瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2016/07/05 22:01   >>

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一つずつ重なっていく、声と音。
細い流れがより合わさって大きな流れになるように、
その瞬間生まれた彼らのハーモニー。
それはきっと、しがらみもためらいも矜持も、
全てを有無を言わさず押し流す、抗うことのできない奔流。


「JERSEY BOYS」 TEAM WHITE

2016.7.2 マチネ シアタークリエ 12列20番台

出演:中川晃教、中河内雅貴、海宝直人、福井晶一、太田基裕、戸井勝海、阿部裕、綿引さやか、
    小此木まり、まりゑ、遠藤瑠美子、大音智海、白石拓也、山野靖博、石川新太


1960年代に活躍したヴォーカルグループ「ザ・フォー・シーズンズ」の、
栄光と挫折と歩みを描いたこのミュージカル。
「ザ・フォー・シーズンズ」については、曲は聴いたことあるけど、というレベルの私にとって、
この日見た4人が、私の中のリアルな「ザ・フォー・シーズンズ」になりました。

ニュージャージーの街で、どん底の生活から抜け出すことを夢見る若者たち。
スターになることで、その夢を叶えようと兄や友人のニック(福井晶一)とバンドを組んだトミー(中河内雅貴)。
ある日彼は“天使の歌声”を持つ一人の少年、フランキー(中川晃教)と出会います。
軽犯罪で留置所を出たり入ったりしながら、フランキーの声を武器にのし上がろうとするトミー。
けれど、世間はそんなに甘くなく・・・
くすぶりつづける彼らの前に、10代で一度だけヒットチャートにのったことのあるボブ(海宝直人)が現れます。
やはりフランキーの声に魅了されたボブは、バンドに加入―――そして生まれた「ザ・フォー・シーズンズ」。
バックコーラスなどの仕事をしながら、自分たちの音楽を作りつづけた彼らは、
徐々にヒットチャートの階段を駆け上り始めます。
時代のスポットライトを浴びた彼ら。
けれど、プライベートでの彼らの関係性は徐々に軋みを上げ始め―――

というような物語。
観終わってみての感想は、スポットライトの中と外―――人生の光と闇、
それぞれがとても深く、その境界がとても曖昧だということ。
そして、音楽の持つ力に、恐怖に近いような感動を覚えました。

物語の中、彼らの歩みに従って、自然に奏でられる「ザ・フォー・シーズンズ」の楽曲。
芝居の台詞から伝わるものとは異質な、感覚に直接響いてくるような彼らの感情。

印象的なシーンはたくさんありましたが、
一番気持ちを持っていかれたのは、4人が初めて音を重ねた♪Cry For Me でしょうか。

フランキーの声のために、ボブがピアノで奏でる楽曲。
重なるボブとフランキーの声。
それに加わるニックの歌声とベース。
突然のボブの参入に拗ねていたのに、その音楽を聞いて、
「ああ、もう、しょうがない!」というようにギターを持って駆け寄るトミー。

全てのピースがぴたりとはまったかのような、その瞬間の快感と高揚感。
それは、きっと至上の幸福ともいうべき音楽の魅力であり、
そして同時に、抗うことのできない奔流のような恐ろしさがありました。
全ての個人的な感情を押し流して、ただその瞬間を求めざるを得ない、その流れ―――
それは、なんて幸せで、なんて恐ろしいものなんだろう。


物語そのものや、4人の、そして彼らを取り巻く人たちの関係性についてもいろいろ思ったのだけれど、
思考はその奔流に根こそぎ持っていかれた感じで、まだ上手く気持ちの中で整理されていません。
あと何回か見るから、そのうちに何かが見つかるかな。
とりあえず、今回は役者さんの感想を少しずつ。


フランキー役、中川晃教くん。
この役は彼にしかできない、という言葉を初日前から、そして初日が開けた後もいろんなところで目にしました。
そして、それはまさにその通りだな、と思った。
冒頭、ステージの上でトミーが奏でる音に合わせるように響いた、水晶みたいに透明でキラキラした歌声。
短いその歌声が聞こえた瞬間、気持ちも目も下手通路に立つ一人の“少年”に惹きつけられました。
まさに、“天使の歌声”を鮮やかに印象付ける歌声は、まさにアッキーならでは。
その後も、様々な色合いを持つ歌声を変幻自在に操る彼に、
もう溜息と拍手しか送るものがないよ!と思ってみたり(笑)。
歌手を目指しながらもそのきっかけをつかめなかったフランキー。
歌うこと以外、世間の何も知らなかった彼が、
トミーに見いだされ、ニックに学び、ボブの曲を得、そしてつかんだ栄光。
フランキーの歌声は、天与の才。
けれど、歌手としてのフランキーを創り上げたのは、
トミーであり、ニックであり、ボブだった。
トミーの借金が明らかとなり、それをきっかけにトミーが去り、ニックが去り、
作曲とプロデュースに専念するボブとは声を重ねることがなくなり。
それに重なる、妻との不和、娘との確執、新しい恋人とのすれ違い―――
大切なものを一つ一つ削り取られていくなかで生まれた曲―――♪Can’t Take My Eyes Off You 。
ソロとなった彼が歌うその曲の、孤独。
明るい旋律を歌うその声が透明な美しさをもつからこそなお、その孤独の輪郭が鮮やかになるようで、
一人溢れる涙を止めることができませんでした。
それはもちろん、私の思い込みなのだけれど。
でも、それまで持っていたこの曲のイメージを覆す、とても印象的なシーンでした。


トミー役、中河内くん。
面倒見が良くて情が深いけれど考えは浅い―――そんな愚かさすら抱きしめたくなるような魅力がありました。
まあ、同時に正座させて説教したくもなりましたが(え)。
なんだろう、本当にいいお兄ちゃんなんだよね。
というか、お兄ちゃんで在ろうとしたのか。
トミーもザ・フォー・シーズンズも俺が守る!的な(笑)。
この物語は、4人それぞれが四季になぞらえてストーリーテラーを務めていくのだけれど、
物語の始まりを担ったトミーは、どんどん中心から外れていきます。
それでも、ザ・フォー・シーズンズの原点は彼の夢だったのだと、
常に感じさせる存在感があったように思います。
そういえば、この日は中通路に面した上手の席だったのですが、
始まりのシーンで、ステージの楽しそうな様子に見入っていたら、
ふっと目の前を細身の影が通り過ぎて、え?と思ったらトミーな中河内くんでした。
間近で見ると、イメージしていたよりも背が高くて、動きの一つ一つが綺麗!
この舞台ではダンスメインなシーンはなかったけれど、
歌の振りで踊るときの動きは、やっぱり凄く滑らかで雄弁だったなあ。

夏担当のボブ役、海宝くん。
相変わらず素晴らしい歌声!
でもって、あの笑顔の癒しパワーはすごいと思うのよ・・・
ボブは、なんというか凄く真っ当な子。
4人の中で唯一前科がなくて(途中でトミーのせいで前科付になっちゃったけど(^^;))、
冷静で、今のことも先のこともちゃんと考えてて。
トミーの借金を自分たちが肩代わりする、というフランキーの提案を支持する時も、
きっと彼には勝算があったんだろうな、と思ってしまいました。
そんな彼が、曲を売り込むために頑張って頑張って、感情を露わにするシーンは、
彼自身の中に在る音楽への情熱が感じられて嬉しかったなあ。
堅実に人生を歩んだ彼は、多分4人の中では一番の成功者だったのかもしれないけれど、
他の三人に対して、どこか称賛ににたニュアンスが最後の台詞に感じられたのは私だけかしら。

秋担当のニック役、福井さん。
なんというか、他の3人にとっての拠り所だったんじゃないかなあ、と思ってみたり。
トミーとも、フランキーとも、ボブとも、それぞれとそれぞれの関係性を作っていて、
そのことが、ザ・フォー・シーズンズとうグループの鎹になっていたように思います。
でも、それなら、彼にとっての拠り所は?
それは、彼の言う通り妻と子どもたちだったのかもしれないし、
ザ・フォー・シーズンズこそがそうだったのかもしてない。
彼の脱退が、グループの分裂の直接的な原因になったのかもしれないけれど、
それは、鎹である彼が抜けたからではなく、
そうなることを感じ取っていたからこそ、彼はあの瞬間に全ての感情を発露して去っていったのかなあ・・・?
2幕になるまで台詞も少なめだけれど(本人も言ってましたね(笑)、あの低い歌声にはよろめきましたよv

阿部さんは、マフィアのボスにラジオ局のDJなどいろいろされてましたね。
イタリア系マフィアというと、古い映画のイメージしかないのですが、
ファミリーを大事にする、バイオレンスとラブが無理なく同居している貫録が素敵v

戸井さんは、トミーから借金を取り立てる金貸し役と、レコード会社の人(?)など。
金貸しのノームは、トミーに迫っていく怖さもあったけれど、
ザ・フォー・シーズンズのファンという私の部分と、
仕事は全うするという公の部分のせめぎ合いに、愛情を感じました。

フランキーの妻メアリー役の綿引さん。
出ている時間も台詞も決して多くはないのですが、
彼との出会いから別れまで、変わっていく感情をとてもわかりやすく見せてくれたように思います。
二人の娘役はまりゑさん、かな?
妖艶なイメージが強かったので、思春期な可愛らしさにちょっとびっくりしてみたり。
これはフランキーパパも過保護になるよねー。・・・ちょっと遅かったけど(涙)。

男性陣は役の名前とちょっときちんと区別がついていないのですが(^^;)、
ボブが入る前に3人と組んでいた役や、
クルーのとなりでわちゃわちゃしてる役をやってた方の笑顔が可愛かったですv

というか、アンサンブルのみなさんは、ほんとにいろんな役をやっていて、
それぞれにかっこよかったなー、と思います。
♪Can’t Take My Eyes Off You の時の楽器隊、かっこよくて楽しそう・・・
個人的に、フランキーの孤独が更に際立った気がしました。

クルー役の太田くんは初見、かな?
癖はあるけど非常に男前なクルー、魅力的でしたv
最後のシーンが、彼の言葉から始まるのに、なんだかじーんときてしまいました。
本当に、彼らの節目節目で背中を押してくれる“友人”だったんだなあ、と思う。

クルーの言葉で始まる、ザ・フォー・シーズンズ再結成の舞台。
ステージの上方、セットの3階部分に作られた楽屋の鏡前。
ずっと昔、夢に溢れた4人が笑顔で語り合った場所で、もう一度語り合う4人。
彼らの足場は、もう同じ場所ではないし、
彼ら自身もあの頃とは変わっているけれど(トミーがフランキーの家族を気遣ったよ!)、
それでも、4人がそろっている姿を見るのは、なんだか凄く嬉しかった。
同時に、音楽というものは、人を強く結びつけると同時に、
いつだって壊れる脆さがあるんだな、って改めて思った。
(そう思うと、大好きなバンドが、その形のままで進化を遂げていることって、
 凄く得難くて幸せなことなんだなあ、と思ってみたり(笑)。)

一人ずつ、階段を降りながら自分の言葉で語る彼ら。
その途中で髭や白髪を取り去って、かつての姿で、かつて立っていたマイクの前にしばし佇む彼ら。
彼らの時間は戻ることはないし、今の彼らが紡ぐ音楽の流れはかつて同じではない。
穏やかな彼らの在り方は、それを強く感じさせて―――
それでも。
彼らの音楽が創り上げたあの奔流は、
その果てにあったあの栄光は、
決して色あせることはないのだと。
時間の流れに洗われて、穏やかに、まろやかに、透明になっていったとしても、
あの瞬間の輝きは消えることはないのだと。

そう、強く、感じました。


この舞台、フランキー以外の3人はWキャスト。
TEAM REDを観るのはもう少し先なのですが、そちらの四季はどんな感じなのかな。
なんだかちょっとわくわくしますv

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