瓔珞の音

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zoom RSS スケッチブックに描かれたもの

<<   作成日時 : 2016/06/28 21:29   >>

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6月も最終週になって、やっと関東も梅雨らしいお天気になった気がします。
この雨で、深刻な水不足が少しでも解消するといいなあ。
蒸し暑さは苦手だけれど、この季節も好きな花がたくさんあるので、通勤時がちょっと幸せです。
名残の夏椿や紫陽花、凌霄花、ネジバナ、合歓の木、咲き初めの向日葵・・・
私には絵心がないので、季節限定で咲き誇る花をスケッチブックにとどめることはできないけど、
彼女のスケッチブックには、きっと彼女を癒した花の絵もあったんだろうな。


「Tell Me on a Sunday 〜サヨナラは日曜日に〜」

2016.6.25 マチネ 新国立劇場小劇場 1階C5列10番台

音楽:アンドリュー・ロイド=ウェバー
歌詞:ドン・ブラック
演出・翻訳・訳詞:市川洋一郎

出演:濱田めぐみ

というわけで、濱田めぐみさんの一人芝居なミュージカルを観てきました。
濱田さんというと、強くてかっこよくてちょっと人外(え)な役柄の印象が強くて、
こういう等身大の役柄を観るのは初めて。
どんな感じになるのかな、と思っていたのですが、何ともキュートで魅力的でしたv
歌声はもちろん素晴らしく!
圧倒的な力を感じさせる歌声よりもむしろ静かに囁きかけるような歌声が今回は印象的だったかな。
自在な歌声で、一人の少女が女性になるまでのリアルな感情を見せていただいたように思います。

客電が落ちた時、舞台脇上手の最前列端っこに遅れて入ってきた女性が座りました。
歩いて席について帽子を取る。
その一連の仕草がとても綺麗で、役者さんかなー、と思ったら、濱田さんでした(笑)。
細いピンライトの当たったその横顔の凛としたラインの美しさに、ちょっと溜息がでちゃいました。
そんな大人な女性が真っ白な舞台に上がり、暗い色のコートを脱いだ瞬間、
そこにいたのは真っ白なタンクトップと短パン姿の、若く元気いっぱいの女の子でした。

物語は、そんな彼女―――エマが、
ボーイフレンドを頼ってロンドンからニューヨークに渡るところから始まります。
持ち出した小さなスーツケース。
彼女がそれを開けた瞬間、沢山の紙―――スケッチブックが、舞うように広がりました。
それは、白い壁に映った映像なのだけれど、
スーツケースの内側から溢れるような光を浴びて、舞い散るスケッチブックを見上げるエマの瞳の輝きは、
その紙の一枚一枚が、まるで今彼女が手にし、
そしてこれから手にする希望や夢や喜びを見つめているように感じられて、
何だか自然に私も笑顔になって、でもなぜかとても泣きたくなってしまいました。

物語は、NYに渡ったエマの1年間を描きます。
ついて早々頼りにしていたボーイフレンドと別れてしまったエマ。
けれど、恋愛体質な彼女は、すぐに別の恋に落ちます。
1年間で、彼女が出会い別れた4人の男性、そして、彼女が眼にしたNYやLAの風景が、
彼女の描くスケッチとして白い舞台に投影され、彼女と共に物語を紡いでいきます。

再開してすぐに別れてしまったミュージシャンのジョー。
彼女を見初め、LAでのセレブの世界を見せて、
でも彼女をアクセサリーとしか見ていなかった映画プロデューサーのシェルダン。
NYに戻ったエマが出会った運命の相手、年下のカメラマンのサイモン。
傷心の彼女の前に現れ、彼女に“家庭”の夢を見させたポール。

それぞれの男性に向き合うエマの感情の鮮やかさが、とても印象的。
最初は、現実の見えていないちょっと無謀な女の子、という感じのエマ。
ジョーと速攻別れた後、自分の夢を叶えるために、描かれてはいないんだけど、多分一生懸命頑張った。
そこに現れたシェルダンとは、たぶん最初っから打算ありきの関係だったんだろうなあ。
彼に向かって、彼好みの女になる!と猛アピールするエマの姿は、
必死な分、どこか滑稽で危なっかしい。
夢を叶えるためのルートで迷走しているようでちょっとハラハラしたかも(^^;)
でも、LAの太陽にも負けないような、弾けるような生命力を感じたのも確かで。
こういう強さ、濱田さん似合うなーv

そんな関係性の後だっただけに、サイモンとの恋は本当に染み渡るような切なさと美しさがあったように思う。
眠るサイモンの姿をスケッチしながら、自分らしくいられると呟くように歌うエマ。
強がるのでも、自分を相手に無理やり合せるのでもなく、
ただ、ありのままの自分でいられる場所。
エマにとってサイモンの隣はそういう場所で。
そう感じさせるエマの歌声の優しさと、溢れるような幸福感に思わず涙してしまいました。
でも―――
彼女の幸せは、サイモンの浮気で壊されてしまいます。
その事実を感じていながら、見ないふりをしていた、というエマ。
ああ、彼女は幸せすぎて臆病になってしまったんだな、と思った。
サイモンとの最後のシーン、タイトルにもなっている♪サヨナラは日曜日に 。
幸せで、大切な恋だったから綺麗なまま終わりたい。
美しい思い出のまま、微笑んでさよならしたい。
そう歌う彼女の姿は、それまでの彼女に感じられた溌剌とした空気は微塵もなかった。
手にした幸せを守るために、変わろうとしたのではなく、彼女は変わってしまった。
そんなエマの希望を叶えることなく、サイモンは出ていってしまいます。
―――もしかしたら、サイモンは、彼女の“変化”に気づいていたのかもしれない。
自分といることで、変わっていく彼女を前にして、
もしかしたら、サイモンは、彼女に怒ってほしかったのかもしれない。
縋りついてほしかったのかもしれない。
剥き出しの感情を、ぶつけてほしかったのかもしれない。
もちろん浮気は許されないことだけど、
これはサイモンにとって彼女との関係を続けるための賭けだったのかもしれないな、なんて思ってしまいました。
うーん、うがちすぎかなー(^^;)

運命の恋を失って、孤独に苛まれる彼女が出会ったポール。
たぶん、サラリーマン?
初めて、芸術系でない男性だ!と思ったら・・・既婚者でした・・・おーい、エマ!!(^^;)
ロンドンのママに電話で「彼は離婚するから大丈夫よ!」とか言ってるけど、
ママ、絶対めちゃくちゃ心配してるから!!
思わず母親目線で見ちゃいましたよ(笑)。
ポールと、その娘のルーシーと会うことになったエマ。
ルーシーに向かって、私たちは似た者同士、きっと仲良くなれる、家族になれる、と言い募ります。
この時点で、ポールの離婚が成立してたのかどうかはわからないけど、
エマの必死さと、その必死さにさらされたルーシーを思うと、なんだかもういたたまれず(>_<)
案の定ルーシーはエマの前から逃げ出して。
そこに残されたのは、ルーシーが落とした1枚の写真。

パパと、ママと、ルーシーと、犬。
幸せに微笑む家族の写真。

その写真は、NYに来たばかりのエマが見つめる、彼女自身の家族写真と酷似していて―――
エマは、ポールと別れる決意をします。
その時の歌は、ジョーと別れるときと同じメロディのものでした。
「ちょっと待って、今は私の話を聞いて」
そう言って、自分の気持ちを伝えるエマ。
けれど、そのスタンスは大きく違っていた。

相手を責めて、同時に自分も責めて、そして衝動的に諦めたジョーとの関係。
相手にただ伝えようと、自分を届けようとして、自分の選択として終わらせようとしたポールとの関係。

4つの恋をなくしたエマの手に残ったのは、
1枚のグリーンカード、テディベアの入った小さなスーツケース、そして、それでも尚捨てられない、夢。
彼女が開けたスーツケースに、今度は舞い散ったスケッチブックが、逆再生のように集まり戻っていきました。
でも、それは決して“もとに戻った”わけではない。
その一枚一枚には、彼女が愛した彼らが、彼女が生きたNYの街並みが、
彼女が思い描いた夢が、きっと鮮やかに描かれている。

一人でも大丈夫。
私には夢がある。
そう歌った彼女はそのスーツケースを持ってもう一度歩き出します。
これから―――きっと彼女はまた恋に落ちると思う。
その一方で、彼女の夢が叶うかどうかはわからない。
たぶん、叶わない可能性の方が高いと思う。
それでも。
彼女はきっと前に進んでいくんだろうな。
4人の男性から、「自分の街」といえる世になったNYから、そして家族や友人からもらった、
綺麗なだけではない、けれどそれぞれに鮮やかな思い出というスケッチを胸に抱いて。
そんな風に、前向きな、でもちょっと切ない気もちになるラストシーンでした。


独り芝居ということで、濱田さんはステージに出ずっぱり。
LAに行く時に一瞬セットの後ろに隠れたくらいじゃないかなー。
70分という決して短くはない時間、観客の目も気持ちも一人で惹きつける力量はさすが。
そう言えば、声の出演でいきなり浦井くんの声が聞こえた時は耳を疑いました(笑)。

あのスーツケースも、位置を変えることでベッドになったりソファーになったり・・・
照明や映像と相まって、真っ白なセットがとてお奥行きのあるものに見えました。
スーツケースの中に入っていて、シーンごとに着替える衣裳もみんなとっても可愛かったですv
スクエアヒールの靴にジーンズのジャケット、という感じの衣裳から、
裸足にキャミソールワンピ、
終盤のピンヒールにシックな色合いのワンピースまで、
どれも濱田さんにお似合いで、そして、それぞれのシーンにとても合っていたように思います。

でもって、彼女がずっと持っているスケッチブックとテディベアもいい仕事してました。
サイモンとの別れの後、スーツケースに片づけられたテディベアを、
彼女がもう一度取り出して抱きしめて、小さなスーツケースに入れなおすの、良かったなあ・・・!

楽曲も綺麗だったし、きっと見落としている演出もあると思うので、
再演があるようなら、またぜひ観に行きたいと思います。
とりあえず、次に濱田さんを拝見できるのは「王家の紋章」ですね。
今回と180°違う役柄ですが、楽しみですv

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