1/2の距離感

真っ白な壁の内側。
隠されているのは鮮やかな心。



「アメリ」

2018.5.30 天王洲銀河劇場 1階E列一桁台

出演:渡辺麻友、太田基裕、植本純米、勝矢、伊藤明賢、石井一彰、山岸門人、皆本麻帆、
    野口かおる、藤巻杏慈、明星真由美、池田有希子、藤木孝


フランス映画「アメリ」をミュージカル化したこの舞台。
映画も見ていない私ですが、太田くんが出演されていたのと、
出張先への通り道の劇場での上演だったこともあり、
途中下車して大荷物を持って観劇してまいりました。

めっっっちゃ可愛かった!!!

セットも衣裳も出演者も演出も、とにかくとんでもなく可愛くておしゃれ。
もちろん、フランス映画っぽいシュールな感じや難解な部分もあるんだけど、
もう、最初から最後まで思いっきり笑顔で観劇しちゃいました。
前方席だったから、きっとキャストの方にも「あの客めっちゃ笑顔だ!」とか思われてた気がする(^^;)

物語の主人公はアメリ(藤巻杏慈→渡辺麻友)という女の子。
とある理由で世間から隔絶されて育てられた少女は、
大人になってパリのカフェで働き始めても、人と接するのがちょっと苦手。
ふとした瞬間に、子どものころからの癖である空想の世界に飛び立ってぼんやりすることも。
そんな彼女を、それぞれに過去や屈託を持つ同僚やカフェの客たちも、
近所に住む病身の画家デュファイエル(藤木孝)も、暖かく見守ってくれていました。
ひょんなことから、「誰かを幸せにすること」に目覚めたアメリは、
ちょっと舌悪戯で、「小さな幸せ」を周りの人たちにプレゼントして行きます。
そんなときに彼女の目に飛び込んできたのは、スピード写真のボックスから、
誰かが破り捨てた証明写真を拾って集めている不思議な青年ニノ(太田基裕)。
彼の不可解な行動に最初は疑問を持っていたアメリですが、
何度かの邂逅を重ねるうちに、知らず彼に心惹かれていきます。
そして、彼が忘れた証明写真をたくさん貼ったノートを拾った彼女は、
老画家に背を押されるようにして、彼との距離を縮めようとするのですが・・・

という感じの物語。
舞台セットは、白い紙に線で書かれた絵を切り取った感じ。
・・・なのだけど、その扉や窓が開くと、アメリの部屋の真っ赤で可愛い内装や、
カフェの落ち着いた内装、老画家の家の重厚な壁紙、八百屋さんの鮮やかなパステルカラーなどが、
ぱっと現れるのです。
そして、登場人物の衣裳も、本当に色とりどり!
昔好きでよく着ていたLyonというブランドの服の生地が、
まさにこんな感じに隙間なく色を重ねている感じで、
これは日本の生地にはあまりないんだと、お店の方に教えていただいたのを思い出しました。
どの衣裳も可愛かったけど個人的にはやっぱりアメリの赤いワンピースが好きだったかな。

アメリ役は渡辺麻友さん。
芸能関係にはとんと疎い私でも知っているアイドルさん。
とはいえ、その歌声はTVで少し聴いたことがあるくらいだし、
最近は某コントでのミュオタな姿しか思い浮かばないというファンの方には申し訳ない感じなのですが・・・

いやもうめっちゃ可愛かった!

少女期の藤巻杏慈ちゃんもとにかく可愛らしくて、
仕草とか表情とかすっごく魅力的で、且つ歌声も素晴らしくて、将来がとっても楽しみな感じ。
で、そのちびアメリが差し伸べた手に導かれるようにしてアメリが出てきた瞬間、
あまりの可愛らしさに、思わず「うわあ!」と声が出そうになりました。
いやもう生で見るアイドルのオーラ半端ない!
真っ赤なワンピースに、裾が少し除く感じの緑ベースの幾何学模様の布が重ねて合って、
彼女が歩いたり、くるっと回ったりするたびに、その裾が鮮やかに翻るのがほんとに可愛くてv
歌声も、とっても澄んだ素直で綺麗な高音。
でもって、もしかしたら私の思い込みかもだけど、
彼女のアイドルっぽい仕草というか表情というか、そういう雰囲気が、
アメリの不思議な雰囲気に凄く合っていたように思います。
彼女の成長っぷり、暴走っぷり、そして、初めての恋を前にした初々しい挙動不審さが、
もう本当に可愛くて!
ニノに関わるあれこれには、なんだかもう甘酸っぱすぎておばさんはどうしようかと思いました(笑)。

小さなアメリに母が教えた「ゼノンのパラドックス」
のっぽの灯台と、それに近づく小さなヨット。
半分の距離近づいても、残り半分の距離が目の前にある。
更に半分近づいても、やっぱり残りの半分がある。
その繰り返しで、その1/2がどんなに小さくなったとしても、
のっぽの灯台とヨットは―――ニノとアメリは出会うことがない。
―――二人が、互いにその1/2の距離感を踏み越えなければ。

太田くん演じるニノは、やっぱりちょっと不思議な青年。
彼の過去は―――彼がどうして証明写真を集めているかは物語の中では描かれないけれど、
彼のソロを聴きながら、自分の中にある小さな欠失を持っている人なのかなあ、と思った。
というか、やっぱり太田くんの歌声、凄い好きだなあv
アメリの行動に翻弄されながらも、どんどん彼女に惹かれていく様が本当に鮮やか。
困ったような表情も、悪戯っぽい表情も、真剣な表所も、戸惑った表情も、
ちょっと目が離せない感じでした。
ほんとにこの人は見せ方を良く知っているなあ、と思う。
というか、普通の青年役って初めて見たからめっちゃ新鮮だった(笑)。

アメリが越えられない1/2の距離感をニノは越えてきた。
もちろん、そこにはいろんな葛藤や不安や戸惑いもあって。
二人の未来がどんなふうに続いて行くのかもわからない。
でも、今彼が彼女に対して抱いている感情は本当のもので。
だから、彼はその距離を越えた。
それも、無理やりではなく、彼女が自らその距離感を越える瞬間とタイミングを合わせて。
そこに至るまでの、あの赤と白の扉を挟んで向かい合う彼らが本当に切なくて可愛くて・・・
あのシーンに溢れる暖かな感情には、本当に魅了されました。
あの白い壁の内側の真っ赤な部屋は、彼女の中に秘められた心そのままで。
その彼女の心の内側に、ニノはたどり着いたんだなあ、と思った。

不器用な二人だから、この先もきっといろいろあるだろうし、
もしかしたらどこかで道は分かれてしまうかもしれない。
でも、この物語がおとぎ話であるのなら、「二人はずっと幸せにくらしました」という未来になってほしいな。
ラストシーンで寄り添う二人を見ながら、そんな風に思いました。


藤木さんの老画家さん。
穏やかにアメリの背を押しながら、惑いながら前に進むアメリの姿に、自分自身も前に進む―――
その流れが、唐突ではなくとても自然だったのは藤木さんならではなのかなあ、と思いました。
誰かの絵を模写して、そこに描かれた少女が見つめる先を考えて。
でも、その少女が見つめるのは自分ではないことを知って。
そして、自分を見つめる、自分の少女―――アメリを描き始める老画家さん。
朗々とした歌声とともに、その落ち着いた、けれど人間的な在り方がとても素敵でした。
はっちゃけた八百屋のおじいちゃんも素敵だったけど(笑)。

植本さんは久々に拝見するかなー。
植本さん演じる盲目の男性が、アメリに手を取られて軽やかに踊り出すシーンは、
もの凄い多幸感に溢れていて、ちょっと泣きそうになりました。
でもって、あのノーム!!
亡くなったママが嫌いだったから、それを見るとママを思い出す、という理由でパパが庭に置いたノームの像。
いつしかパパが外に出ない理由になってしまった(ノームの世話をしなくちゃ!)ノームを、
アメリがカフェの客のCAさん(池田有希子)に預けて、
CAさんがノームの振りをして世界各国からパパに手紙を出すのだけれど、
その手紙を読むシーンでのノームな植本さんの可愛らしさには、もうどうしようかと思いました(笑)。
というか、そのCAさんがママを演じていた池田さんだということに実はこっそり涙したり・・・
池田さん、久々に拝見しましたが、あのからっと明るい雰囲気、好きだなあv

久々に拝見した役者さんは他にもおりまして。
石井くんは、なんだか記憶にあるよりも若返ったような気がするんですが、気のせいですか?
八百屋の青年が無花果の人気のなさを嘆くコミカルなナンバー、可愛かったv
というか、私は無花果大好きです!(関係ない)
物語のキーパーソンでもあるミステリアスな男も、
ネタが割れたら普通のお兄ちゃんで、そのがらっと雰囲気変わるところが面白く。
明星さんも、さりげなく意味深なお芝居をされていたなあ、と思ったり。
カフェのオーナーのシュザンヌさんが足を引きずっている理由が、
終盤のナンバーで明かされるわけですが・・・なんというか壮絶!
ノームについて娘に訴えるためにカフェにやってきたパパ(伊藤明賢)といい雰囲気になってたけど、
このままこの二人も幸せになるといい。

パパ役の伊藤さんは初めて拝見するかな?
めっちゃいい声でちょっとびっくりしました!
パパ役も良かったけど、アメリが最初の奇跡を起こすブルトドーさんもよかったなあ。
アメリから電話を受けるシーンが席的に目の前だったのだけれど、めっちゃ感動しました!
あの歌声と表情の変化を真正面から受け止められたのは本当に嬉しかったな。

山岸さんも初見かな。
すっごいいろんな役を演じてらっしゃいました。
というか、このミュージカル、アメリズ以外はほんとにたくさんの役を演じていて。
セットの移動の時にちょっと見えた舞台袖に、沢山の色とりどりの衣裳がかかってるのが見えて、
これを早替えしなくちゃならないってほんと大変だろうなあ、と思いました。
セットも役者さんたちが動かしてたしね。
山岸さんは、カフェのお客の作家さんが、
壁に自分の小説の一節(アメリが書いた)を見つけたシーンが凄く好きでした。
あの気持ちが沸き立つ感じに、一緒になってこみ上げてくるものがあった。
エルトン・ジョンは・・・元ネタを良く知らないので良くわからないけど凄かったです(笑)。

勝矢さんも凄く久々に拝見するかなー。
メインはカフェのお客さん役なのだと思うけど、金魚のクジラ役がとんでもないインパクトで!
なんなんだあの可愛さは?!と思わず自分の目を疑いました(笑)。
とりあえず、アメリとクジラの別れのシーンは泣けたよね。

皆本さんのジーナも可愛かったなあ。
アメリが彼女に仕掛けた幸せないたずらは、個人的には正直どうかと思うのだけれど、
でも、もしかしたら彼女は、これが本物ではないとわかっていて、
それでも先に進むために、その手紙を必要としていたのかもしれないな、と思った。
というか、皆本さんは、カーテンコールのありがたいお言葉がインパクト強くて(笑)。
アメリがドキドキするときに、他のみなさんが「ブンバババ」って歌うのだけれど、
これからはドキドキした時に「ブンババした!」って言おう!て提案してました。
これを広めて、流行語大賞を狙おう!的な話にもなり・・・(^^;)
うん、内心で使わせていただこうと思います(笑)。

野口さんも初見、かな。
主な役が二つともすっごいインパクトがあって、でも全然別人でびっくりしました。
凄いな、この人!
でもどちらも凄いキュートな感じでしたv
パリジェンヌになってたかどうかは私にはわからないけど(^^;)

それにしても、終盤、アメリに会いに来て逃げられたニノに対して、
熟女三人(違)がアメリに対するニノの気持ちを質すために迫るナンバー、めっちゃ迫力でした!
あそこで踏みとどまったニノ、偉い!(笑)
すっごいこまった顔してましたけどね(^^;)
助けを求められた作者さんが、「無理無理無理!」って感じで凄い勢いで手を振ってるのが、
個人的にツボに嵌りました。
いやでもまああの三人を押しとどめることは誰にもできない・・・
でも、そんな圧力に負けずに、アメリへの気落ちをちゃんと言葉にしてアメリを追いかけたニノに、
三人が向けた笑顔、本当に優しくて愛情に満ち溢れてたなあ、と思います。


そんなこんなで、予備知識なしの割には、というか予備知識なしだからこそ凄く楽しめました。
こういう幸せに溢れたミュージカルも大好きv
楽曲もとても良かったので、映画のDVDかCDを買ってみようかな。
というか、このキャストでCD出してくれたらほんとに嬉しいんだけど。


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