瓔珞の音

アクセスカウンタ

zoom RSS 幻影の鎖

<<   作成日時 : 2016/11/22 22:10   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

光の向こうに消えていく、その少女の華奢な背中には、
幾重にも、幾重にも、重い鎖が巻き付いているように見えました。



「あずみ 戦国編」

2016.11.19 マチネ Zeppブルーシアター六本木 14列10番台

原作:小山ゆう
構成・演出:岡村俊一
出演:川栄李奈、鈴木拡樹、早乙女友貴、小園凌央、斉藤秀翼、三村和敬、山本亨、吉田智則、久保田創、
    黒川恭佑、松本有樹純、塚田知紀、大石敦士、椎名康裕、高橋邦春、向田翼、東慶介、平野翔太、
    山本ナオミ、近藤陽子、清家大雅、藤谷龍、有森也実、星田英利


物語の舞台は慶長二十年、大阪。
徳川家に対立するものを殺すための刺客として育てられた少女あずみ(川栄李奈)は、
仲間と共に加藤清正を討つために大阪へ向かいます。
何とか紛れ込んだ大阪城内。
そこで彼女を待っていたものは―――

ざっというとこんなお話?・・・って端折りすぎか(^^;)
原作は非常に人気のある漫画とのことですが、私は全く触れたことがなく、
意識したこともないので、絵柄すらも思い浮かばないという(すみません)。
そんな状態で向き合ったお芝居だったわけですが・・・

いやー、きつかったです(笑)。
前半は、お芝居との距離感がわからなくて、
後半は、物語のあまりの残酷さに打ちのめされて。

お芝居との距離感についてはね、まあ、好みの問題だと思うのです。
個人的には、どうしてこのシーンにこれだけ時間をかけるのか、
どうしてここに至る心理描写に踏み込まないのか、などなどかなり辛いものがあったのですが、
途中で気づきました。

これ、岡村さんの舞台じゃん!(笑)

岡村さんの舞台は、これまで「SAMURAI7」「女信長」を見ていまして、
そういえばその時感じたことと同じだわ、と。
であれば、この距離感の取りにくさは、もう相性というしかないので仕方ない、と納得いたしました(笑)。
そんな感じで、物語の流れとか、描き方とかはどうにも受け入れきれない部分はあるのですが、
岡村さんの演出で毎回感嘆するのは、役者さんの魅力の引き出し方!
今回は初めて観る役者さんの方が多かったわけですが、
内容的にはともかく(え)、出演されている役者さんは、それぞれに魅力的な存在であったように思います。
だからこそ、後半は本当にきつかったのですが・・・

そのきつさの中心は、やっぱり川栄李奈さんのあずみの在り方・・・というか、他者が求めるあずみの在り方。
泣き虫で、可愛くて、そして誰よりも強い、蒼い目の刺客。
出会う人全てを、色々な意味で魅了する、少女。
でも、私には、あずみは何も知らない―――知ることを許されなかった少女に見えた。
家康の命を受け太平の世を築くため・・・人の命を奪うことに何の疑問も持たなかったあずみ。
けれど、大阪城で、彼女は直面します。
徳川の正義と、豊臣の正義。
一人一人が胸に抱く、異なる願い。
仲間が自分に求める強さ。
うきはと共に垣間見た穏やかな未来。
そして、突きつけられる、真実―――
それらに、ただ真正面から向き合うしかできないあずみは、
悩み、戸惑い、何かが違うと思いながら、それでも自分に向けられるそれらを受け止めていきます。

あずみの手で殺してほしいと願う、瀕死のあまぎ(斉藤秀翼)の願い。
純粋に、自分へと向けられる秀頼(小園凌央)の想い。
始めて触れた、ひたすらに優しく暖かいうきは(鈴木拡樹)の恋情。
加藤清正が示した、一人の少女としての生き方。
常に笑顔であれという、月斎(山本亨)の言葉。
息子の命を託し、徳川の誇りを持って自害を遂げた淀の方(有森也実)の最期。
家康を討つために、井上勘兵衛(吉田智則)から受け取った、村正の重み。

その一つ一つは、確かにあずみを更に強くした。
ひたすらに、あずみを駆り立てた。
けれど、私には、その一つ一つが、あずみを縛り付ける鎖のように感じられました。

終盤、あずみは家康に何度も切りつけます。
これは、秀頼の分。
これは、清正の分。
これは、月斎の分。
これは、勘兵衛の分・・・
そうやって、自分に託された想いを一太刀一太刀に込めるあずみ。
描かれないいくつもの苦難を乗り越えて、悲願を達成したあずみは、
けれど、なんだかひどく孤独に見えた。
誰よりも強いはずなのに、寄る辺ない子どものように見えた。
―――怖いほど、空っぽに見えた。
そう思ったら、溢れる涙を止めることができませんでした。

繰り返しになりますが、私は原作を知りません。
原作は、いや、この舞台は、もしかしたらあずみの成長物語なのかもしれない。
けれど、私にはあずみは成長を阻まれているように見えた。
周囲の想いを受け止めて背負って、かつて仲間が愛した笑顔さえ失って、
ただひたすらに提示された道を突き進むあずみには、自分が見えていたのだろうか?
もちろん、その道を最終的に選んだのはあずみだけれど。
でも、彼女に他の道は見えていたのだろうか―――?

遠目に見ると、本当に少女のように幼い川栄さんのあずみ。
彼女を縛り付け、そして全てを奪っていく幻影の鎖は、なんて理不尽で、なんて残酷だったのだろう。
最後、悲願を達成した彼女が求めた相手は、彼女と闘うことを選びました。
主君清正の敵としてあずみと対峙し、そして彼女の刃の露となった勘兵衛。
全てを失い、そして一人光の中に去っていくあずみ。
もしかしたら、ここから本当の彼女自身の成長は始まっていくのかもしれない。
もしかしたら、彼女の中にはちゃんと、月斎の、うきはの、秀頼の・・・託された想いが鎖としてではなく、
前に進む力として、降り積もっているのかもしれない。
描かれないまま闇に沈んだ彼女の未来に幸あれと、なんだか祈るような気持になりました。


うーん、ほんとに独断と偏見な感想ですみません。
原作好きな方が迷い込まれたら、きっと気を悪くしているのではないかな、とドキドキしていますが、
まあ、これが私が受け止めた「あずみ」なのだと、ご容赦くださいませ。

で、他の役者さんの感想を少しずつ。

うきは役、鈴木くん。
実は、今回の観劇の動機でした(笑)。
いやだって、彼の三日月さん、ほんとにとんでもなく素晴らしかったので!
生の舞台で観るのは、実は彼の舞台初主演以来なわけなのですが・・・
すごいなすずきひろき!
めっちゃ若返ってたよ!(え)
少年から青年の狭間のような、純真さと色気の絶妙なバランスにちょっとよろめきましたv
殺陣も、三日月さんの仕舞のような優雅さとは全く違う、シンプルで、軽やかなのに鋭さのある動き。
彼主演で「吉原御免状」とかちょっと見てみたくなりました。
新感線の客演に呼ばれないかなー・・・って、話が逸れました(^^;)
うきはの根底には迷う余地のないほどのあずみへの純粋な愛情があるわけで。
あずみに向けられる視線とか、ふとした表情とか・・・凄くわかりやすかった。
プログラムのインタビューかなにかで、漫画の絵の表現も大切にしている、とあったけど、
なるほど、これが彼のトレース能力なのか!と思いました。
もう、途中からバンバンフラグが立っていくわけなのだけど、
何とか生き抜いてあずみと幸せになってほしい!って本気で願っちゃいましたよ。
・・・まあ、案の定叶いませんでしたが(^^;)
本当に、彼が生きて一緒にいたら、あずみの人生は変わってただろうなあ。
そういえば、この舞台であずみとうきはのキスシーンがあるかどうか、
(鈴木くんの)ファンの間で大騒ぎになっていたと事前に聞いていたので、
件のシーンはちょっといろんな意味で興味があったのですが(笑)、
見事に直前で追っ手に阻まれて本懐遂げられず!
いやー、残念だったね、うきは・・・(え)
これは、原作がそうなのか、ファンの方に配慮した脚本だったのか、ちょっと気になるところです(笑)。
客席いじりのときも、鈴木くんファンに配慮してたしねー、ってあれは川栄さんの判断か(笑)。
(最前列のお客さんが、勘兵衛(だったかな)にかぶせられたものを、あずみ一行が撮るのだけど、
 そのときにあずみが「はい、うきは」と鈴木くんを促しまして。
 「なんで?」という鈴木くんに、「この人もきっとうきはのファンだよ。昨日もそうだったから」と(笑)。
 凄いな、アイドルのファンへの配慮!)
あ! そういえば、あの謎のフライングの意味も知りたい・・・

月斎役の山本さんは、「乱鶯」のときも素晴らしい存在感でしたが、今回も、素敵でしたv
若者に負けない、まさに剣豪、という感じの殺陣がまたかっこよく!
あずみたちにとって、かけがえのない尊敬できる師であり、
けれど、彼女たちを縛る一番の鎖はかれだったのかもしれないなあ、と思いました。
月斎、あずみに本当は何を願っていたのかな・・・

清正役、久保田さん。
コメディパート担当?と思っていたら(おい)、
最期の最期にずばっとあずみの深いところに切り込んきて、おおお!と思いました。
彼はあずみに、本当に娘を重ねて見ていたのかなー。
それとも、それすらも豊臣のための策略だったのかなー。

吉田さん演じる清正の家臣、勘兵衛は、そのぶれなさに心惹かれました。
主君が目指した太平の世。
それを達成するためには、手段は選ばない―――そんな覚悟。
1回の観劇では難しかったですが、勘兵衛の気持ちの変化にも、注目してみたかったです。

淀の方は有森也実さん。
相変わらずお綺麗ですねv
とても強い信念のある女性で、その背景も少しだけ語られたわけですが・・・
彼女自身、裏切られ、縛られ、背負わされ続けた人生だったのかなあ。
豊臣の女としてだけでなく、最後に一人の母としての心情を見せてくれたのが嬉しかったです。

飛猿役の星田さん。
ほっしゃんって、こういうお名前だったんですね!(おい)
以前ドラマで拝見した時に、その演技にひたすら感動した記憶があったので、
今回もちょっと楽しみにしていたのですが・・・うーん、なんだかもったいない使い方だなー。
あずみとの対比、という形で捉えると面白い立ち位置だったと思うのですが、
いかんせんあのギャグパートの冗長さにちょっと負けました(^^;)
でも、最後、あずみを見守る表情は好きでした。

美女丸役の早乙女くん。
お兄ちゃんは何度か舞台で観たことがあるけど、彼は初めて・・・かな?
なんというか非常に異質な役柄だったのですが、これ、原作でもそうなのかな(^^;)
でも、白い衣装と赤い口紅がとても綺麗でした。
そして何より、口跡のクリアさと、殺陣の見せ方が素晴らしい!
そういう役柄だ、ということもあるのでしょうけれど、あの舞台の中で際立って見えました。
もっとうきはとの殺陣があったらよかったのになー(笑)。

秀頼役、小園くん。
プログラムのインタビューで、めっちゃ二世タレントを前面に押し出しているのにびっくり!
実はこの舞台を観るまで存じ上げなかったのですが、ここまで全面に出されると、いっそ清々しく(笑)。
某大河とは真逆の人物造形だったわけなのですが・・・不覚にも泣かされました(;_:)
上記理由で、前半は結構距離を置いて観ていたというか、どこか冷めた感じで、
うきはの死にも泣くまではいかなかったのに、まさかの秀頼に泣かされた!
いえ、天守閣まであずみが迎えに行って、民草の一人としてあずみと生きていく未来を笑顔で語った彼が、
彼を―――豊臣の旗印である彼を守るために死んでいく姿を見て、
どんどんその表情を変えていく・・・その鮮やかさが素晴らしかったのです!
ああ、人が覚悟を決める瞬間って、こうなんだな、って思った。
自害するために刀を構える手が震えていても消えない笑顔。
手に入らなかった未来への名残に、死していく恐怖に震えながら、
あの瞬間、彼は豊臣秀頼になったのだと、そう、強く感じました。


そんなこんなで、なんだかんだと言いながら、結構心に残る舞台でした。
原作も読んでみたい気もするけど、今回受け取ったものを大切にしたい気持ちもあり・・・
もうちょっと悩んでみようと思います。


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
幻影の鎖 瓔珞の音/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる