瓔珞の音

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zoom RSS トレースと再構成

<<   作成日時 : 2016/08/09 21:33   >>

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お友達に教えていただいて、数か月前から嵌っている小説があります。
香月美夜さんの「本好きの下剋上」。
ネット小説で数日かけて一気読みして、気が付いたら出版された本も全て揃えておりました(笑)。
物語としては、本の大好きな主人公が、異世界(なんだと思う)に転生(厳密には違う)して、
識字率の低い世界で本を作るために、現代の知識を総動員して奮闘しているうちに、
いつの間にか女神の化身になっちゃいそう、というもの(端折りすぎです)。

魅力的な登場人物。
綿密に作られた世界観。
ハラハラする展開。

どれもが嵌った要因なのですが、最初のきっかけは、現代の知識を使うことで、
主人公が一つ一つ本に向かって必要なものを創り上げていく過程なのかなあ、と思ったり。
こういう、タスク達成系、ほんとに好きなんですよね、私(笑)。

そういえば、高校生の頃、この舞台の原作を読んだときも、
最初に心惹かれたのは、主人公が現代の知識で困難を覆すときだったなあ、と思いだしてみたり。


「王家の紋章」

2016.8.7 帝国劇場 1階I列10番台

出演:浦井健治、宮澤佐江、宮野真守、伊礼彼方、濱田めぐみ、山口祐一郎、矢田悠佑、愛加あゆ、
    出雲綾、木暮真一郎、川口竜也、工藤広夢、天野朋子、熊澤沙穂、栗山絵美、小板奈央美、
    島田彩、藤咲みどり、横関咲栄、青山航士、岡田誠、輝海健太、加賀谷真聡、上條駿、齋藤桐人、
    笹岡征矢、千田真司、長尾哲平、橋田康、若泉亮


連載40周年を迎えた少女漫画の金字塔と言われる「王家の紋章」のミュージカルなこの舞台。
古代史を学ぶアメリカの富豪の娘キャロル(宮澤佐江)が、
とある少年王の墓を発掘したことから、3000年前のエジプトにタイムスリップし、
まさにその少年王であるメンフィス(浦井健治)と時空を超えた恋を育む、とうこの物語。
現時点で60巻を超えるコミックスが出ていて、いったいどう舞台化するんだろう?と、
最初に知ったときは豪華なキャストや作曲者に驚きながらも、???となっていたのですが・・・

いやー、こう来たか!と思いました。
なんというか、少女漫画の粋を集めました!という感じ。
物語としてはツッコミどころ満載で、
伏線も、丁寧に描かれた主人公以外の登場人物の感情も、そこまで紡がれた物語も、
全てぶった切ったような力技なラストには一瞬呆然としましたが、
これはもうこれでいいんだ!と一種清々しい気持になりました。
だって、これは少女漫画―――キャロルのための物語なんだから!
キャロルの想いと、メンフィスとの恋愛が成就すればそれでいい・・・んだよね?(弱気)
最初の方は、ちょっと待てそれでいいのか?!と叫びたくなることが度々ありましたが(え)、
雰囲気のあるセットに美しい衣裳、そして圧倒的な役者さんの歌声を前にしたら、
目の前に創り上げられた世界が、たとえ砂上の楼閣であったとしても、
そのことすらも正しいと感じてしまうような説得力がありました。

もちろん、これは私の勝手な受け取り方であって、
もっと素直にきちんと舞台を受け止めれば、
きっと綿密に作られた世界に入り込むことができるのかもしれません。
まだ開幕したばかりだし、舞台そのものも熟成して、私自身のスタンスも変われば、
きっとそういう瞬間が来る気がします。
それも楽しみだなv

なので、今の時点では役者さんの感想を少しずつ。

帝劇の初単独主演なメンフィス役浦井くん。
骨格が既に大人の男性になってしまっているので、
さすがに10代の少年は難しそうかなあ、と思ったのですが、
観ているうちに、どんどん違和感がなくなっていくのはさすが。
王となるために生まれ、王として育てられ、王である―――他者と異なる自分を微塵も疑わない、少年王。
その激烈さとは裏腹な素直さ、若さゆえの頑なさや余裕のなさ、
そしてキャロルに出会ったことで生まれる変化の鮮やかさに魅了されました。
というか、キャロルに出会った瞬間の一瞬の静寂は、まさにボーイミーツガール!
ちょっとどきどきしてしまいましたよ(笑)。
まあ、あの時点でキャロルはメンフィスをあの墓の主、としか思ってないわけですが(え)。
普段よりちょっと低めな印象の歌声も素敵でしたし、
(イズミルとライアン兄さんと3人で歌う曲は、それぞれの歌声の重なりが素晴らしくv)
マントをばさーっ!とする殺陣のシーンもかっこよかったですv
ヒッタイトの戦いのシーンがダンスで表現されてたのも見ごたえありました。

キャロル役は宮澤佐江ちゃん。
アイドルに疎い私は初めて認識しましたが(すみません!)、
表情豊かな素直な演技がキャロル、という感じでした。
ふくれっつらが可愛いv(笑)
歌声は、ちょっとむらがあるというか、気持ちの勢いに負けちゃってる感じもありましたが、
現代の知識を持ち込んで良いのか、と悩むシーンの歌声の切実さには、
私も知らず強く手を握りしめて、真剣に聴いてしまいました。
そうそう、真水を作るシーンがちゃんとあって嬉しかったな。
実は20年以上前に読んだ原作のなかで、一番クリアに記憶に残ってるのが、
メンフィスやイズミルとのあれこれではなく、
キャロルが真水を作ったり、剣を鍛えたりするシーンなんですよねー。
読んでいてすっごいわくわくしたんですよ!
その気持ちを思い出して嬉しくなると同時に、どこまで恋愛偏差値低いんだ私、と思いました(^^;)

イズミル王子は初見な宮野さん。
普段は声優でご活躍、なのでしょうか?
すらっとした長身と(あの衣裳で細身に見えるとこが凄い!)、甘い歌声が印象的でした。
でもって、イズミル王子のナンバー、めちゃくちゃロックでびっくり!
従者たちとのダンスとも相まって、とってもかっこよかったです。
立ち姿にちょっと癖がある感じが若干気になりましたが、
まあ、これは私の中のイズミル王子とずれてる、というだけのことなんだろうな。
いろいろびっくりしちゃって、イズミル王子の感情の変遷をクリアに受け取れなかったのが残念。
次回頑張ります!

でもって、イズミル王子が出てくるときには、たいてい出てくる愛加さん演じるミタムン王女の亡霊が素晴らしく!
ミタムン王女を見た瞬間、いたいたこういう王女さま!と、一気に記憶が蘇りました。
原作の記憶ははるか彼方なのですが、ミタムン王女とアイシスさまの再現度は凄い気がする・・・
最期のシーンのダンスも素晴らしかったですが、亡霊になってからのあの曖昧な存在感に目を奪われました。
途中、これは王家の呪いじゃなくてミタムンの呪いが副題なのでは?とか思ったのですが(え)、
最後まで観終わって、ああ、これはイズミル王子の悔恨の念が見せる幻なんだろうな、と思った。
彼の執着が、彼女をあの姿のままとどめてしまっているのかな、と。
だから、最後のシーンでは、彼女はかつての美しい姿に戻るのかな、って。
・・・カーテンコールの都合なのかもしれませんが(え)。

濱田さんのアイシスさまは、もう登場のシーンから感嘆するばかりでした。
というか、この舞台の始まり、凄い良かったんですよねーv
開演前から、緑と青の複雑な照明が客席と舞台前面の紗幕に当たっていて、
波のような音が遠く近く響いていたのも、客席全体を異空間にしている感じ。
その紗幕の向こうに、破損した首飾りを模した大きなセットと、
布でできたセットが連なるようにぶら下がっていて、
始まりは、そのセットの奥に佇むメンフィスの姿と、
それを隠すかのように中央に歩み出す黒い衣裳のアイシスだったのですが、
あの瞬間のすっと舞台上に意識が集約するような雰囲気には、ちょっと鳥肌立ちました。
ヒエログリフが刻まれた石版を模したセットも、
舞台奥に映される淡いナイルとピラミッドのある風景もとても美しかったです。
これは後方センターや2階席でぜひ見てみたい!と思いました。

話をアイシスさまに戻しまして。
下エジプトの女王としての聡明さや、メンフィスに向かう一途な想い。
彼を、エジプトを守るためには決して躊躇わない容赦のなさ。
メンフィスの拒絶を前に、けれど、決して彼には涙を見せない矜持。
自らを焼き尽くすような情念を抑え込んで、戦に赴くメンフィスの無事を祈る真摯さ。
そういった一つ一つを、とても丁寧に見せてくださいました。
メンフィスと二人で歌うシーンが何回もあるのですが、
同じ旋律、同じ歌詞もあったはずなのに、二人の関係が大きく異なっていることが、
感覚として伝わってくるのは、やっぱり濱田さんと浦井くんだからこそなのかなあ、と。
そんな風に、アイシスの想いを細やかに紡いでいただけに、
ラストシーンでなんのフォローもないのがちょっと残念だったり。
いやでも、私が見落としただけで、ちゃんと次に繋がる何かがあったのかな?

同じようにフォロー皆無で笑っていいのか同情したほうがいいのか非常に悩んだのが、
伊礼くん演じるライアン兄さん。
まあ、一人現代にいるわけなので、
キャロルへの想いという部分でメンフィスやイズミル王子と時空を超えて重なるだけでも、
出番は増えてるのかもしれませんが・・・って、凄い贅沢な使い方だな!(笑)
伊礼くんは私の中ではすっかりシスコンキャラで定着しているのですが、
今回ほど報われない役はないのではないかと(^^;)
物語の最後の台詞が、ライアン兄さんの「キャロル」だった日には、
私もちょっと呆然としてしまいましたよ(笑)。
そういえば、ライアン兄さんの長髪とサングラスは、原作通りとはいえちょっと違和感あったかなー。
いや、似合ってたんですけどね。

山口さんのイムホテップさまは、出てきた瞬間に場を攫うというか、
雰囲気を一変させるところがさすがだなあ、と。
アイシスにもメンフィスにも慕われていて、偉いのに親しみやすい、癒し系な感じでした。
いやでももしかしたら、一番の黒幕なのかも?と思わせる瞬間もあったり?(え)

癒し系と言えば、川口さん演じるミエーヌ将軍も凄い癒し系でした!
強面なんだけど、さりげなくキャロルやセチを庇う姿にほっとしたり。
武骨なまでに一途なアイシスさまへの恋慕も切なかったなあ。
でも、そういう想いを封じ込めて職務に忠実である姿が素敵でした。
そういえば、将軍って、出雲さん演じるナフテラの息子なんですよね。
舞台上では二人のやり取りはほとんどなかったと思うのだけど、
そう思うと持ってる雰囲気に通じるものがあったように思います。

ウナス役の木暮くんも初見、かな。
とてもまじめで一生懸命で、でもちゃんと自分で考えて進んでいくところが、
とっても頼りがいがあるなあ、と思ったり。
きっと細かな役作りや演技をされていると思うので、今度はそういうところもちゃんと受け取りたいな。

工藤くん演じるセチも可愛かったですv
彼の最期には思わず涙したよね。
あの笑顔はずるいよ・・・(;_:)
そういえば、戦に赴く前にメンフィスが独りその決意を歌う曲で、
メンフィスの後ろで見事なダンスを見せてくれました。
最初は何事?!と思ったけど、メンフィスの深く決意に溢れた歌声と重なって、
とても見ごたえのあるシーンだな、と思いました。
TdVのクロロック伯爵と伯爵の化身みたいだなあ、と思ってふと気づいたんだけど、
振付に新上さんの名前がありましたよね?
このシーンのセチの振付は新上さんぽいなあ、と思ったのだけど、違うかな?

アンサンブルのみなさんも、沢山の役を重厚に演じられていました。
布を多用した不思議な空間の演出は面白かったな。
でもって、青山さん、相変わらずいい仕事するなー、と思ったりv

で、そんなふうにたくさんの素敵な役者さんがいる中で、
実は一番私が目を引かれたのが、矢田くん演じるルカだったり(笑)。
いやもう、出てくるたびについつい目が行っちゃうんですよ。
たぶん、あの姿勢の美しさと、物語の中でちょっと異質な存在感によるのかな、と思うのだけど・・・
なんだろう・・・彼が何を見て、何を感じ、何を選択するのかが凄く気になった。
そういえば、原作を読んでいた時、ルカが一番好きだったことを思い出しました(笑)。
好みって変わらないものなのねー(え)。
前に観た舞台で、その歌声にもちょっとよろめいていたので、
もっと歌うシーンがあったら嬉しかったな。


そんな感じで、ちょっとまだこの舞台への向き合い方が定まっていない私ですが、
とても楽しむことができました。
で、この舞台に接して最初に思ったのが、「帝劇で2.5次元ミュージカルを創ると、こうなるのか!」ということ。
最近、いわゆる2.5次元系の舞台を観る機会が増えてきているのですが、
根本のスタイルが全然違うなあ、と思いました。
私自身、観た舞台も限られていて、2.5次元系に通じているわけではないのですが・・・

某雑誌で、とある2.5次元系で活躍されている役者さんのことを、
「キャラクターをトレースするセンスが素晴らしい」と評されているのを読んで、
なるほどなあ、と思ったことがあります。
漫画やゲームをもととした2.5次元系では、その役をいかに再現し、
その上で、いかに広げ、深めていけるかが問われるように思います。
基本にあるのは、あくまでそのキャラクター。
言い換えると、自分自身を役に近づける、ということなのかな、と思う。
その一方で、去年上演された「デスノート」にしろ、今回の「王家の紋章」にしろ、
キャラクターをトレースするのではなく、役者さんに役を近づけているように感じました。
その役を一度細かく分解して、その上で再構築しているというか。
浦井くんのメンフィスは、あくまで浦井くんのメンフィスなんだよね。
役だけでなく、物語そのものも、ミュージカルという媒体に引き寄せている感じ。
うーん・・・上手く表現できないけど、そもそものスタンスが違うのかなあ、と思いました。
どっちがいいとか悪いとかではなくて、アプローチの仕方が、たぶん違う。
もちろん、この舞台には2.5次元出身の役者さんも多いし、
これは私の勝手な思い込みでしかなくて、全然的外れなのかもしれないけど。
うん、この辺は、いつかもうちょっと踏み込んで考えられるといいな。

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