瓔珞の音

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zoom RSS 茨の王冠

<<   作成日時 : 2016/12/23 18:52   >>

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鋭い輪郭を持つ王冠は、
私には茨でできているように見えた。

戴くたびに我が身を苛み血を流す―――それは罪の重さ。

そして、未来への覚悟。



「ヘンリー四世」第一部 ―混沌―
        第二部 ―戴冠―

2016.12.18 マチネ 新国立劇場中劇場 1階16列50番台
        ソワレ 新国立劇場中劇場 1階13列20番台

出演:浦井健治、岡本健一、勝部演之、立川三貴、水野龍司、木下浩之、有薗芳記、今井朋彦、
    青木和宜、田代隆秀、那須佐代子、小長谷勝彦、下総源太朗、鍛冶直人、川辺邦弘、佐川和正、
    亀田佳明、松角洋平、松岡依都美、藤側宏大、岡崎加奈、清水優護、綾田俊樹、ラサール石井、
    中嶋しゅう、佐藤B作


鵜山さん演出のシェイクスピア作品を観るのは、「ヘンリー六世」「リチャード三世」に続いて3回目。
物語的に同じ時系列にあり、また演じる役者さんが重なっていることも興味深く、
6時間超という上演時間にひるみはしたものの、これは通し上演で見なくては!と勇んで初台に向かいました。
結果―――

うーん、ごめんなさい。
久々に相性の悪い舞台でした(^^;)
いえ、凄く好きな雰囲気や引き込まれるシーンもたくさんあったのですが・・・
なんというか、笑いの質が肌に合わないことが、こんなにきついものなのかと改めて実感した感じ?
これはもう仕方ないなー、と、具体的に言ってしまえば、
フォールスタッフ関連のシーンはひたすら耐え忍んでおりました。
蜷川演出の時はこんな風には感じなかったのに、どうしてかなー、とちょっと考えたのですが、
たぶん、ハル王子(浦井健治)とフォールスタッフ(佐藤B作)の関係性なのかな、と思った。
今回の舞台の二人には、正直信頼関係は全然できていないように私には感じました。
もう根本からして住む世界が違う。

浦井くんのハル王子は、芯の部分に深い孤独というか冷たさを持っているような印象でした。
その身の内に、深い思考や情熱、知略を隠し持っているのか、
それともただ目の前の享楽に逃げているだけなのか、
逃げているのであれば、それは何からの逃避なのか・・・?
ふとした瞬間に、その答えが見えるような気持ちになったときもあったけれど、
長い物語の中、私にはその答えに辿り着くことはできませんでした。
でも、彼は最初から最後までヘンリー四世の王子だったと思う。
父の被る茨の冠を我が身に頂くことを、
その痛みを受け継ぐことを、
父の想いを未来へ繋ぐことを、
常に意識していたように思う。
2幕終盤の病床の父に向けての言葉は、台詞ではなく確かにハルの“言葉”だった。
それまで身に纏っていた猥雑な色を脱ぎ去り。
外界をシャットダウンしていた刺激的な音楽を消し。
洗われたかのような真っ白なローブと、王冠をいただいたハル―――ヘンリー五世。
フォールスタッフを切り捨てるときの彼から、私は静寂を感じた。
凪いでいるのではなく、意志の力で、己の選択として得た、静寂。
その厳しさ。
その孤独。
その覚悟。
まるで迷路のようなセットを登り、その頂上に一人立つヘンリー五世。
彼の目が見据えている未来を、いつか観てみたいと思いました。


中嶋しゅうさんのヘンリー四世は、登場シーンこそ少な目ではありますが、
出てくるたびにその存在感に圧倒されました。
さすがタイトルロール。
台詞として、彼の行いを詳しく説明される部分はあまりないと思うのですが、
ヘンリー4世が、自ら手にしたその王冠が与える痛みに血を流し、苛まれ、
それでもなお、息子を正当な王位継承者とするために王冠をいただき続けている―――
その信念と強さに息を呑みました。
けれど、そこに感じたのは、厳しさよりも愛情だった。
ハル王子との、弟王子たちとの、確かな絆だった。
そう感じました。

岡本さん演じるホットスパーは、なんというか、「こいつに王位を渡したらヤバイ!」と感じてしまいました(笑)。
私の意識の中では、ホットスパーって結構正統派はイメージだったんですが、見事に覆された感じ。
戦争のシーンでは、本気でハル王子頑張れ!って思ったよね(^^;)
というか、二人の戦闘シーンは大迫力でした。
ハル王子の剣が、セットの板をへし折ってた気がするんだけど、あれはそういう作りだったのかな・・・?
トロイラスのアフタートークをちょっと思い出しました。
今回も殺陣は命がけだったに違いない(笑)。
二幕の彼は・・・うん、まあ眠気は覚めたよね(え)。

2幕の噂の描き方は凄い好きでした。
始まりのシーンは、すっと空間を変えるような色合いの濃さに引き込まれました。
噂の一人一人が、他にもたくさんの役をやっていて、そのことがまさに“噂”だなあ、と。

2幕で今井さんが演じていた高等法院長、めっちゃかっこよかった!!
って、実は今井さんだって気づいてなかったんですが(^^;)
たぶん私って、ぶれない強さのある役柄が好きなんだなあ、と思う。
二人の王に対峙する法院長の凛とした姿と声、
そして、ヘンリー五世にまっすぐに向けられる目の強さによろめきました。

数少ない女性陣は、みなさんお美しくv
というか、反乱側の奥方と居酒屋の女性たちの二役のあまりのふり幅に、
ちょっと唖然としてしまった部分も(笑)。
モーティマー夫人と看板娘役の岡崎さんが可愛かったですv
モーティマー夫人のウェールズ語の台詞は、もちろん何を言っているのかわからないのだけど、
凄く真摯な感じが素敵でした。
でもって、看板娘は文字通り看板係で微笑ましかったです(笑)。

舞台を彩っていたのは、たぶんブリティッシュロック。
私は洋楽は全くわからないので、聴いたことがあるなー、くらいの感覚だったのですが、
Twitterなどで流れてくる情報を見ると、それぞれの曲に凄く意味があったみたいですね。
そういうところまで理解できたら、今回の演目はさらに楽しめたんだろうなあ。
とりあえず、ぜひ「ヘンリー五世」も浦井くん主演で上演していただきたいです!

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