春の雨

あとり硅子さんの短編集全4巻を読みました。

あとりさんは、ウィングスで活躍されていた漫画家さんです。

可愛らしい絵と、
ちょっとブラックなジョークと、
透き通るような切なさと、
微かな苦味の残る甘さを持った笑いと、
静かに寄り添うような寂しさと、
そして、短いお話の中で、確かに、しっかりと生きている登場人物がとても魅力的な、
そんな漫画を描かれる方でした。

かなり以前から、挿絵などで名前は知っていて、
雑誌の連載の飄々としたブラックさ(?)に笑わせてもらっていながら、
オリジナルの漫画を手に取ったのは、そのかなり後でした。
そして、はまった!!と思って、単行本を集め始めたその頃に、
雑誌であとりさんの訃報を知ったのでした。

とても、ショックで。
何故だか、本当にとてもとてもびっくりして。
単行本を全て集めることが出来ませんでした。

2年以上の月日を経て、
今回発行された短編集を読みました。
やっぱり、大好きだなあ、と思いました。

あとりさんの漫画の魅力は、この短編集で解説を書いていらっしゃる三浦しをんさんが、
的確な言葉で、ドライに、でも熱く語っていらっしゃいます。
それはもう、悔しくなるくらい素敵な文章で。
だから、私に言えることは何もないのだけれど。

あとりさんの中で孵る時を待っていたはずの沢山の物語を、
柔らかく鮮やかな色彩と、春の日の雨上がりのような湿り気を持ったあとりさんの物語を、
もっともっと読みたかったなあ、と、本当に、心から思います。
そして同時に、もうその物語を読むことが出来ないことを、
やっと実感できたような気がします。


あとり硅子さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

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