくっといってみようと思います。


市村さんのファントムは、やっぱり私には特別。
結局彼が愛しているのは自分の音楽に関するものだけなんだなあ、と思ったけど、
その対象に向かう愛情の深さと純粋さは、その色合いはどうあれ本当に澄み渡ったものなのだと思う。
そして、彼の悲劇は、彼が自分自身を受け入れていないことなんだなあ、とも思った。
醜い自分を受け入れることを相手に求めて、
でも拒絶されるとその時点で全てをシャットアウトしてしまう。
クリスティーヌもグスタフも、初めて彼の顔を観た時には恐怖し嫌悪したとしても、
そういう感情は愛情で覆せるものだということを、彼は知ろうとはしなかったんだろうなあ・・・
だから、彼の愛情には常に代償があった。
これを与えるから愛せ。
愛さなければ大切なものを奪い取る。
そんな彼にとって、クリスティーヌの最期の言葉はどんな風に響いたんだろう。
ラストシーンで、仮面に伸ばされたグスタフの小さな手に怯える彼が、
ただ愛することを、ただ与えることを、ただ愛されることを、ただ与えられることを、受け入れられますように。
そう、願うように思いました。


クリスティーヌはそれぞれアプローチが違っていて面白かったです。
濱田さんのクリスティーヌは、本能でファントムを、理性でラウルを愛してたんだな、と思った。
二人ともちゃんと愛していて、どの瞬間の選択も、彼女自身のものだった。
そういう強さを感じるクリスティーヌでした。
澄んだ強い歌声には迷いはなくて、その二つの愛情が招く痛みも、与え与えられる傷も、喪失も、
全てを彼女は受け止めようとしていたんだな、と思う。

平原さんのクリスティーヌは、流されるクリスティーヌで、
そしてたぶん最初から最後までファントムだけを愛していたように思います。
ラウルにも愛情はあったかもしれないけれど、
それは幼い頃の儚く幼い恋心のままで、そして、打算があった。
「家庭を壊さないために」という歌詞が、なんともリアルだったなあ。
♪愛は死なず でのラウルに向けて歌われるのはファントムへの愛であり、ラウルへの謝罪だった。
で、ラウルへの容赦ない最後通告。
それを受け入れて立ち去るラウルが切なかったなあ。
歌声に関しては、私の好みとはちょっと外れるのですが、やっぱりお上手だなあ、と思いました。
♪愛は死なず は、ミュージカルの中の1曲と言うよりも、
この曲だけで一つの物語であるような奥深さを感じました。


橘さんのラウルは・・・あんまり印象に残ってない(汗)。
初回でとにかくファントムに気持ちを持っていかれちゃってたので・・・すみません!
また何かの舞台で拝見する機会があれば、もっとしっかり受け止めたいと思います。

田代くんのラウルは、平原クリスティーヌとの組み合わせだったせいか、
彼女の"愛"が、愛そうとしている"愛"であることを知りつつも、
その"愛"を信じ縋ることしかできないもどかしさと余裕のなさを感じました。
ので、最後の手紙がとにかく切なかった。
濱田クリスティーヌとだったらどうだったのかな・・・ちょっと観てみたかったです。
ファントムとの関係も、反発し憎みあいながら、
でも、同じ女を愛するつながりのようなものもあったように思います。
最後、クリスティーヌの亡骸をファントムがラウルに渡すシーン、
初回に観た時はどうにも納得が行かなかったのですが、
ファントムは彼のクリスティーヌへの愛も認めていたんだろうなあ。
そして、自分が関わらなければ、ラウルとともにいれば、クリスティーヌは死ななかった、という思いもあったと思う。
そういえば、昨日最後のシーンを観ていて、「子はかすがい」という言葉が思い浮びました。
グスタフはファントムとクリスティーヌにとって、二人の愛に向き合うきっかけになったけれど、
ファントムとラウルにとっても"かすがい"になってくれるのではないかな、と思ってみたり。
二人でグスタフを育てる未来とか、どうかしら?
いえ、グスタフには二人の"お父様"が必要だと思うのよ。いや本気で!(笑)
そういえば、ファントムの「無礼な若造」が聞けてちょっと嬉しかったv(ピンポイントな・・・)


メグは、「オペラ座の怪人」の中で実はファントムに次いで心惹かれる存在。
なんというかね、ファントムへの心惹かれ方が、私の中の感情と繋がる気がして。
彼女がキーパーソンになるだろう、というのは予想していましたが、そうかこう来たか・・・(涙)
彩吹さんのメグは、最初から凄く不安定さが感じられました。
ギリギリのところに立っている自分をちゃんと自覚していて、何とか踏みとどまろうとしている感じ。
彼のために自ら望んで汚れていった自分。
彼を守り、彼を愛し、彼を切望する自分。
そして、決して彼の音楽の天使にはなれない自分も彼女は知っていた。
ショーに出ている時も、それが自分の望むことではないことも、でもやるしかないことを、彼女は知っていた。
そういう自分を見ない振りして、明るく振舞う彼女が痛々しかったなあ。
終盤、ファントムの言葉を繰り返すメグは、ほんとに血の涙を流してるように見えました。

玲奈ちゃんのメグは、きっと凄く上手に自分を騙していたんだろうな、と思う。
辛かったことも、嫌だったことも、哀しかったことも、嫉妬も怒りも欲望も、
彼女は自分の中の奥深いところに封印して、なかったことにしていた。
その封印が、あの瞬間に全て壊れたんだろうなあ・・・
グスタフを連れて現れたときの変貌振りに、ほんとに息を呑みました。
なんというか、自分自身に蝕まれている感じ?
ファントムの言葉を繰り返すシーンは、なんだか子どものようないたいけさがありました。

この物語のメグは、この後どうなってしまうんだろう。
自分の犯した罪を、自分を罪に導いたファントムを―――自分自身の中の大罪を、
彼女は受け入れ、その上で生きていくことができるんだろうか。
自分自身を、愛することができるのだろうか―――?


マダム・ジリーは、初見の鳳さんが強烈!
1幕最後の歌を聴いて、マダム・ジリーがファントム化した!と思いました(笑)。
その後は一気に諦念モードになっちゃって、あれ?と思いましたが。
怒りを持続させるには、マダム・ジリーはファントムを尊敬しすぎてたのかなー。
香寿さんのマダム・ジリーは、メグを思うお母さん的な印象の方が強かったかな。
最後の歌も、何か引き起こしそうな勢いよりも、事実を嘆いている、という雰囲気。
ファントムへの向き合い方が全然違うのが興味深かったです。


グスタフは二日とも山田くん。
なんとも幼くて可愛い感じ。
歌声も綺麗だったなあ。
個人的には♪美の真実 の時に、もっと凄味がほしかったけど、さすがにそれは難しいか(笑)。
でも、最後にとてとてとファントムに近づいていくときの迷いのなさは、
クリスティーヌの持っていた強さを受け継いでるんだな、と思いました。
他の二人がどんなグスタフ像を創り上げてたのか気になるなー。
子役はチェックしてなかったのが悔やまれます。

というか、上記の理由で、チケットはとったものの全然予習をしていなかったので、
好きな役者さんが他にも何人も出演されていて嬉しかったりv
ひのさんの歌声はやっぱりすてきですねー。
上野くんも久々に観たな。
港さんも相変わらず素晴らしい歌声。ちょっとふっくらされました?
とはいえ、この演目、アンサンブルさんはいろんな扮装(笑)をして出てらっしゃるので、
どなたがどなたかが殆ど見分けられませんでした(笑)。
道化(かな?)3人のファントムへの忠誠っぷりも良かったなあ。


それにしても、この舞台のセット、ほんとに豪華ですねー。
全てが曲線と言うか、歪んだ形なところが、ファントムの内面をそのまま描いているように感じました。
もちろん、歪んでるのはファントムだけではないんですけどね。
そして、オペラ座に比べてかなりチープな雰囲気なのがまたリアルで。
クリスティーヌの部屋のベランダがマジックミラーっぽくなってるのは、
「オペラ座の怪人」を髣髴とさせて、ちょっと嬉しくなりました。
で、来るぞ来るぞ、と思いながらも、彼が出てきた瞬間、びくっとしてしまいましたが(笑)。
ショーのシーンも、クリスティーヌが歌うときの孔雀のセットも大好きでしたが、
ファントムがグスタフを"自分の世界"に案内するシーンは、
セットも照明も音楽もとにかくめちゃくちゃ好みでした!
人の奥底にある闇い感情や欲望や罪の意識を、その闇はそのままにこんな風に美しいカタチにできるのが、
ファントムがファントムたる所以であって、
そして、それを心で見つめ惹かれ愛するグスタフは、やっぱり二人の子どもなんだなあ、と思った。
でもって、あのアーチ型のセットの仮面のモチーフが、
どうにもグラトニー(@ハガレン)の口にしか見えなかったのは私だけでしょうか・・・?(笑)
そう思った瞬間に、「七つの大罪」が思い浮んで、
観ているうちにどんどんそれに当てはまっていくのにちょっとわくわくしちゃった(笑)。
というわけで、この記事はこんなタイトルになりました。


そんなこんなで、観終わってみればそれなりに楽しめたこのミュージカル。
最終的な印象としては、誰もがファントムを幸せにしようとして創り上げたものなんだな、ということ。
作曲家も、演出家も、キャストも、スタッフも、そして観客も。
その願いは、"ファントム"に通じたのでしょうか―――?

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