夜明けの生まれる場所

重ならない空間。
交わらない視線。
一致しない時間。

でも、その先にあるのは、確かに夜明けが生まれる場所だった。


朗読音楽劇「エデンの東のそのまた東」

2020.4.28

脚本・演出:菅野彰
音楽:浅井さやか
出演:千田阿紗子、法月康平


というわけで、ライブ配信観劇2個目です。
雑誌で戯曲を読んだときから、いつか舞台で拝見したい、と思っていたこのお芝居。
今回リモート上演での観劇となったわけですが・・・

素晴らしかったです!!

物語の登場人物は二人。
周囲との関係性の中で自分を見失い孤独を深めていく少年(多分)と、
周囲の中の自分に縛られて見えない孤独に沈んでいる女性。
たまたま出会った二人が交わす言葉。
重なる逢瀬の中で、関係性がないからこそ深まっていく会話。
そして辿り着く、それぞれの孤独―――からの放浪という名の解放。

戯曲を読んだときには見えてこなかった景色や温度が(私の読解力の問題です・・・)、
役者さんの身体を通すことで、鮮やかに見えてきた感動。
そして、リモート配信だからこその距離感が創り出す孤独と絆に、なんだか呆然としてしまいました。

映像は、二人それぞれを真正面から映したものでした。
観ている私は二人の表情を真正面から見ていて。
でも、途中でふと気づいたのです。
ああ、私の見ている世界は、向かい合った二人が見ている世界なのだ、と。

途中、海へ沈む夕日を見るために二人が手を取って走り出すシーンがあります。
高台に辿り着いた時には夕日はもう沈んでいて、目の前には宵闇の海が広がっている。
その海を見ている二人は、画面の上では背中合わせでした。
私に見えているのは、そっぽを向いた二人。
けれど、そこにいる二人は、確かに同じ空と海を見ていた。
その景色が、あの瞬間確かに私にも見えたように思いました。

ZOOMを使った演劇。
そこには、リモートという決して越えられない距離感がある。
声は聞こえる。
表情は見える。(実はカメラしか見えていなかったと、アフタートークで知り呆然としました・・・)
けれど、どんなに希っても、その手を触れることはできず、その体温を感じることはできない。
二人の心が寄り添っていくにつれて際立つ孤独。
でも、だからこそ見えてくる互いへの想い。
リモートという越えられない距離というデメリットを物語の中に落とし込んで、
この距離感だからこその“繋がり”に昇華しているように思いました。

自分の光を見失って闇の中をただ彷徨う少年。
自分という闇が光に消されていくことをただ茫然と見ている女。

闇があるからこそ光が見える。
光があるからこそ闇が見える。
闇の中から見える光は眩く。
光に寄り添う闇は優しい。

物語の中、二人の背景は詳しくは語られません。
それぞれの言葉の中から、二人の現実はこうなのかな、と想像するしかない。
その現実の中で、この二人が本当に共に在ることができるのか、
その現実から自ら追放され、ノド―――放浪という名の解放へと旅立てるのか、
それははっきりとは描かれないし、私にはわからない。

でも。

最後の曲。
僅かなタイムラグととぎれとぎれに届く歌声が。
ぴったりと一つになった瞬間がありました。
―――鳥肌がたちました。
それは、アフタートークでも語っていたように、多分二人が何度も何度も練習した結果なのだと思う。
技術と経験に裏打ちされた、成果なのだとわかっている。
でも―――それでも。
あの瞬間、あの物語の中に生きる彼と彼女は確かに共にあり、
そして、二人は確かに帰り着いたのだと、そう感じました。

エデンの東のそのまた東

その意味を、私はたぶんきちんとは理解していない。
映画の「エデンの東」も観たことがないし(^^;)
だから私のイメージはたぶん間違っているのだと思うけれど。
光が闇に沈む宵闇の海から旅立った二人が辿り着く場所―――東の東。
そこは、闇に抱かれた光が目覚める夜明けの生まれる場所―――希望の生まれる場所なのだと、
そう、信じていたいと思いました。


役者さんのことを少しだけ。
法月くんの役は、高校生くらいの設定なのかなー。
どこか作られたような―――おどけながら常に何かを警戒しているかのような表情が、
少しずつ柔らかく優しくなっていくのがとても鮮やかでした。
彼は確かに光なのだと、そう感じました。
あの音質の状況で、アカペラを綺麗に聴かせてくれるのも凄い。
JBでのボブ・クルーがめっちゃ楽しみですv 観に行けるといいなあ・・・!(切実)

千田さんは、多分初めて拝見する・・・?
歌声がめちゃくちゃ綺麗で聞き惚れてしまいました。
彼女の背景もほとんど語られないけれど、大人の立ち位置から彼と会話している彼女が、
ふとした瞬間に凄く暗い目をするのが凄く印象的でした。
終盤、彼女が泣くことができたのに、なんだかほっとしてしまったり。
またぜひ舞台で拝見したいです。


というか、この演目、落ち着いたらぜひ劇場で上演して欲しいなあ。
リモートだからこそ受け取ったものもあったけれど、
直接体温や息遣いを感じられる空間で観ることができたら、
また違うものを受け取れるような気がする。
アフタートークで、最初は逆の配役も考えていた、と菅野さんがおっしゃっていましたが、
それもぜひ観てみたい!!
闇の底の底まで沈み込みそうな法月くんを、千田さんがどう引き上げるのかが気になります(笑)。
女性同士、男性同士のVer.もあると菅野さんが書かれていたのですが、
それもちょっと気になるなあ。
いつか、いずれ、違う彼ら、彼女らが辿り着く夜明けが生まれる場所を観られる日を、
今は楽しみにしつつ、もう一度フル動画を見ようと思います!

因みに、フル動画は明日5月1日24時までこちらで観ることができます。
最後の曲のPVも本当に素敵なので、もしこの辺境ブログに迷い込まれた方がいらっしゃいましたら、
ぜひご覧になっていただきたいと思いますv

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