瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2014/04/16 22:18   >>

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去年から嵌り続けている某バンド(今更/笑)の曲には、
よく"名前"という言葉が歌詞に出てきます。

呼び続けたい名前。
その人だけの名前。
譲れない名前。
守り通すべき名前―――

この舞台で描かれる彼らが選び取った名前も、きっと、そういうものだった。



いのうえ歌舞伎≪蒼の乱≫

2014.4.5 マチネ シアターオーブ 2階4列20番台

出演:天海祐希、松山ケンイチ、早乙女太一、梶原善、森奈みはる、粟根まこと、高田聖子、橋本じゅん、
    平幹二朗、右近健一、河野まさと、逆木圭一郎、村木よし子、インディ高橋、山本カナコ、
    磯野慎吾、吉田メタル、中谷さとみ、保坂エマ、早乙女友貴、川原正嗣、武田浩二 他


4月に入ってからなんだかいろいろ慌ただしく・・・そんな中での観劇で、
かつその後PCの買い替えやら名古屋への出張やらで、気が付いたら観劇から2週間経ってしまいました。
でも、時間が経っても、あの広い舞台の上に描かれた海の暗い青も、
蝦夷の潜む森の奥の緑蔭も、
坂東の広い草原の碧も、
そして、すべての大地の上に在る空の蒼も、
全てがまだ鮮やかに脳裏に浮かびます。
いやもうほんとに原田さんの照明の美しさといったら!!
2階席から全体を俯瞰してみることができ、
かつ客席を満たす青や緑の光に身をゆだね、
舞台の奥に映し出される影の鮮やかさに目を見張り・・・
しかも2階席からでもしっかり表情が見える役者さんたちの素晴らしさ!
長いお芝居ではありましたが、感覚的にはあっという間だったように思います。

平将門の乱をモチーフにして、史実虚実の混ざりあった物語は、
見終わってみると、なんともまっすぐで一本気な物語だったなあ、という印象。
主人公がそういう男だ、ということもあるのですが、
それだけではなく、登場人物全てが、なんというかとても足場がしっかりしている。
足場というか、その人の心の向かう先がしっかりしている、という感じかな?
これまでのいのうえ歌舞伎の記憶から、いろいろ深読みしちゃったり、
この人は後から裏切るんじゃないかなー、とはらはらしたりしていたのですが、
終わってみると、どの登場人物も最初から最後まで全くぶれがなかったなあ、と思います。

その筆頭はもちろん松山ケンイチくん演じる平将門。
物語の中で周りからも言われてるし、本人自身も言ってますが、ほんとに馬鹿。
でも、なんというか、根拠のある馬鹿なんですよねー・・・ってうまく表現できないな(汗)。
彼の中で、大切なもの―――それは人でもあり、場所でもあるのだけれど、それは絶対に揺るがない。
ただ、全てをその"大切なもの"中心に考えているために、
返ってその時の状況や、周りの働きかけに翻弄されてしまったのかなあ、と思ってみたり。
うん、まあ大局は見えてないよね、この人(え)。
目の前にあるもの、目の前に現れたものに、ほんとに馬鹿正直に向かい合って、
結果としてその"大切なもの"が見えなくなってしまう様は、本当に馬鹿な若者なのだけれど、
でも、そういう男だからこそ、人は彼の情熱を信じたし、彼の"大切なもの"を共に守ろうとしたのかな、と思う。
松山くんは舞台で見るのは初めてでしたが、映像とあまり印象が変わらなくてちょっとびっくり。
舞台の上にいるのは松山くんなのだけど、同時にすごく自然に将門がそこにいる、と思った。
一度捨てた名前を彼がもう一度選び取り、そしてその名を名乗りながら、
"大切なもの"を今度こそ間違えずに守るために敵の刃を受け止める時の笑顔の鮮やかさに、
ちょっとやられた、と思いました。
ほんとに、最初から最後まで全力疾走な男だったんだなあ。
で、そういうところに蒼真は惚れちゃったのかな、とも思いました。

そんな蒼真役は天海さん。
冒頭、セットの中から現れた時のシルエットのシャープさと、その後ろに映し出される影の妖艶さに、
思わず率先して拍手しちゃいましたよ、私(笑)。
いやでもほんとに綺麗でしたv 
綺麗でかっこよくって、でもそういう強い部分だけじゃなくて、
不器用さや可愛らしさも感じさせてくれるところがさすがです、天海さん!
蒼真という人物は、たぶんトップに立つ力量もカリスマ性もある人物。
そして、そのことを彼女自身もわかっている。
わかっていて、あえて将門を支えることで自分の歩んだ過ちに将門を陥らせないようにしていたのかな、と。
でも、それってきっと無理があったんだよね。
将門を支える彼女は、どこかで抑圧されたものがあったように思う。
その抑圧にはもちろん理由があったのだけれど・・・
でも将門が出奔して、彼の守ろうとした国が危機に直面して、
将門御前として起つことを選んだ彼女からは、
それまでの抑圧が嘘のような自由さと生命力を感じたように思います。
そして同時に、その名を選ぶことで蘇る過去の痛みや未来への恐れ、背負うものの重さ―――
そういうものを、彼女は全部わかったうえで、その名前を選び取った。
民衆に囲まれて、心配そうな桔梗のまなざしに背を向けて、名乗りを上げる彼女の声には
だから私はなぜか悲壮な叫びのようにも感じられてしまったのでした。
最後のシーン、あの広い舞台全体に広がった風をはらむ緑の上を、一歩一歩歩く彼女の姿は、
しなやかな強さと、埋められない喪失と、消えることのない一人の男への情に溢れていて、
なんだかとても幸せで、そして切ない気持ちになってしまいました。

蒼真と常に共にあったのが、高田さんの桔梗。
裏切るんじゃないかなー、と深読みした筆頭はこの方でした(笑い)。
が、見事に最初から最後まで蒼真の友であり家族で在りつづけていたな、と思う。
うん、友というよりはやっぱり家族の方がしっくりくるかな。
桔梗にとって蒼真は、究極的には守るべき存在だったんだろうな。
蒼真が泣かないように。
蒼真が傷つかないように。
蒼真が間違えないように。
蒼真が、常に蒼真であり得るように―――桔梗はずっと蒼真を見守っていた。
そのまなざしの強さと優しさが、とても印象に残りました。

同じまなざしを持っていたのが、じゅんさん演じる黒馬鬼ですかねー。
いやー、全然予習してなかったし、プログラムも配役を確認することしかできてなかったので、
出てきた瞬間、何事?!と思いましたよ!(笑)
でも、遠目に見ると黒馬鬼もその仲間たちも、ちゃんと馬に見えるところがほんとに素晴らしい!!
将門との仲良しっぷりも微笑ましかったですが、
蒼真と会話がかみ合わなくてすねる様子がまた可愛くてv
それこそ、人間が持つ迷いや、人間が画策するちゃちな陰謀や、人間の陥るしがらみや、
そういうものとは一線を画した純粋な存在なんだなあ、と思ってたり。
ので、終盤彼が倒れるシーンでは、思わず涙してしまいましたよ、私・・・

この純粋さは、森奈さん演じる邦香の2幕での姿にも通じるかなあ。
いろんなしがらみや、狭い世界でのちゃちな欲望から解放されて、
まさに枠を飛び越えた存在になった邦香は、
1幕とは全く違う、輝くようなパワーがあったように思います。
(まあ、1幕もかなりはっちゃけてましたが/笑。可愛かったv)


そんな感じで、坂東組(笑)が将門を筆頭にわりとわかりやすい造形だったこともあり
その分早乙女太一くん演じる帳の夜叉丸と平さん演じる常世王に対して、
ちょっといろいろ深読みしつつ期待していたんですが、
そんな私の浅い思惑は全く外れて、この二人もものすごくまっすぐでゆるぎなかったなあ。
常世王の出自は、なるほどなあ、と思いましたが、
でもって、奥の大殿が言うような、何らかの思惑や策謀を持っているのではないかと思ったのですが、
そんなことは全然なかったですね(笑)。
常世王は、"常世王"という名前を選び、蝦夷の王として生き、そして死んでいくことを選んだ。
彼の最後は、それを素直に信じさせる説得力があって、
決して派手なシーンではないのに、なんだかちょっとしみじみしてしまいました。
そして、そういう王だから、夜叉丸は彼を慕い、彼の片腕として生きようとしたんだな、と思う。
夜叉丸は、これまで早乙女くんが新感線で演じてきた役とは違って、
なんというかすごく振れ幅の大きい役だなあ、と思いました。
どれが本当の"夜叉丸の顔"なのかな?って思った。
個人的には、常世王の前での夜叉丸は、彼がこう在りたい、と望む夜叉丸で、
蒼真の前でつい憎まれ口をたたいちゃう夜叉丸が、彼自身も忘れてる本当の自分自身なんじゃないかな、
と思ってみたり。
声の響きや台詞回しは、そんなわけで、何とも新鮮に感じたのですが、
殺陣の滑らかさはやっぱりさすがですねー。
弟くんとの殺陣のシーンも流れるような綺麗さで素敵でしたが、
個人的には川原さん演じる七巻との対決シーンの隙のない二人の動きがとにかく凄くて、
息をするのも忘れて見つめてしまいました。
でもって、常世王が斃された後、夜叉丸の動きが更に早く鋭くなったのにびっくり!
あのシーンの殺陣は、言葉や表情以上の彼の嘆きが伝わってきたなあ・・・
あの時、確か真っ赤な光の中で、彼も名乗っていたように思うのですが、記憶違いかな?
でも、もしかしたら、"夜叉丸"という名前は常世王からもらったもので、
この瞬間にこの名前こそが、彼の本当の名前になったのかな、と思った記憶があるのですが・・・
うーん、もう1回くらいチケットとっとけばよかったなー。
とりあえずゲキ×シネ待ちかな?(笑)
そして、個人的妄想としては、山本カナコさん演じるみずちは夜叉丸の姉なのではないかと思っている(笑)。

朝廷側では、上記の七巻と、平さん二役の奥の大殿が、
出番は少ないのにすごいインパクトがありました。
そして、梶原さん演じる弾正のぶれのなさは、この物語の筆頭かな、とも思う。
耐えて耐えて耐えて、その果てに自分が本当に手に入れたいものを手にする強さは、
正直将門が勝てる相手ではないなあ、と思ってしまったり(笑)。
でも、そういう綿密な策謀をひょいっと飛び越えられるのが、将門が将門たる所以なのかな。
でもって、そういう将門だったから、そして、そういう将門を信じ続けた蒼真がいたから、
弾正も将門の思いを受け止めようとしたのかな、とも思う。
もちろん、それはきっと彼が朝廷で生き抜いていくための手段の一つでもあるわけだけれど―――
舞台を見ながら、蒼真の渡来国での物語も見てみたいなあ、と思うのと同じくらい、
実は弾正のその後の物語も見てみたいなあ、と思ったのでした。


うーん2週間以上経ってるわりには、書き出すと止まらなくなるなー(笑)。
他にも、パイレーツな粟根さんの伊予純友が思い描いた都を見てみたかったなあ、とか、
右近さんの平安貴族は、いらっとするくらい平安貴族だったなあ、とか(え)、
村木さんの栗毛野と蒼真の嫁姑対決の行方とか、
1幕の民衆の歌が見事に某ミルクの歌で、ちょっとどうしようかと思ったとか、
(これを笑って流せる寛容さがほしい・・・と心底思いました・・・)
はらしんさんの歌声、やっぱり素敵だなー、アナ見に行きたいなー、と思ったとか、
照明もだけど衣装の色合いもとても美しくて、間近で見てみたかったな、とか、
いろいろいろいろ書きたいことはあるのですが、
慣れない新パソコンくんで打っていたらちょっと肩が限界になってきたのでこの辺で強制終了!(笑)
また気が向いたら何か書き足すかも?

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
新感線的にも少しノスタルジーを感じるような
ちょっと青春物語ふうのいのうえ歌舞伎(?)でした。

>この人は後から裏切るんじゃないかなー、とはらはら
私もです。
そして、私のその筆頭は粟根さんの純友でした。
「薔薇サム」のこともありますし。
そこのあたりは見事に裏切られましたが、何だか
清々しいですね。

>弾正も将門の思いを受け止めようとしたのかな、とも思う
ここは、私はちょっと違っていて、弾正は自分の立身出世が
第一で、しかも頭のよい人だから将門がどう動くかわかって
いたのではないかなぁと感じました。
だからあっさり約束を反古にしたのだと・・・いや、そこまで
悪人にしなくてもいいのかしら。
う〜ん、このあたり、善さんに聴いてみたい・・・は無理なので
恭穂さんと語り合いたいです(笑)。

明日千秋楽を観る予定なので、自分の感じ方が変わるかも
含めて、再検証してきます。
スキップ
2014/04/25 14:12
スキップさん、こんばんは!

青春物語・・・まさにそんな感じでしたね!
さわやかさとノスタルジーとやるせなさと甘酸っぱさと?(笑)
純友は、私的には裏切るかも?の次点でした。
でも、純友も桔梗もほんとにまっすぐでしたね。
裏切られて、なんだかほっとするもの不思議な感じです。

弾正は、確かに先の先まで見越して動いていた感じですよね。
優先順位的には、きっと将門との約束は下の方だったと思いますが、
それでも、その後の彼の人生に"将門"とういう人物の痕が、
残っていたらいいなあ、と思います。
人物の造形については私もいろいろ考えちゃって・・・
ほんとに語り合いたいです!

明日は千秋楽なのですね。
そこで、スキップさんがどんなふうに感じられるのか、
レポ、楽しみにしておりますねv
恭穂
2014/04/25 22:08

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