瓔珞の音

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zoom RSS 光の吹き溜まる場所

<<   作成日時 : 2014/10/29 21:47   >>

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私が一番最初に触れた宮沢賢治の物語は「よだかの星」でした。
ずいぶん古い本で、挿絵が誰だったのかも忘れてしまったけれど、
暗い表紙の中、よだかが目指す星の明るさを、未だに思い浮かべることができます。

私が持っていた「銀河鉄道の夜」は、藤城清治さんの影絵の絵本。
くろいくろい輪郭の中の鮮やかな光の色彩―――その美しさと、恐ろしさの鮮烈だったこと!

そして、今年になって本屋さんで一目惚れしたのは、
清川あさみさんの絵で彩られた「グスコーブドリの伝記」。
宮沢賢治の物語の中で、たぶん私にとって一番特別な物語は、
色とりどりのビーズが放つ無機質な光によって、更に宝物になりました。

小さな小さな―――けれど、強い想いを孕んだ光に彩られた、宮沢賢治の物語たち。

渡辺えりさんが創りだしたこの舞台は、そんな小さな光が吹き溜まる、不思議な空間だったように思います。


オフィス3○○公演
「天使猫 ―宮沢賢治の生き方―」

2014.10.25 マチネ シアタートラム J列1桁台

作・演出:渡辺えり

出演:大沢健、大和田美帆、谷川昭一朗、土屋良太、大塚加奈子、有賀太朗、川口龍、藤本沙紀、
    佐藤友紀、土倉彩子、アキラ、岩崎浩太郎、熊埜御堂彩、櫻井美代子、中田康介、深海里沙子、
    洞口菜穂、宇梶剛士、渡辺えり


行きたかったライブのチケットが取れず、ぽかっと予定が空いてしまった10月末の土曜日。
せっかくなので、そのタイトルと題材に心惹かれていたこのお芝居を観に行ってきました。

が!

この週はとにかくいろいろ忙しくて、心身ともに寝不足だったんですよねー。
そんなコンディションで渡辺えりさんのお芝居を観るなんて、ほんとに無謀でした・・・
席も後ろの端っこだったこともあり、新幹線で中途半端に寝ちゃったこともあり、
前半はもう眠気との戦いになってしまいました。
というか、半分寝ながら目だけ開けて音だけ聞いてた感じです。
本当に申し訳ない!!
もちろんそんな状態で、えりさんのお芝居を理解できるはずもなく―――
「ゲゲゲのげ」「あかい壁の家」も、感覚全開で向き合っても理解できなかったしねー(^^;)

でもね。
理解はできなかったけど、夢現であったぶん、
なんだか気持ちの深いところで、このお芝居の創りだす世界を揺蕩っていたような気がします。

サブタイトル通り、宮沢賢治の生き方を描いたこのお芝居。
賢治の紡いだ物語を、賢治が書き留めた言葉たちをちりばめたこの物語は、
けれど、賢治だけの物語ではなく、その主体はどんどん変わっていきました。

何かを探して北の果てまで来たはずの宮沢賢治(土屋良太)。
居なくなった妻マリアを100年も探し続ける真っ白な猫―――ふくろう?(大沢健)
縞島(大沢健)が仕入れてきたトランクに、兄の気配を感じる清六(宇梶剛士)。
賢治と共に農民演劇を創ろうとする若者と、彼らの母親。
森のしんとした空気を切望するトシ(大和田美帆)。
助けたひばりの親子から渡された貝の火を手に途方に暮れる仔兎のホモイ(渡辺えり)。
波間を飛び立つ"天使猫"を語るマリアの言葉を奪うヤマネコ(大和田美帆)。

くるくると変わっていく場面。
くるくると移っていく主体。
くるくると進み、あるいは巻戻る時間。
くるくると触れ合っては離れる空間と物語。

近いようで遠い舞台の上で繰り広げられるその色鮮やかな物語は、
まるで私がこれまで接してきた宮沢賢治の物語のように、
小さくて、色鮮やかで、強い想いを孕んだ光の渦を作っているように感じました。

えりさんが、震災の年に書きあげ、そして上演したというこの物語。
それはもしかしたら、そこに生きる、何かを、誰かを探し続ける"彼らの想い"が吹き溜まり、
舞い落ちる雪のように、ゆらゆらと飛び立つ蛍のように、小さく強い光を放つ、
そんな場所を描いたものなのかな。
沢山のものが積み重なった瓦礫の中、はがれた爪から流れる血にも気づかずに、
ただ探して、探して、探し疲れて眠るように倒れこんだ白猫のお腹で瞬く白い光を見て、
そんな風に思いました。


うーん、全然観劇記録になってないですねー。
ほんとごめんなさい!!
機会があったら、今度こそベストコンディションで感覚全開で向き合いたいと思います。

とりあえず、役者さんの感想を簡単に。

猫と他6役を演じた大沢さん。
あれ? もしかして拝見するのは初めてかな?
白塗りの顔と猫の着ぐるみ(とは言わないか)に最初度肝を抜かれましたが、
舞台の上の空間と時間を縦横無尽にかき回すような存在の鮮やかさが印象に残りました。

大和田美帆ちゃんは、またもやトシ役!と思っていたら、そのほかにも3役も!
「イーハトーボの劇列車」のトシとは違った、おきゃんで元気いっぱいな笑顔と、
冒頭の静かで優しい笑顔のどちらもが、この物語のトシなんだなあ、と思いました。
個人的にはマリアが語る言葉の風を巻き起こすような強い響きと、
ヤマネコの高笑いが非常にお気に入りでございましたv(笑)

土屋さんの宮沢賢治は、なんというか、本当に普通の人で、
だからこその切実さとか、戸惑いとか、もどかしさとかがとてもリアルだったように思います。
自分が紡いだ、あるいは紡いでいく物語世界の中に立ち尽くし、
ホモイから受け取った貝の火の赤い光をじっと見つめるその静かな表情が、
なんだかとても鮮やかに私の中に残っています。

清六役は大人になってからを宇梶さんが、
物語世界で賢治と共に過ごす少年清六を川口さんが演じていました。
川口さんの清六の切れのいい動きと台詞回しがなんだかとても可愛らしくv
藤本さん演じるシゲとの仲良しっぷりも微笑ましかったです。癒されたv

宇梶さんの清六はねー。
兄への敬愛だけではない複雑な想いも感じられたように思いました。
最後、賢治のトランクを抱きしめるようにしてまどろむその姿と、
同じ舞台の上の違う空間で繰り広げられる物語の対比がすごく印象的だった。
でもって、岩手山のあの被り物も別の意味で印象的でした(笑)。

というか、この舞台って、みんな何かしら被り物とか着ぐるみとかしてるよね?
えりさんの兎とか、最初は何事!と思ったのだけど、見慣れて見ると可愛かったですv(笑)


東京公演を終えて、これから全国を回るこの舞台。
石巻(だったと思う)では仮設テントで行うのだとか。
これから寒さも厳しくなりますし、どうぞみなさんお体にお気をつけて。
鮮やかで不思議な光の散りばめられたこのお芝居が、
観る人の心にも光を灯しますように。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
私もこの作品、自分の中であまりちゃんと把握できていない
ように思うのですが、こうして恭穂さんのご感想を読ませて
いただくと自分のとも補完されて(笑)、ますますもう一度
観たくなりました。

大和田美帆ちゃんのトシ、ほんとに「イーハトーボ」とは
また別の顔を持ったトシでしたね。
美帆ちゃんはこの舞台のお稽古やりながら「シェルブール」
にも出演されていて、ほんとに役者さんってすごいなぁと
この舞台を観て改めて思いました。
スキップ
2014/11/24 20:59
スキップさん、こんばんは。

いつにもましてわけのわからない記録になっていますが、
少しでも補完のお役に立てたなら良かったですv
というか、私もスキップさんの感想を読ませていただいて、
いろいろ補完させていただきました。
いつか再演されることがありましたら、
ぜひご一緒して直後に感想をお話したいなー。
野望リストに入れておこうと思います(笑)。

美帆ちゃん、見るたびに素敵な役者さんになりますね。
確かに、お稽古とシェルブールの公演、重なってましたね!
ほんとに役者さんってすごいです・・・
宇梶さんも更に別の意味で凄かったですし(笑)。
恭穂
2014/11/26 22:41

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