東風が運ぶもの

「東風(こち)」という言葉をきくと、
出会いや別れ、終わりと始まり、変化と飛躍・・・
そんなイメージが浮かびます。
これはたぶん、春が新学期の日本ならではの感覚なのではないかなあ、と思うのですが・・・

でも。

雨に煙るチェリー・ツリー・レーンに吹いた一陣の強い東風がもたらしたのも、
きっとそんな変化の奇跡。


「メリー・ポピンズ」

2018.4.14 マチネ シアターオーブ 1階13列20番台
出演:濱田めぐみ、大貫勇輔、駒田一、光森千愛、鈴木ほのか、コング桑田、久保田麿希、もう中学生、
   浅沼、みゆ、板野佑斗、石川剛、エリアンナ、藤咲みどり、丹宗立峰、長澤風海、般若愛実、
   五十嵐耕司、石井亜早実、大塚たかし、岡本華奈、風間無限、工藤彩、工藤広夢、熊澤沙織、
   斎藤准一郎、髙瀨育海、高田実那、華花、藤岡義樹、田極翼、武藤寛

2018.4.30 マチネ シアターオーブ 1階6列20番台
出演:濱田めぐみ、大貫勇輔、山路和弘、光森千愛、鈴木ほのか、コング桑田、浦島りんこ、小野田龍之介、
    亀山めい、大前優樹、照井裕隆、エリアンナ、小島亜莉沙、丹宗立峰、長澤風海、般若愛実、
    青山郁代、五十嵐耕司、大塚たかし、風間無限、工藤彩、熊澤沙織、斎藤准一郎、高瀨育海、
    高田実那、中西彩加、華花、樋口祥久、藤岡義樹、三井聡、武藤寛


誰もが知っている不朽の名作「メリー・ポピンズ」・・・とはいうものの、
実は私、これまで原作の小説も、ディズニーのアニメにも全く触れたことがなく(^^;)
というか、実はディズニー関連があまり得意ではないので、
ちょっと避けて通ってしまった感じもありまして・・・
なので、楽曲は聴いたことがあるし、あらすじもなんとなく知っているけど、
正直楽しめるかどうかちょっと不安に思いながらの観劇になりました。
チケットを2回分しか取っていなかったのも、その辺りの不安が丸わかりです(笑)。

実際、100%手放しで楽しめたか、といわれると、ちょっと違う部分もあったのだけれど、
でも、予想を超えてというか、予想外に非常に楽しめた舞台でもありました。
というか、めっちゃ新鮮で刺激的だった!
舞台全体だけでなく、客席全体を使ったダイナミックで繊細な演出効果に、
おもわず口を閉じるのも忘れて見入ってしまうことも何度もありました。
降り注ぐ鮮やかなピンクの紙吹雪に目を奪われてたらメリーが現れたのには、
単純な視覚トリックなのに凄くびっくりしたし、
メリーの鞄から次々といろんなものが出てくるのは、子どもたちと一緒にワクワクしたし、
くすんだ色合いの公園が、鮮やかな原色の世界に一変した瞬間の美しさには目を見張ったし、
♪スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスのどんどんテンポアップしていく流れには、
自然と体が動いて手拍子しちゃったし、
銀行の下から見上げるような形のセット(映像?)の美しさには目を奪われたし、
ミス・アンドリューの登場シーンのベタな演出には思わず笑ってしまったし、
メリーの2度のフライングの違和感のなさは素晴らしかったし・・・
他にもいろんなシーンがとても印象的でした。

でも、中でも一番印象に残った、というか心に響いたのが、♪ステップ・イン・タイム のシーン。
メリーと一緒に屋根の上に登った子どもたちが、
そこでバートから煙突掃除屋たちを紹介されるシーンで、
アンサンブルさん総出!という感じの大人数でのタップの迫力もさることながら、
そこに込められたメッセージに・・・泣けた。

普段、目には見えないけれど、困った時に助けてくれる存在はいつだってたくさん傍にいる。

それが夢や空想だとしても、
そういう風に感じることが、そういう風に感じさせてくれる記憶があることが、
そういう風に信じることができるということが、
子どもたちにとって、どれだけの力になるか。
力強いタップの音と、朗らかな笑顔と、元気いっぱいの歌声を全身で感じながら、
そのメッセージの暖かさと尊さに、涙を止めることができませんでした。

それはきっと、子どもたちだけでなく、大人にとっても同じで。
いきなり煙突掃除夫たちがなだれ込んできた家のなかで呆然としながら、
バンクス夫妻も、ミセス・ブリルも、ロバートソン・アイも、あの家の全員がきっと力をもらってた。
それがなんだかとても嬉しかったなあ。

それにしても、あのバートの逆さづりタップにはめっちゃハラハラ致しましたが(^^;)

そんな感じで、子ども目線でも大人目線でも楽しめるミュージカルでした。
改めてプログラムを確認したら、アンサンブルさんの中に、
以前別の舞台で注目してたダンサーさんの名前もちらほら。
回によって出演者も異なるようなので、そこまで注目して観るのは不可能でしたが、
これを知ってたら、きっともっとチケット取ってたと思う・・・うーん、良かったのか悪かったのか(笑)。
とりあえず、空想好きな子どもたちにも、かつて空想好きな子どもだった大人たちにも、
空想にちょっと抵抗のある人たちにも、一度見てもらいたい舞台かな、と思いました。



メリー・ポピンズは2回とも濱田さん。
不思議でキュートで優しくてちょっと怖くてめっちゃ迫力のある、そんなメリーでした。
歌声の素晴らしさは言うまでもないのですが、一つ一つの仕草もとても意味深で、目が離せない感じ。
個人的には、近未来から来たアンドロイド、というイメージ。
というか、某猫型ロボットの親戚みたいなイメージだったかも(笑)。
表情の、プログラミングされているような端正さや合理的な感じがそう感じさせたのかも。
本当に何もかもパーフェクト!
メリーの言葉は、思わず深く頷いちゃうものとか、心に深く刻んでおきたいものとか、
どれも名台詞!という感じでした。
「やらなきゃいけない仕事には、必ず楽しいことがある」(だったかな・・・?)は、
本当に毎日自分に言い聞かせたい(笑)。

バートも2回とも大貫くん。
こんなに歌う大貫くんは本当に久々だったので(「キャバレー」以来?)、
物語の始まりがバートの歌だとわかった瞬間かなりドキドキしたのですが・・・
凄いね、大貫くん、歌めっちゃ上手くなってる!!
・・・すみません上から目線で(^^;)
いや、もちろん、周りに紛れちゃう時もあったし、ミュージカル歌唱とは言えないのかもしれないし、
2回目に観た時はちょっと喉が辛そうな様子もあってちょっと心配にもなったのだけれど、
歌を言葉としてきちんと伝えてくれたように思います。
喋っている声と歌声があんまり差がないから余計にそう感じたのかも?
バートは、その穏やかさと明るさと真摯さにとても癒されました。
メリーと同じくらいに不思議な存在なのだけれど、メリーよりも人っぽい(笑)。
彼がメリーと“約束”をしたのはいつのことだったのかな?
もしかしたら、彼もかつてメリーに救われた子どもだったのかな?
メリーにキスしようとして交わされたときのちょっと残念そうに口を尖らせて、
でも、次の瞬間の柔らかな笑顔の明るさ。
ミスター・バンクスに向き合った時の、静かで慈しみに満ちた、どこか懐かしいような表情。
メリーから言われる前に、彼が言った「さよなら」に込められた想い。
そして、メリーから送られたキスに目を見張った後の、寂しさと嬉しさの入り混じった笑顔。
この舞台の中では描かれない、“彼の物語”をちゃんと感じさせてくれたように思いました。
うん、素敵なバートだった!

ジョージ・バンクス役は駒田さんと山路さん。
それぞれに魅力的なバンクス氏でした。
ミス・アンドリューと再会し、そしてメリーに導かれた妻や子どもたちと向き合うことで、
駒田さんは、手にすることのできなかった幸せな子ども時代を取り戻したバンクス氏で、
山路さんは、子ども時代に向き合い、受け入れることで未来へ向かうバンクス氏、という感じ。
駒田さんのバンクス氏の不器用だけど一生懸命な感じも、
山路さんのバンクス氏の諦めることに慣れてしまった切なさのどちらもありだなあ、と思いました。
山路さんは、舞台で拝見するのはとても久々だと思うのですが、
台詞と歌声の境目がとても滑らかで、おおお!と思いました(語彙・・・)。

ウィニフレッドはどちらも三森さん。
一生懸命だけど、ちょっと空回りしちゃう感じがなんとも可愛らしくv
いろんな困難さに向き合いながら、でも彼女が生来の明るさや強さを決して失わないことが、
メリーとは別の方向から、この家族を救ったんだろうな、と思う。
というか、どちらのバンクス氏とも、最初から最後まで何気にラブラブな感じが素敵v
駒田さんのバンクス氏に対しては包み込む感じで、
山路さんのバンクス氏には寄り添うような感じだった気がします。
まあ、それぞれ1回きりなので、誤解かもですが・・・

鈴木ほのかさんは、バードウーマンの底知れない存在感と、
ミス・アンドリューのとんでもない存在感のふり幅の大きさが素晴らしく!
でもって、どちらも楽しんで演じてらっしゃるのが凄く良くわかって嬉しかった。
とっても怖くて嫌な奴なミス・アンドリューだけど、
どこか愛嬌のある清々しさを感じたのは、鈴木さんのお人柄なのかなあ。

ミセス・ブリルとロバートソン・アイはWキャスト制覇!
なんというか、この舞台の中で一番キャラクター感があるといいか、
ディズニー感を醸し出してたのが、このお二人だった気がします。
特に小野田くんのロバートソン・アイはアニメの画面から飛び出てきたみたい!
いや、映画は見ていないので、ほんとに思い込みなんですが(^^;)
終盤、ミセス・ブリルが郵便配達屋さんと仲良しな感じが微笑ましかったですv

子どもたちは四人とも大人顔負けな舞台役者感を醸し出しておりました。
歌もダンスも表情も。
めっちゃ憎たらしくて、めっちゃ可愛かった!
最初に観た浅沼ジェーンと板野マイケルは、いたずらっ子だけど、どこかちょっと大人びた感じ。
パパよりも先に大人になっちゃった感じもあって、
子どもって、こんな風にあっという間に成長するよねー、としみじみ思ってしまいまhした(笑)。
2回目の亀山ジェーンと大前マイケルは、もっと屈折した印象だったかなあ。
ジェーンは寂しさよりも怒りを内包しているように感じたし、
マイケルは、諦めようとして諦めきれない葛藤みたいなものを感じた。
ある意味パパによく似ているのかも?
他のキャストも観てみたかったなあ。

アンサンブルさんも、みなさんとても素晴らしく!
ネーレウス役の長澤くんの躍動感には思わず拍手しそうになってしまったり。
♪ステップ・イン・タイム で、ちょっと目を引く小柄なダンサーさんがいて、
どなたかはわからないままだったのだけれど、
キャストを改めて見なおして、もしかしたら風間くんだったのかなあ、と思ったり。
いえ、ずいぶん前に別の舞台で目を引かれたことがありまして。
でもまあ、私の目って結構節穴だからな(^^;)
衣裳の華やかさもさすがだなあ、と。
2回目を観る前に、以前に録画したままだった浅田真央ちゃんの特番を見たのですが、
その時に衣裳のことも取り上げられていて。
メリーのスカートの重なり合った布が、色も材質も一枚一枚異なっている、とあってびっくりしたのですが、
その衣裳のふんわりしていて、且つ動きによっていろんなニュアンスが出る感じに、
なるほどなあ、と思いました。
エリアンナさんのビクトリア女王も一瞬なのに凄い衣裳だったし、
ミセス・コリーと娘たちの色違いで同じデザインの衣裳も可愛かったv
1幕最後のおもちゃたちのシーンも、あの着ぐるみであの動きは凄い!と思いました。
というか、クマとウサギのぬいぐるみの目がめっちゃ怖かった(^^;)

他にもいろいろ思ったことはあったのですが、とりあえず、この辺で。
東京公演はもうあと数日ですね。
できればもう一組のメリーとバートも観たかったけど・・・残念!
とりあえず、苦手意識をどこかにやって、映画を見てみようかな、と思います。

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