瓔珞の音

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zoom RSS 始まりの雪

<<   作成日時 : 2014/09/16 15:06   >>

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5年前、この舞台初演を観たときの観劇記録を読み返してみました。
なるほど、あの時はこんな風に感じていたのね、と我ながら興味深。
今回、受け取るものが少し違ったのは、キャストの違いによるのか、5年で私自身が少し変わったのか・・・?
いずれにしろ、5年前とは違う清々しさを終演後に感じたのは、
やっぱり彼のあの笑顔によるのではないかなあ、と思います。



「シェルブールの雨傘」

2014.9.11 マチネ シアタークリエ 13列10番台

出演:井上芳雄、野々すみ花、鈴木綜馬、大和田美帆、出雲綾、香寿たつき、松澤重雄、川口竜也、
    高原紳輔、俵和也、照井裕隆、秋園美緒、岩崎亜希子、横山博子


5年ぶりの再演となるこのミュージカル。
初演を観たときは、とにかく白羽さんの美しさにうっとりしていた記憶があります。
今回ジュヌヴィエーヴを演じたのは、野々さん。
蜷川さんの舞台で一度拝見していて、その時にも可憐な方だなあ、と思ったのですが、
今回も、16歳の少女ゆえの輝くような美しさと強さ、世間知らずさと頑なさが絶妙な感じでした。
まっすぐに迷いなくギイに向かっていく感情の強さといったら!
あんなふうに見つめられて、あんなふうに細い腕を差し伸べられたら、
それはもう抱きしめずにはいられないよね、ギイ!と思った(笑)。
同時に、彼を失うかもしれない、という状況下での揺らぎと不安も本当にリアルで・・・
シェルブールの雨に共に濡れてくれる人を愛した彼女が、
その雨の中一人になったときに、雨を遮ってくれる人を選んでしまうのは、
彼女の若さと生育環境では仕方ないのかなあ、と思ってしまったり。
なんというか、彼女自身、妊娠している自分を受け入れきれてはいなかったように思うのです。
妊娠している自分を「醜い」という彼女。
それは、日々変わっていく体型という見た目そのものにもよるでしょうし、
一人で子どもを育てていけるのだろうか、という不安によるものだったかもしれないし、
打算の上でカサールさんを選ぼうとしている自分自身に対するものだったかもしれない。
でも、もしこのまま一人で子供を産んだとして、彼女は「母」になれただろうか・・・?
それは、ただ若いということだけではなくて―――いやでもそこに尽きるのかなあ。
野々さんの歌声はたぶん初めて聞いたのですが、
ちょっと不安定というか、揺らぎが強い感じが、すごく彼女のジュヌヴィエーヴに合っていたように思います。

逆に、その歌声の結晶のように硬質な煌めきにはっとしたのが、美帆ちゃんのマドレーヌ。
単純に挨拶の言葉(ボンソワールだったかな?)だったのに、
その最初の歌声に、おお!と思いました。
大人しくて控えめなだけでなく、
揺るがない倫理観というか芯の強さのあるマドレーヌにぴったり!と思いました。
あの大きな瞳に溢れるほどの感情を乗せながら、
それでも自分の気持ちを言わずにギイを見つめ支えることを選ぶマドレーヌ。
それはもしかしたら臆病さや自信のなさの表れなのかもしれないけれど、
でもって、結局縋りつくギイにほだされちゃうんだけど(いやでもあれはもうあらがえないかと!)、
でも、そういう揺るぎなさを自分の中に持っているマドレーヌに、とても心惹かれました。

同時期に「ミス・サイゴン」を観ていたせいもあるかもですが、
どうしても二人の女性の対比に目が行っちゃったようにも思います。
テーマ曲でもある、ギイとジュヌヴィエーヴが歌う曲と、
2幕でギイとマドレーヌが歌う曲の対比も綺麗だったなあ。
美しいけれど不安定で閉塞感の感じられる前者。
柔らかで滑らかな明るさの感じられる後者。
それぞれの女性の(ギイにとっての)魅力が感じられたように思います。

井上くんのギイは、初演とあまり印象が変わらなかったかな。
なんというか、とても普通の青年。
その青年が、恋をし、彼女と引き裂かれるように戦場へ行き、命のやり取りを目の当たりにし、
恋人の裏切りを知り、傍にいてくれたやさしさに縋りつき、新しい愛情に目覚め、
そして過去の痛みと決別して大人になっていく・・・
そういう過程を鮮やかに見せてくれたように思います。
歌声はもちろん圧巻!
特に、駅での別れのシーンは、その悲壮さと美しさに圧倒されて、
拍手をすることもできずに呆然としてしまいました。
そして、最後のあの晴れやかな笑顔!
初演を観たときも、最後の笑顔は晴れやかだとおもったけれど、
それでもその笑顔にはまだ、疵の痛みの名残があった。
でも、今回は、引っかかっていたものが全て過去になり、
まっすぐに顔をあげて自分がいる場所から続く未来を見つめている、
そんな"この先"の光を感じさせるような明るさがあったように思うのです。
降りしきる雪のその先には、暖かい光に溢れる家族の待つ家がある。
降りしきる雪のその先には、柔らかな光と花が溢れる春が待つ。
そんな、始まりを感じさせる笑顔だったように思います。


出雲さんのエリーズおばさんは、今回もやっぱりとても癒し系。
ギイの選択を、疵を、痛みを受け止めて、受け入れて、寄り添って・・・
私はここにいるよ、と。
ここにいて、お前をみているよ、と。
言葉ではなく、その笑顔と重ねる手の暖かさで伝えてくれるような、そんな安心感がありました。

カサールさんがジュヌヴィエーヴに向ける想いも、それに近いものがあったかなあ。
もっとずっと能動的ではあるのだけれど、
決して強制はせずに、ただ彼女の幸せのためにできることをしたい、という気持ち。
もちろん、彼女の家の窮状を知ったうえでの申し出は、
その時点ですでに対等ではないのだけれど、
でも、カサールさんの純情と愛情は、決して嘘ではなかったんじゃないかなあ、と思います。
そう思えたのは、演じているのが綜馬さん、ということもあるのかもですが。
あ、でも、お食事会の時の「イエスを抱くマリア云々」の台詞には、
ちょっと裏を探るというか、含みがあるように感じたのは私だけでしょうか(笑)。

香寿さんのマダムは、もう本当にお美しくて不安定!
いやもう、ほんとにこの二人は親子だわー、と思ってしまいました(笑)。


初演ではちょっと見落としたギイの傘の行方も、今回は見落とさずに最後まで追えました。
傘がたどり着く先で、感情や状況の変化のきっかけになっているように感じました。
特に、川口さん演じる工場主さん!
子連れの女性との間で傘のやり取りがあるのですが、
台詞はないのに、工場主さんがその女性に心惹かれていく様子がとてもわかりやすくて、
そして、次のシーンで、女性の子供と親子のように遊んでいる様子にほっこりしましたv
ギイに対しても、ほんとに親身になって怒ってるし、いい人ですよねー。
あと、水兵さん(照井さん?)とその恋人(横山さん?)のやり取りも気になったな。
この二人も、一時離れてますよね。
戦場に行ったのかどうかはわからないけれど、
一度離れて、戻ってきたところでプロポーズして、仲間が祝福!という流れがあったような。
あと、駅での別れのシーンでも、戦場に赴く息子(弟?)と別れを惜しむ父(兄?)のような二人もいて・・・
なんというか、ギイとジュヌヴィエーヴに降りかかった悲劇は、
決して特別ではなかったんだなあ、と思った。
同じような別れを経験した人は他にもたくさんいて、
その中で、二人のようにすれ違う恋人もいれば、その愛情を貫き通す恋人もいる。
新しい出会いの中で幸せを手にする人もいれば、戻らぬ人を待ち続ける人もいる。
その差は、きっとほんとに些細で、でも決して抗えないもので―――
結果として生まれる感情は、きっとすごく生々しいものなのだと思う。
でも、そういう決して綺麗ではない感情がつけた傷が、時間と周りの人達の愛情に洗われて、
ギイとジュヌヴィエーヴのように、こんな風に美しいものに変わることもあるのかな。
誰にとっても、こんな風に痛みを伴う、でも美しい傷痕があるのかな。
そんな風に感じさせる、とても美しい舞台だった。そう、思います。


そうそう、子役ちゃんはWキャストだったのですね。
私が観た会がどちらだったのかはわかりませんでしたが、
とても可愛らしい男の子でしたv
フランソワだけでなく、工場主の義理の息子(決定?)役も好演!
そして、カーテンコールでは、前の人が次の人に向けて手を差し伸べるのを一生懸命真似してましたv
そのしぐさと、全開の笑顔がめちゃくちゃ可愛くて、
彼を見る周りの人たちの笑顔もすごく優しくて、幸せな気持ちになりました。
うん、やっぱり子どもが幸せ、というのはほんとに大事だよね!


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
5年前の初演のご感想と併せて読ませていただきました。
私は初演は観ていないのですが、恭穂さんがいつも直感で
決めていらっしゃる記事のタイトルが5年前は「訣別の雪」
今回は「始まりの雪」というもとても興味深いです。
恭穂さんの心の変化ばかりではなく、井上くんギイにも
この舞台そのものにも時を経ての変化があったのでしょうか。

本当にステキな舞台でした。
「DLL」もよかったし、自分でもどんどん井上くんに、
ミュージカルに、ハマリつつあるのがわかります(笑)。
これ以上観る舞台が増えちゃって、どうしましょう。
スキップ
2014/10/05 00:22
スキップさん、こんばんは!
本当に素敵な舞台でしたね。
最近、周りに井上くんにはまってくださる方が増えていて、嬉しいかぎりですv(笑)
いつか思う存分井上くんについてスキップさんと語り合いたいです!

タイトル・・・ちょっと狙いましたが(笑)正直な感覚です。
いつもわかりにくくてすみません(^^;)
恭穂
2014/10/05 18:13

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