つながる場所

観劇な週末を過ごすとき、東京でよく泊まるホテルがいくつかありました。
以前はいろいろなホテルを試していたのだけど。

人の睡眠時間を8時間とすると、人生の1/3を過ごす場所。

あの物語の中で彼が言った言葉。
幸せな時間を反芻して。
明日の観劇に心躍らせて。
自宅とは違う非日常の、でも、どこか安心できる場所。

あのホテルのあの部屋を、ちょっと思い出してしまいました。



「ホテル アヴニール」

2020.12.13 マチネ Theater Mix (配信)
出演:椎名鯛造、校條拳太朗、高橋良輔、植万由香、葉山昴、深澤大河、藤松祥子、篠崎彩奈

20201213 ソワレTheater Mix (配信)
出演:上田悠介、校條拳太朗、高橋良輔、植万由香、椎名鯛造、深澤大河、藤松祥子、篠崎彩奈


・・・とうとう知らない劇場に足を踏み入れてしまいました!
いや、配信だけど(笑)。
池袋の劇場なのね。
そういえばDLLが上演された劇場も池袋だったかな。
うーん、観劇再開できたら、この物語のマサルみたいに激情を探して歩きまわるようになるのかも(笑)。


物語の舞台は、東京のどこかにあるホテル アヴニール。
その部屋で過ごす“二人の物語”を、オムニバス形式で見せてくれる、というもの。
しかも、役変わりで結構いろいろな組み合わせがあったらしく。
私は椎名くん目当て(笑)だったので、配信は千秋楽の2公演だけを観たのですが、
役変わりは8人のうち二役だけだったのですが、
それでもずいぶん雰囲気がかわるんだなあ、と興味深く。
アフタートークで結構混乱した的なことを話していましたが、
確かにこれは観る方も演じる方も混乱しそう・・・でも、それがまた面白さにつながるのかな。
昼間はお仕事があったので、ソワレの配信をリアルタイムで観てから、
続けてマチネのアーカイブを観たのですが、
同じ配役でも違うアプローチだったり、髪型が違っていたり、
同じ役者さんが違う役を演じても衣裳は役者さん固定だったり、
流れる雰囲気やテンションも違っていて、全然飽きたりはしませんでした。
というか、これまで読んだホテルが舞台の小説の影響なのか、
結構ダークな展開(この人は実は既に死んでいるのでは?!とか(^^;))を予測してたのですが、
思いのほか素直で衒いのない物語で、観終わった後気持ちがほんわかしました。
うん。こういう裏切られ方も結構いいな(笑)。

そんな感じの変則的な舞台だったので、感想は各部屋ごとで。

一部屋目は締め切り前の缶詰中の小説家(高橋良輔)とその妻(植万由香)の物語。
締め切り直前で追いつめられている夫のもとに、お弁当と一緒に離婚届を届けに来た妻。
家庭を顧みない夫に愛想をつかし・・・と思いきや、
そこには夫への、父への深く温かい愛情があって・・・という流れのとってもいいお話。
・・・だったのですが!
いやー、序盤から中盤にかけては、もうめっちゃイライラしました(^^;)
何にって、奥さんに!(笑)
離婚届をちらつかせながら、ホテルの窓から見える公園にいる息子のリフティングとか、
娘のダンスとか、飼い犬の「待て」とかを双眼鏡で旦那さんに見せるのだけど、
ちょっと待って!
反省してるから!
後で見るって言ってるから!
って、めっちゃ旦那さん目線で気持ちがわたわたしてしまいました・・・
で、最終的には旦那さん目線でめっちゃ絆されたという(笑)。
ここで奥さん目線じゃなく旦那さん目線になってしまう自分にちょっと笑ってしまいました(^^;)
でも、イライラしながらも、植さんの奥さんの陽性の在り方は凄く魅力的だったな。
マチネのアーカイブを観た時、ソワレでは気づかなかった細かな表情とかに、
旦那さんへの深い愛情が感じられて、気持ちがほっこりしました。
うん、いい夫婦だ!

物語の間の場面転換は、キャスト総出での模様替え?
白いパネルに書かれたホテルの部屋の家具やアメニティの色々の場所を変えたりして、
違う部屋にするのですが、見ていてちょっとワクワクしましたv

二部屋目は、幼馴染で親友な男子二人、
東京で劇団を立ち上げたケンタ(校條拳太朗)と、
彼の舞台を観に上京してきた、ブドウ農家のマサル(ソワレ:椎名鯛造、マチネ上田悠介)の物語。
いやー、めっちゃ笑いいました!
ケンタの舞台の感想をマサルが言う、という流れで、
最初はマサルがケンタに殺陣を教えてとねだったり(結果ポッキー侍に!)と、
和気あいあいな感じなのですが、
演劇を知らないが故のマサルの感想が、どんどん演技指導にまで踏み込んでいって・・・という流れ。
殺陣のシーンは、役変わりなのか、毎回アドリブなのかわかりませんが、
上田くんのマサルはなぜか刀じゃなくてバッドになっちゃったり(「カキーン!」って(笑))、
椎名くんのマサルは、不器用そうなのにケンタ以上の身体能力を見せつけちゃったりで、
それに対するケンタのリアクションも違っていて、すごい楽しかったですv
で、その後の演技指導での劇中劇?も、それぞれのマサル全然違ってて!
上田くんのマサルは、ナチュラルな天才で
椎名くんのマサルは、エキセントリックな天才という感じかなー。
その両方に対する校條くんのケンタは、なんというかすごく一生懸命でまっすぐで、
なんだか見ていて微笑ましくなってしまいましたv
そこで不機嫌になったりするんじゃなくて、メモったり演出お願いしたりしちゃうんだ?!って(笑)。
来年の6月、マサルは東京に出てきて演出をしたのだろうか・・・
ラストシーンから受けた印象だと、上田くんはしなそうで、椎名くんはしそうだなー。
その辺を想像するのも楽しかったです。
それにしても、椎名くんのあの変幻自在さと、一瞬でニュートラルになる感じ、
やっぱり好きだなあv


3部屋目は、ラストライブ前夜の女性デュオ・TSUBASAのお話。
(あ、表記は平仮名とかカタカナとか漢字とかかもしれません!)
明日ホテルの前(の公演?)で行われるイベントでのステージに出るらしく。
最初は、ライブの準備をしながら思い出したことを話したり、じゃれ合ったりしているのですが、
徐々にタミコ(藤松祥子)が結婚して遠く(島?)に行くこと、
明日がラストライブであること・・・そういうことがわかってきます。
楽しそうにじゃれ合う二人が、だんだんと必死になって、余裕がなくなって・・・
二人それぞれが、“最後”であることを納得していても受け入れられていない。
親友というにはどこか遠くて。
仲間というには近すぎて。
そんな二人の微妙な距離感が、なんだかとても切なかった。
最終的に二人はその気持ちを込めて新曲を作るわけなのだけど、
明日の1回しか歌うことのない曲を作る―――その意味を、ちょっと考えてしまいました。
それにしても、アズサ役の篠崎さんとんでもなくかわいい!と思ったら、
リアルにアイドルさんだったんですね。
タミコ役の藤松さんも、長身と童顔のアンバランスさが不思議な魅力だな、と。
演じている時の声と、アフタートークでしゃべっている時の声が全然違っていて、
それもまたアーティストっぽいなあ、と思ったり(笑)。


最後の部屋は、実はチェックアウト後の二部屋目。
その部屋の掃除をしているのは、退職したはずのミノベ(マチネ:葉山昴、ソワレ:椎名鯛造)。
それを見つけてしまった後輩のコンドウ(深澤大河)の物語なのですが・・・
いやー、なんとも不思議な雰囲気でした。
端的に言っちゃうと、ふと自分探しをしたくなって退職したミノベが、
行き詰まって精神安定のためにこっそりかつての職場に入り込んでベッドメイキングをしていて、
それを見つけた後輩に諭されて、もう一度就職するって流れなんですが、
そのミノベの論理がわかるようなわからないような・・・?(^^;)
そのシーン、椎名くんのミノベは宇宙遊泳みたいな動きをしていて、
(ベッドメイキングは宇宙だ!という流れからなんですが、それだけ言っても何が何だかですね(^^;))
葉山くんのミノベは台の上に寝転がって、それをコンドウがぐるぐる回していて、
どちらもなんともカオスな状態でした・・・
それに戸惑いつつちょっと退きつつも食らい付いたコンドウ、えらい!
さすがポジティブシンキング!(笑)
とりあえず、ちょっとよくわからない感じではあったのですが、
ミノベが言う、「人生の1/3を過ごす場所」とか、
「物語が終わってまた始まる場所」(という感じだった気がする。あとで確認!)とかの、
ホテルについての言葉は、なんだかすんなり心に届いてきたように思いました。
あ、ちなみに上記のこの人既に・・・?と思ったのはミノベでした(^^;)


そんな風にばらばらな人たちの物語なのだけど、
どの物語にも窓を開けて、窓の外の様子を見たり音が聞こえたりするシーンがあったり、
タミコたちが出会ったわんこが、小説家のお家のわんこだったり、
お互いに隣の部屋がうるさいとクレームの電話をしたりされたりと、
ちょこっとずつつながりがあって。
で。最後にTSUBASAのラストライブのMCと新曲を、
ほかの6人がそれぞれの場所で聞く、という形で終わります。
それぞれの部屋(+屋上)で、それぞれの言葉で語り、それぞれの人生を生きて、
そして、同じタイミングで、小説家は、マサルは、ミノベは、タミコは、
相手にそっと大切な言葉を―――「ありがとう」を伝える。
その瞬間の全員の表情を観ることはできなかったけれど、
きっとみんな、とっても優しい表情をしていただろうなあ。
その後に歌われた新曲も、とってもいい曲で・・・ちょっとだけ泣けてしまいました。
あの曲、配信とかしてくれないかな?


私が、居心地のいいあのホテルのあの部屋に次に行くのはいつになるのかはわからない。
でも、またあの部屋に行ったとき、私の物語も彼らのように始まって終わって、
そしてまた始まるんだろうな。
でもって、その時には、この舞台の、このホテルの、あの部屋の、
彼らの物語を思い出すような気がします。

うん。
良い舞台でした。
アーカイブはまだしばらく観られるから、週末にでもまた観てみようと思います。

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