相棒

同じ主に仕え。
同じ時を過ごし。
同じ天を仰いだ。

でも、彼らの間に絆はあったのだろうか―――?


劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月 上弦の月

2018.2.11 ソワレ IHIステージアラウンド東京 19列30番台

出演:福士蒼汰、早乙女太一、三浦翔平、須賀健太、平間壮一、高田聖子、渡辺いっけい、粟根まこと、
   山本カナコ、村木仁、市川しんぺー、人見早苗、横山一敏、安田桃太郎、菊地雄人、あきつ来野良、
   横田遼、下尾浩章、小林泰士、菅田正照、前川孟論、阿部雄太、池田竜治、伊藤玻羅馬、大内唯、
   鹿糠友和、菅野仁美、木村桃子、蔦村緒里江、常川藍里、傳田うに、中根百合香、花瑛ちほ、
   矢内康洋、吉田大輝


というわけで、なんとか上弦の月も観ることができました!
この日は結構なハードスケジュールだったので、
疲れていたのか、うっかり回る客席に酔いそうになりましたが(^^;)、
でも、観れて本当に良かったなあ、と思いました。
同じ脚本のはずなのに、下弦とは全く異なる人間関係、本当に興味深く。
同じ台詞でも、そこに至るまでの時間とか、込める想いとかが全く違うように感じました。

福士くんの捨之介は、超ワカドクロの名に恥じない初々しさ。
が!
あの無駄な色気は何なんですか?!
髪をかき上げる仕草が、癖のような感じで何度もあるんですが、
そのたびに駄々漏れる色気にちょっとどうしようかと思いました(笑)。
台詞はちょっと聞き取りにくいところがあったけれど、
すらりとした長身での切れのいい動きはとても見ごたえがありました。
そして、その強さと爽やかさとは裏腹に、信長への執着がとても強い捨之介だなあ、と思った。
信長への執着は、もちろん捨之介だけではなくて、上弦の月は蘭兵衛も天魔王も、とても強く感じました。
それぞれが強く信長に執着し、それぞれが信長の遺志を、最後の願いを背負おうとしていた。
でも、3人が“受け取った”信長の遺志は、それぞれ異なっていて―――

捨之介が見た、自由な天下人としての信長。
蘭兵衛が見た、全てを焼き尽くす破壊者としての信長。
天魔王が見た、地上を支配する天魔王としての信長。

それぞれが、自分の方法で、自分の思う“信長”を守ろうとしているように感じました。
下弦の月の三人の中にある“信長”が、明確な形を持っているように感じたのとは裏腹に、
上弦の三人が執着する“信長”は、それぞれに全く異なる存在のように思えた。
それは三人の関係性にも密接に関わっていて・・・
上弦を観て驚いたことの一つが、この3人に全く“兄弟感”がなかったこと。
兄弟ではなく、仲間でもなく、一人の男の異なる面に魅了され、心酔し、仕えている横並びの存在。
そんな風に感じたのです。

だから、捨之介が蘭兵衛に、天魔王に仲間として語り掛ける言葉は、全く二人には響いていなくて。
そんな状況で、懸命に空回りする捨之介が、なんだか凄く哀しかった。
だから、そんな彼を引きずり戻す存在があったことに、なんだかほっとしてしまいました。

その存在の筆頭は、もちろん平間くん演じる霧丸!
口跡鮮やかなその声も、素早く明確な殺陣での動きも、さすが平間くん、という感じ。
且つ、一族を率いてきた若き天才惣領として、
ただ守られてきただけではない彼の時間のようなものも感じられて、めっちゃかっこいい霧丸でした。
でもって、捨之介と同い年か、むしろちょっと年上な印象の、ちょっとお兄さんな霧丸。
1幕が終わった時点では、下弦での捨之介と霧丸の関係性がまだ払拭できていなかったので、
この後二人がどんな関係性を築いていくのか、ちょっとどきどきしていたのですが・・・

見事に捨之介の相棒の位置に収まっていました!

なんだろう・・・闘う時に互いに背中を預けられる相手、というか。
だから、百人斬りの時もそこに霧丸が居ることがとても自然だったし、
終盤、徳川軍と闘うシーンで、二人が硬く手を握り合う姿に、ちょっと泣けてしまいました。
ああ、捨之介は、本当の意味での“仲間”を得たんだなあ、って。
捨之介にとっての“仲間”という言葉の重さが、なんだかひしひしと感じられました。
で、思った。
だから、Season月では、狭霧は霧丸でなくてはならなかったんだ、と。

もちろんその“仲間”は霧丸だけではなくて。
たとえこの後ばらばらになったとしても、共に生きるために戦い続けた彼らは、
いつまでも“仲間”なんだろうなあ、と思ったら、
あのラストシーンにこれまで感じた茫漠とした寂しさが、全くなかったように思います。
いやほんとに捨之介、良かったね!と思いました(笑)。

三浦くんの蘭兵衛は、もの凄く骨太。
信長の小姓というよりも、戦場で信長の片腕としてその刃を振っていたのではないかな。
1幕最後、髑髏城に乗り込む前の殺陣での容赦のない太刀筋は、
心の底から無界の里を案じる姿とは裏腹に、そんな本来の彼の姿が垣間見えるようで・・・
鬼がいる、とそう思いました。

信長の、覇者として、破壊者として、全てを焼き尽くす苛烈さをこそ、蘭兵衛は敬愛していて。
信長亡き後、その最後の言葉に従うように、信長を忘れ、蘭丸を忘れ、
殺戮ではなく生きるために、破壊ではなく守るために、無界の里を創り上げた。
でも、彼の本質が求めているのは、彼が見てきた“信長”の姿で。
天魔王が伝えた「信長の本当の最後の言葉」が、自らの望む“信長”の言葉だったからこそ、
彼は天魔王の手に落ち―――そして、本来の自分を取り戻したように思いました。
だからかな、その後の蘭丸の時の方が、生き生きとしていた気がします。

無界の里の人々との、極楽太夫との時間はかりそめのもの、という印象だったけれど、
でも、下弦よりも上弦の蘭兵衛と太夫の方が、不思議と男と女としての関係が強いようにも見えた。

高田さんの極楽太夫は、なんというかさすが、の一言
あの美しさ、あの気風の良さ、あの強さ、そして、あの情の深さ。
霧丸に対するときだけ関西弁になるのが、なんだか凄く温かかった。
蘭兵衛に対しても、裏切られたことに対する絶望と、
信じようとしながらも信じ切ることができていなかった自分自身への嘲笑が、
なんだか痛いくらいに伝わって来ました。
「地獄に堕ちた男を救う」極楽大夫。
蘭兵衛がどういう意図をもってこの名前を太夫とつけたのかはわからないけれど、
彼女が極楽大夫として一番傍にいたくて、一番傍にいたくなかったのは蘭兵衛だったのかもしれないな。
そういう意味では、蘭兵衛の最後の「来い!太夫!」は、とんでもなく残酷な言葉だと思う。
あの後、泣き崩れ、兵庫の声にも差し伸べられた手にも気づかずに蘭兵衛に駆け寄る姿に、
太夫の強い想いが感じられて、とても辛かったです。
というか、あの瞬間の兵庫が切なくてね・・・(;_:)

兵庫役は須賀くん。
めっちゃ元気で、めっちゃ小さくて、めっちゃ可愛い兵庫でしたv
アニキと呼ばれてはいるけど、実は荒武者隊の中で一番年下なんじゃなかろうか、と思ってしまった(笑)。
なんというか、いつだって全霊全力体当たり!という感じが微笑ましく。
兵庫って、凄く愛される存在だなあ、と思ったし、
そういう存在なのは、彼自身がてらいなく他者を愛せる存在だからなんだろうな、と思った。
太夫とは、ほんとに凄い年の差だ!と思ったけど、
仁平さんがさらっと言っていた、「小さい頃におっかあを亡くして」という言葉で、
なんだか納得してしまいました。
彼はもしかしたら、太夫に亡き母を重ねて、そこから徐々に女としての彼女に惹かれていったのかな、と。
そう思ったら、「自分の知らないところでもいいから生きていてほしい」「綺麗になれ!」という彼の言葉が、
単なる強がりではなくて、もの凄く切実なもののように感じられました。
上弦も下弦も、この二人には本当に幸せになってもらいらいです。
そういえば、カーテンコールで周りにめっちゃ構われたのも可愛かったですv

早乙女くんの天魔王は・・・何というか凄い衝撃的な役作りで、
でもって、最後まで良くわからない存在でした。
なんだろう・・・明確な意志が感じられないというか。
立ち姿も綺麗だし、流れるような殺陣も美しいし、
その言葉の響きは底知れないし、とても鮮やかな存在のはずなのに、
なぜかその存在が凄く希薄な瞬間があって、
あれ?天魔王こんなところに?!とびっくりすることもあり。
蘭兵衛や捨之介に対しても、嫉妬も憎悪も執着もなにも感じられなくて・・・
でも、蘭兵衛と二人、信長の傍に控えている姿が凄くしっくりくるなあ、とも思ったり。
彼の真意は、願いは、希求は、一体どこに在るのだろう?と思いました。
でも、もしかしたらそういう曖昧で実のないことこそが、彼の本質なのかもしれないな、と思ったり。
信長を失って、空っぽになっていたのは、上弦では天魔王だったのかもしれないなあ。
だからこそ、圧倒的な力で全てを統べる第六天魔王としての信長を模することで、
彼は自分自身を形作り、満たそうとしていたのかな。
天魔の鎧を全て引きはがされたあと、舞台の隅っこで膝を抱えて蹲るその姿を見て、
なんだかそんなことを考えてしまいました。

というか、あの体育座りにはびっくりしました(笑)。
生駒への甘えっぷりにも驚きましたけどねー。
ああいう天魔王だったせいか、山本さんの生駒はには母性のようなものが感じられました。
なんというか、この子ほっとけない!的な?(笑)。
天魔王を諌め、導き、守り、甘えさせ―――その全てを受け入れる。
天魔王に刃を突き立てられた時、「何故・・・?」という言葉の後に、
全てを悟り受け止めたかのような微笑みがとても綺麗で、印象的でした。

渡辺さんの狸穴さまは、つかみどころのない方だなあ、と。
これは半蔵たち、苦労するわ、と思いました(笑)。
刀でなくて槍で戦った方が強いのでは?と一瞬思っちゃったのは内緒(物語違いです)。
市川さんの贋鉄斎は、一人ボケとツッコミがキレッキレで楽しかったですv
庵での捨之介とのシーンはめっちゃハラハラしましたが(笑)。
斬鎧剣のアイデアを贋鉄斎に伝えずに捨之介が帰っちゃいそうになったのを、
どうにかこうにか繋ぎ止めて台詞を引っ張り出させてたのはさすが!と思ったのですが、
あれ、実はデフォだったとか言いませんよね?(^^;)
出ていった捨之介に声を掛けたら戻ってきちゃって、動揺してたのも微笑ましかったです。
捨之介、贋鉄斎にLINE教えてあげてね?(笑)
剣布役の人見さんは見事な身体能力だったし、
荒武者隊のみなさんは、こちらも元気一杯で、観ていて凄く楽しくて切なかった。

どうしても下弦の記憶がよみがえってしまって、
上弦の魅力をきちんと受け止められなかったかもしれないなあ、とも思いつつ、
でも、こちらの月もとても魅力的でございましたv
うん、映像化したら両方買ってしまいそうだわ(笑)。

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