異形

長い永い時の中。
その異形が生まれたのは。
その異形を生み出したのは。
どんな運命の果てなのだろう。


「ダンス・オブ・ヴァンパイア」

2019.11.5 ソワレ 帝国劇場 1階K列40番台
2019.11.8 マチネ 帝国劇場 1階D列10番台

出演:山口祐一郎、神田沙也加、相葉裕樹、大塚千弘、コング桑田、
   阿知波悟美、植原卓也、駒田一、石川禅、麻田キョウヤ、川島大典、
   ダンドイ舞莉花、ラリソン彩華、榎本成志、加藤貴彦、
   さけもとあきら、竹内耕、田中秀哉、福永悠二、堀江慎也、
   山名孝幸、天野朋子、今込楓、岩崎亜希子、樺島麻美、島田彩、
   吉田玲菜、森山開次、五十嵐耕司、加賀谷真聡、酒井航、鈴木凌平、
   齊藤恕名、杉原由梨乃、横山博子、松島蘭、渡邉春菜



というわけで、TdV 4年ぶり5回目の再演に、行ってまいりました!
いやー、楽しかった!
今回は休暇と当たっていたため、幸いにも初日を観ることができたのですが、
キャストのみなさんも客席も、
この瞬間を待っていました!!という感じの前のめりさがあって、
それがもう本当に楽しくてv
予習が全然できなかったので、カーテンコールについていけるかなー、とか思ってたんですが、
ヘルちゃんのダンス講座もあったので、目一杯楽しませていただきましたv
本当にこの演目はお祭りですねー。
寓話的な部分とか現代社会に通じるところとか、
根本的に人間の欲望とは?と深く問いかけるところとか、
深読みすればいくらだって深読みもできるところも面白いし、
そういうのを最後にぜーんぶ放り投げちゃう感じの解放感も素晴らしいv
もちろんそれは、キャストのみなさんのハイレベルな演技や歌唱、
お約束だけど攻め気な演出、美しい照明やセットなどがあってこそなのですが。

今回、セットは大幅リニューアルされてました。
シャガールの宿屋が凄い大きくなってた!
3階建て?
というか、シルバニアファミリーの家みたいな感じで可愛かったですv
主人夫妻とマグダは屋根裏なのに、娘は客室階とか、いろいろコンセプトを聞いてみたい(笑)。
伯爵のお城の図書室も、本棚の林みたいになってたし、
シャンデリアも豪華になっていました。
でもって、最初の吹雪の照明は舞台だけでなく客席をムラなく照らしていく感じで臨場感があったし、
フィナーレの紙吹雪とかもうとんでもない量でした!!
真顔で、スタッフさん、お掃除頑張って・・・と言いたくなったよね(笑)。


初日を観て、もの凄く衝撃を受けたのが、山口さん演じる伯爵と、
森山さん演じる伯爵の化身の在り方でした。
山口さんは、もう伯爵はこの方にしかできないんじゃないかと思わされる存在感。
(もちろん、山口さんとは違う見せ方をしてくれる伯爵も心待ちにしております!)
歌声的にちょっと辛そうなところもあったけれど、
情感あふれるウィスパーヴォイスも、徐々に迫力と深さを増す歌声も、
1幕最後のロングトーンも、本当に圧巻でした。
サラを誘惑に来るシーンは、ちょっとどうしようかと思いましたが・・・家が割れたよ(^^;)
1幕ラストの教授とアルフレートに話しかけるシーンは、
記憶よりも人外感が増していたというか怪しいというか自由というか・・・(笑)
今回はコメディー要素が増したのかなー、とか思っていたのですが、
2幕の♪抑えがたい欲望 でその感覚は一気に打ち壊されました。

柔らかく、明るささえ感じられるような歌声。
その歌声が語る、愛に溢れ、凄惨に彩られた記憶。
凪いだその目の先には、捻じれのたうつ異形の存在―――

森山さんの伯爵の化身は、それまでの幻想のシーンで圧倒的な強さと、
新しい世界へ誘う抗いがたい誘惑を体現されていました。
けれど、この曲の彼は違った。
白い肌。
抉れた腹部と肋骨のライン。
何かから逃げるように、何かを求めるように、伸ばし、強張り、捻じれていくその腕。
逆光の中で、光を蓄えるような長い金髪と、陰に沈む面。

何かの大きな力に、無理やり捻じ曲げられ引き千切られたかのような、異形。
それは、伯爵の中にある“抑えがたい欲望”の形なのか。
伯爵の中に在った“美しい何か”の成れの果てなのか。

地に伏して、その身を悶えさせながらも、なお何かを求めて手を伸ばす存在と、
その存在を静かに―――ただ静かに愛おしささえ感じさせるような目で見つめる存在と。
その二つの存在の壮絶さに息をするのも忘れて見入ってしまいました。
いやもう本当に素晴らしいものを見せてもらった気がします。
で、佐藤さんはどうなのかなー、と思ってチケット買い足したのは私です(笑)。


沙也加ちゃんのサラを今回も観ることができたのもとても幸せv
ここじゃないどこか。
もっと自由に生きる私。
そんな私を求めてくれる存在。
そういう、思春期の女の子が夢見る諸々のキラキラや危うさの感じられるサラでした。
アルフに惹かれたのも、“外”の世界を感じさせてくれたからなのかなー、と思ったり。
あざとさも感じられるんだけど、それよりも私は懸命さを強く感じたかな。
いろんなことに流されているように見えるけれど、立ち止まるし、揺らぐし、迷いもある。
でも、独りよがりだとしても彼女の中には譲れない芯があるように思いました。
・・・それはお風呂かもしれないけど(^^;)
歌声は、細い感じはあるけれど、それを凌駕する綺麗さがあるなあ、と思いました。
声の質として相葉くんと似た印象があるので、
二人の歌声が重なると、溶け合うように感じました。
でもって、沙也加ちゃんの素晴らしいところは、歌声もだけどあの表情!
舞踏会の時の人形のように綺麗で、けれど人形のように無機質な表情から、
アルフに連れられて逃げた先で、ふっと自分の中の鮮やかな感情―――欲望に気づき、
そしてドクンと大きく脈打つように体を揺らして自らの牙に気づくその変化はとても鮮やか。
そして、アルフに噛みつくところも!
初日は上手側からだったので、その瞬間の表情は見えなかったのですが、
自分の牙に気づいたサラが、ふっと自然な流れでアルフに手を伸ばしているように見えました。
で、2回目に観た時は下手側からだったのですが、
牙に気づいてちょっと俯いたサラが、次の瞬間に浮かべた表情といったら!
アルフを獲物認定した瞬間、彼を仰ぎ見るようにしたサラの表情は、
別人のように鋭く、凄絶なまでに綺麗で―――うん、しなやかな肉食獣みたいだった!
その後、アルフと二人で教授に向ける視線の冷やかさも良かったなあ・・・!
サラの中に潜んでいたサディスティックな部分が、それこそ抑えることなく現れた感じ?
そういう目で見ると、1幕のサラにもその兆候は確かにあって。
うん。
やっぱりさやかちゃんのこういう表情での演技、大好きだ!
そういえば、城から逃げ出した後の逃亡シーンで、
上手から下手までサラが猛ダッシュで駆け抜けて、それをアルフと教授が追いかける一幕があって、
それがめっちゃ可愛かったですv
あのドレスとヒールで走れる沙也加ちゃん凄い!!って思ったけど、
あれは沙也加ちゃんご本人じゃなくて鏡の向こうに映るサラ役の人なのかな?
そもそもあの鏡のシーンのカラクリ、サイド席からだと良くわからなくて(^^;)
まあでもあの一瞬、ほんとに可愛いのでこれからご覧になる方にはぜひチェックしていただきたい!


相葉くんのアルフは、何というか王道なアルフだなあ、と。
あれ? 前にも演じてたっけ? と一瞬本気で考えちゃうくらい、役に馴染んでいた気がします。
凄い真面目なできる子なのに、ヘタレ。
何に対しても一生懸命なのに、ヘタレ。
なんというか、あの残念な感じが本当に愛おしいアルフだなあ、と思ったり。
霊廟での教授とのあれこれは、頑張ればできそうなのにできない残念感がほんとに可愛くて!
教授に対しても、凄く尊敬していて、大好きで、彼から一生懸命学ぼうとしている感じ?
でも、その一生懸命さがいまいち教授には通じていない哀れさもあったり・・・
1幕ラストで伯爵に誘惑されるシーンで、伯爵を見つめる目と表情が、
無垢な子どもみたいでちょっとどうしようかと思いました。
あの時点では、伯爵に魅了されてはいたけれど、まだ堕ちてはいなかったと思うんですよね。
でも、城の中で押し寄せるいろんなことに翻弄されて、
感情もジェットコースターみたいに上下して、
その果てに、伯爵の心情を漏れ聞き、伯爵の感情を知り―――
その“自分と同じ”伯爵の感情に対して、教授が「くだらん」と言ったその瞬間に、
アルフの心は教授から離れて、伯爵に近づいてしまったのかなあ、と思いました。
でもって、それはもう仕方がないのかなあ、とも。
それがなんだかとても切なかったです。

初日は歌声がちょっと安定しない感じがあったのですが、
(もしかしたら、私がアンジョのイメージを拭いきれてなかったのかも)
2回目に観た時は、アルフの喜びも切望も焦燥も決意も―――いろんな感情を、
とてものびやかに伝えてくれたように思います。
♪サラへ は本当に愛しさに溢れる感じで、聞いていて笑顔になってしまいました。
とりあえず、サラと幸せになるといいよ!


禅さんの教授は、毎回思うけど、本当に技あり!な感じ。
歌声もなのですが、研究になると周りが見えなくなっちゃう面倒で独善的で頑固で扱いにくい教授を、
本当に魅力的に表現されているなあ、と。
図書館に入って我を忘れちゃうところとかは、某聖女さまを思い出してちょっと一人で笑っちゃいました(^^;)
それはパワハラ!モラハラ!と何度か思いましたが、
要所要所でちゃんとアルフを守ろうとしているところとか、
アルフを育てようとしているところとか、
それから、逃げ出した後に歌うサラとアルフを見つめる表情が本当に優しくて、
凄く深い愛情が感じられて、教授・・・!(;_:)となりました。
まあ、その後記録に没頭しちゃって助手の危機を助けられなかったんですけどね(>_<)

そういえば♪人類のために の演出もちょっと変わってましたね。
謎の美女が4人出てきてました(笑)。
シャガールとレベッカとマグダが巻き込まれて、いつの間にか一緒に踊って、
一緒にカーテンコールをするこれまでの流れも好きでしたが、
巻き込まれて最高潮になりそうなところで出番を奪われる感じのシュールさも結構好きです(笑)。
レベッカが事務所の力なの?!とか叫んでましたが、どうなんでしょう・・・?


植原くんのヘルベルトは、出てきた瞬間に凄い既視感があって、
後になってから、ああ!と合点がいきました。
いえ、ストレートの髪にサングラスの姿が、
クコール劇場に出てきた吉野さんヘルベルトを彷彿とさせてたんだ!と。
あれで日傘を持ってたら完璧だったのに(笑)。
初日に観た時は、すっと立ってると普通にかっこいいヘルベルトだなあ、
足長いなー、総レース着こなせるの凄いなー、ダンスかっこいいなー、という印象だったのですが、
2回目に観た時、立ち上がるとか向きを変えるとか、
手とかの細かな動きや、立ち上がったり向きを変えたりする時の一瞬の動きが凄い怪しくて、
おおお!と思いました。
なんだろう、伯爵とは違う人外感というか。
そういえば、1幕ラストで伯爵と動きが噛み合わない感じが、なんとなく無機物っぽかったなー。
アンドロイドっぽいというか?
アルフにアプローチするシーンで、そういう印象は一気に壊れましたが(笑)。
アルフが客席通路を逃げている間、けだるそうに待ってる姿がヘルベルトだなあ、とも思ったり。
そういえば、2回目に観た時は高校生の団体さんがいたのですが、
アルフが後方通路まで逃げた時、「キャーv」という黄色い歓声が上がっていました。
さすがだな、相葉くん。着実にファンを増やしてる!
いやでも、そういう歓声も納得な可愛いアルフだったしね。


可愛いといえば、千弘ちゃんのマグダ!
めっちゃ可愛くて、めっちゃ綺麗で、めっちゃ色っぽいマグダでした。
享楽的なんだけど、そこに一点の曇りもないというか・・・むしろ純粋さも感じられてびっくりしました。
なんだろう・・・向けられる愛にはもれなく愛で応えます!という感じ?
お客さんにもアルフにも愛想は振りまくし、
教授にも、レベッカに殴られて倒れてるのをまじまじと見ちゃうくらい興味があるし、
シャガールもうざいなあ、と思いながらちゃんと愛があるし、
でもレベッカのことも実は大好き!というふうな印象。
男が好き。女も好き。というか楽しければなんでもOK!的な?
シャガールに噛まれるときも、恐怖の表情が割と早い段階で笑顔になるんですよねー。
で、霊廟のシーンでのシャガールとマグダがほんとに楽しそうでv
シャガールにキスしようとして邪魔したクコールの頬にキスしちゃった後も、
きゃらきゃらとめっちゃ楽しそうに笑ってるんですよ。
いや、この二人は、このままヴァンパイアライフを楽しんじゃいそうだなあ。
千弘ちゃんのサラがどんなだったかは記憶を掘り返さなきゃなんだけど、
サラが伯爵に誘惑されずにあのまま大人になってたら、
このマグダみたいな感じになってたのかもしれないなあ、と思いました。

もちろん、フィナーレのダンスも歌もかっこよかったです!
というかフィナーレの衣裳、皆さんとっても可愛いですよねv
マグダが(比較的)露出の少ないパンツタイプ(でもシースルー)でかっこよかったり、
サラのミニスカートと赤いブーツがめっちゃ可愛かったり。
獣っぽい感じで客席にアピールするサラにちょっとよろめきました(笑)。
ダンサーさんたちもほんとにかっこよかった!
ヴァンパイアダンサーさんのシーンは一瞬も目を離せない感じ。
サラの化身役の横山さんがまた可愛くてねーv
で、可愛いだけじゃなくて結構アクロバティックなリフトとかもしていて素敵でした。
アルフレートの化身な加賀谷くんと伯爵の化身な森山さんのバトルもかっこよかった!
そして忘れちゃならないヴァンパイアシンガーのみなさん!!
♪夜を感じろ は初演から大好きな曲+シーンなのですが、
あの第一声を聴いた瞬間に、思いっきりテンション上がりますよね!
そして、観るたびに、初演の印象がさらに上書き上方修正されていくの、ほんとに凄い!
そういえば、このシーンのラスト、ベッドの天蓋の上に伯爵の化身が立って、
ダンサーさんたちを見下ろすようにしているのもとても綺麗な絵面でした。


そして忘れちゃいけない駒田さんのクコール!
今回も細やかに重要な役割を担ってらっしゃいました。
ほんとにクコールがいないとこの物語は進まないですよね。
クコール劇場は今回もしっかりありました。
初日は、しばらく掃除に専念しつつ、客席からかかる声にこたえてました。
「おかえりー」に、「ただいまー」。
「おつかれさま!」に、「ありがとー」。
「かっこいい!」に、「それはない」。
「かわいい!」に、「それはあるかも」(笑)などなど。
で、4年の間に出演された舞台のことをお話されて、
菊田一夫演劇賞を取ったことも言ってたかな。
客席みんなでお祝いしましたv
2回目に観た時は、花咲か爺さんじいさんの歌を歌って、
どこかにポチいないかなーお金がほしいなーって言ってました。
・・・2幕終盤の彼の最期を思うとちょっとシュール(笑)。
で、手品で花束出してた!
3回目に観た時は、上着を脱いで床において、そこから靴を取り出したり、
上着を放り投げてそのまま着たりしてました(凄い!!)。
カーテンコールのダンス講座で、客席と同じ向きで踊ってくれるのも親切だなー、と。
右左ごっちゃになっちゃう私的にはとっても助かりました。ありがとう!
長丁場な舞台で、毎回のクコール劇場は大変かと思いますが、
お体に気をつけて頑張ってくださいねv


思いつくままに書いてたらきりがなくなってきました(^^;)
今宵も帝国劇城は大盛り上がりでしょうか?
また登城できる機会を楽しみにしていようと思います。
あ、今度は赤いハンカチ忘れずに持って行かなくちゃ!


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